26「とりあえず帰宅です」①
「あー! やっと帰ってこられたー!」
屋敷に帰ってきたサムたちは、それぞれ部屋に戻った。
メルシーだけ、全力ダッシュで浴室に向かっていたので、おそらく今頃温まっているのだろう。
「お疲れ様でしたわ、サム様。しかし、ゴーレムですか……ぜひお会いしてみたかったですわ」
出迎えてくれたのはオフェーリアだ。
彼女は、物語を読むことが好きなので、架空の存在だと思っていたゴーレムが実在していることに胸を高鳴らせていた。
それは、身重なため出迎えは控え部屋にいるアリシアとステラも同じようだ。
リーゼとフランは生物としてのゴーレムに興味があり、花蓮と水樹は戦ってみたいとわくわくしていた。
「私は、風呂入って寝る。もう、寒くて……痩せそうだ」
「お疲れ、ウル。お風呂で寝ちゃだめだよ」
「わかってるよ。明日は明日で陛下の護衛だし、お前もハッスルしていないで寝ろよ」
「しないよ!」
寒さが苦手なウルはメルシーを追いかけて浴室に行ってしまった。
「サム様、とりあえずお部屋で暖かいスープを用意してありますのでいかがでしょうか?」
「ありがとう、いただきます」
気の利くオフェーリアに礼を言い、部屋に戻った。
ギュンターの結界や、ゴレ子の恩恵があったとしてもスノーデン王国最北部はとても寒かった。
グレゴリーに言わせると、「暖かくなった」と喜んでいたが、サムとウルからすると吹雪いていないだけマシという感じでしかない。
「朝、ウルと一緒に日課の訓練をしようとしただけなのに、なんでこうなったんだろう?」
「サム様はトラブルに愛されていますものねぇ」
「……褒め言葉として受け取っておくよ」
「おほほほほ」
ソファーに腰を下ろすと、スープをマグカップに注いでオフェーリアが差し出してくれる。
礼を言って受け取るとそっと口につける。
飲みやすい温かさに調節されていて、彼女の気遣いが嬉しかった。
「できましたら、ゴーレムさんたちのお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「もちろん」
テーブルを挟んで反対側に座ったオフェーリアが好奇心を抑えられないとばかりに瞳を輝かせる。
サムは苦笑しながら、今日あった出来事を語っていく。
彼女は相槌を打ちながら、その場にいたかったと悔しそうにしていた。
「とにかく、ゴレ子さんは今まで培った肉体と力をスノーデン王国にくれたんだ。まさかすぐに効果が出るとは思わなくて驚いたよ」
「それほどですの?」
「吹雪と過酷な寒さのせいで人はもちろんモンスターが住めない土地が、人がなんとか住めるほどになったんだから、すごいことだと思う。時間がかかるようだけど、あの地にゴレ子さんの肉体が根付き、植物が生まれ、人が住むようになれば、もっと暖かくなるようだよ」
「……正直、信じられませんわ。もし、ゴーレム方にそれほどの力があるというのなら、喉から手が出る国は多いと思いますわ」
「そうなの?」
「そうですわ! 国を苦しめるのは寒さだけではありません! スカイ王国は場所的に最南端でも季節がありますが、スカイ王国の西側の国々では、熱くて作物が育たない、砂漠化など問題は多いのです」
「ゴーレムさんたちが土地を改善できるって知れば……奪ってでも、と思う輩はいるでしょう」
(――フラグになりそうだけど、揉める予感がする!)




