27「とりあえず帰宅です」②
「それで、ゴレ子様やゴーレム方はどうなさいましたか?」
「ゴーレムさんは、ゴレ子さんに今後を一任するって。もともとスカイ王国の山になっていたから、できればスカイ王国のどこかで受け入れてくれるならありがたいって言ってたけど。今は、王都の外でのんびりしているって」
「まあ」
「ゴレ子さんは――エヴァンジェリンの神殿預かりになりました!」
「なぜですの!?」
驚くオフェーリアに「だよねぇ」とサムも同じことを思う。
「まず、友也はウォーカー伯爵家に仮住まいで、マクナマラおばさんは神殿の寮だし、万が一ラッキースケベったりしたら大変だ!」
「そうですわねぇ」
大きな山の状態ならさておき、現在のゴレ子は幼い少女だ。
友也のラッキースケベが発動し、対象となってしまう可能性が大いにある。
なので離しておくのが吉だ。
「伯爵家に連れてくるっていうのも案としてはあったんだけど、魔族とか魔王とか今まで滞在しているから旦那様の胃がそろそろ限界です」
「あー」
「ぱーんって破裂するのを避けるために、残念ながらゴレ子さんはウォーカー伯爵家にはこられませんでした」
「残念ですわ」
きっとアリシアとフランも同じだろう。
ジョナサンは心底安堵しているはずだ。
「陛下が王宮でもてなしたいと言ってくれたんだけど」
「主語がビンビンになったら大事件ですわ!」
「――ってことで却下しました。ゴレ子さん的には、精霊界のアイドルクライド・アイル・スカイの王宮に行ってみたかったようですが、それはまたの機会ってことで」
「精霊界のアイドルとか、意味不明すぎますわ!」
「だよねぇ!」
精霊界隈がどうなっているのか気になるし、知ったら取り返しのつかないことになりそうで怖いという恐怖がある。
今は恐怖心のほうが強いが、いつか好奇心のほうが優ってしまうのではないかと思い戦々恐々としている。
「ということで、結局、ゴーレムさんたちとなにかと縁があるエヴァンジェリンなら、会話も問題ないし、事情もわかっているみたいだから丸投――ごほん、お任せしようかなって」
「今、丸投げって言いましたわ!」
「……いやさ、本当にお腹いっぱいなんだよ。情報量が多くて脳だけじゃなくてお腹もいっぱいなの。明日は、友也とウルと一緒に三国の王様の会議になぜか俺まで出席だし!」
「スノーデン王国はさておき、オークニー王国というのがやっかいですわね」
「オフェーリア?」
スープを飲み干したサムの前に、紅茶を置いてオフェーリアは話を続ける。
「オークニー王国が愚かな勇者をやりたい放題させた結果、民からの王家の信頼はないにひとしくなっています」
「そこまでなんだ?」
「そこまでですわ。王族貴族が民を守らず、誰が守るというのです。その義務を怠ったオークニー王家の罪は大きですわ」
「同感です」
「現国王のリチャード様は、先代国王から王位を奪い勇者を処罰し、被害者への支援を第一にしました。これにより、オークニー王国はギリギリの一線だけは越えずに済みました」
「もし越えていたら?」
「暴動、ですめばよいのですが」
ゾッとする。
隣国でそんなことをすれば、スカイ王国でも影響はあるだろう。
なによりも勇者ではない勇者ひとりのせいで、不幸な人間が今も増えている可能性があることが信じられない。
「個人的なことを言わせていただくと、オークニー王国がどうなろうと知ったことではないのです。国が立ち行かなくなれば領土の取り合いで小競り合いが起きるでしょうが……スカイ王国ならば、余裕で領土を奪えるでしょうし、領土奪いに参加せずとも自国を守ることは問題ありません」
オフェーリアが微笑む。
「サム様がいますもの」
「さすがの俺も国相手は無理だよ」
そう笑ってみせるが、サムとウル、そしてデライトがいれば仮に周辺諸国と戦いになっても、負けない自信はある。
だが、無駄な戦いも、弱いものいじめもしたくない。
「宮廷魔法使いって面倒くさいね」
「なにをおっしゃいますか。サム様は王弟のご子息です。本来ならば公爵でもよいのです。爵位だけではなく、その強さ、魔王様方との縁、面倒どころではありませんわ」
苦笑するオフェーリアのサムは肩をすくめた。




