70「ゆっくり食事です」②
「真面目な話をすると、グライン殿であれば良き王となるだろう。彼には民の痛みがわかる。むろん、喜びも、である」
「……しかし、グライン殿は少し危うい」
「そうであるな。目を見れば、復讐に生きていたことが言葉だけのものではなく、事実であるとわかる。わかるゆえに、彼は王となるべきなのだ。王となり、この国を良くしてこそ、友のためとなる」
グライン・シューレンは奴隷だった友人がいる。
友人たちは、グラインが王族として名を連ねる際に見せしめのように殺された。
以来、グラインは復讐を糧にして生きていたのだ。
「先ほど、彼と話、王となるように進言したが、時間は必要であろう。ただ、あまり猶予はない。国を建て直すには、早い方が良いのだ」
「ですが、問題もあります」
「うむ。エヴァンジェリン様の神罰を免れた貴族たちは、魔法国の各地にいる。王都の異変を知れば、瞬く間にやってくるだろう」
「あわよくば、自分が王にとか考えるんでしょうねぇ」
これだから貴族は、とサムは鼻を鳴らした。
「サムよ。すべての貴族はそうではないのであるよ」
「わかっています、けど」
「たとえば、領地を上手く経営し、民を笑顔にしている貴族はまず王になろうとは思わぬよ。そのような貴族は人を生かすことの大変さを知っているのであるゆえに」
「……」
「王は、権力を持つが絶対ではない。ひとつ何かをしようとすれば敵を作り、あちらに良い顔をすれば他で敵を作る。そんな王になりたいと思うような人間は、断言しよう。――愚か者である」
クライドはワインで口を湿らせた。
「王が愚かであり、新たな王が必要であるゆえに立たねばなるまい――と、追い込まれている場合は無論別であるが、王になることを企んでいるような貴族は自分の領地さえまともに運営していないだろう」
「俺もオフェーリア任せですから、あまり偉そうなことは言えませんね」
「ははは、そなたはこれからである。オフェーリア・ジュラ嬢が領地を運営していたからといって、領民が笑顔で暮らしに満足しているのであれば何も問題がない。優れた者に託すことができるのも、領主の役目である。だが、貴族はプライドが高いゆえに、たとえ妻や子であっても進言を聞かぬ者もいるのだよ」
「愚かですね」
「その通りであるな」
サムのきっぱりとした言葉に、クライドとカリアンが苦笑いとなる。
「なかなか大人になり、権力を得てしまうと人の意見を聞けなくなる。サムよ、そなたも今のまま柔軟な考えを持って大人になりなさい。みんなの意見を聞く、それができる領主は良き領主となるだろう。私は、サムに心から期待しているのである」
「――はい。頑張ります」
「うむ。よきビンビンである!」
最後のがなかったらなぁ、とサムがちょっと残念に思った。
シリアス先輩「やっぱりビンビンで締めようとするなぁ!」
ビンビン陛下「スカイ王国の伝統であるゆえに」
シリアス先輩「伝統なの? じゃあ、仕方がないか」
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