45「女神ヴァルレインとコンタクトです」②
「ふん。よく言う。エヴァンジェリン・アラヒーよ。貴様は、神殿を建てさせ、毎日のように信者を集めている」
「神殿を建てたのは変態共だし、毎日集まってくるのも変態たちだ!」
「どのような手段を使ったのか知らぬが、邪竜が神になるとは、あまりにも傲慢だ」
「だから、神になったつもりはないって言ってんだろ! 聞けよ!」
「私がこの世界の神になるために、貴様は引き裂いてくれる」
「この神、まるで話を聞く気がねえな!」
ヴァルレインは、サムに対して優しい声を出していたが、エヴァンジェリンに対しては敵意を剥き出しだった。
同じ神を認められないのだろう。
先ほども、唯一絶対の神になることを望んでいた。
「そこまでだ、女神ヴァルレイン」
サムが鋭い声を出す。
「俺たちの女神エヴァンジェリン・アラヒー様にそれ以上の暴言は許さん!」
「――ダーリン!?」
「この世界に来たいなら、せめて俺たちの神様と手を取り合うくらいの度量は見せて欲しかったな」
「……そうか。残念だ。私とお前たちでは、求めているものが違うのだな」
「あんたが柔軟になれるのなら話は変わるんじゃないかな?」
「それはできぬ。私は私だけを愛する世界がほしい。神として、愛されたい。それだけは譲れぬ」
「じゃあ、話はここで終わりだ。あんたが神様だろうとなんだろうとエヴァンジェリンには指一本触れさせない」
ヴァルレインが何を考えているのかわからないが、エヴァンジェリンに明確な敵意を持っている以上、本当に善意があり戦神と戦ってくれるとしても受け入れることはできない。
「――残念だ。本当に、残念だ。私はこの世界がほしかったのに」
女神ヴァルレインの声から感情が消えた。
「お前たちは最初で最後の機会を失った。予定通り、戦いとなるだろう」
「上等だ。こっちは最初からそのつもりなんだよ」
「ならば、堂々とこの世界を支配しよう。サミュエル・シャイトよ、貴様は倒しても殺さずに我が奴隷として傍に置いてやろう」
「その前に、斬り殺してやる」
交渉ともいえない交渉は終わった。
女神ヴァルレインとは相容れない。
それがわかっただけで会話をした意味があった。
「いくぞ、マニオン。兄と戦うために、その力を仕上げよう」
「――はい」
今まで沈黙を貫いていたマニオンが、返事をする。
すると、彼の背後の景色が歪んだ。
「兄さん、僕も残念だよ」
「次、会うときに決着かな?」
「そうなればいいと思っているよ」
「じゃあ、またな」
「うん。またね」
マニオンが、サムをまっすぐ見つめたまま後退する。
景色の歪みに飲み込まれて、姿を消した。
おそらく、女神ヴァルレインの力だろう。
「神様っていうのは厄介だな。降臨できずとも干渉はできるんだね。あー、面倒臭い!」
――こうしてマニオンとの再会と、女神ヴァルレインとの邂逅が終わった。




