表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1550/2194

92「使徒の予感です」





「少年」はまっくろな世界にいた。


 泥のようななにかに横たわり、ゆっくりと自分が沈んでいくのを他人事のように感じていた。


 なにも感じない。

 なにも見えない。

 ただ、どろのようなものが引き込もうとしているのだけがわかる。


「少年」は抵抗しない。


 否、抵抗する気がない。


「少年」は、「生前」恐怖を抱えて死んだ。

 人をも弄んだ報いではあるが、「少年」にとっては発狂するほどの思いだった。


 しかし、「少年」がされたことは、「少年」がしたことに対して些細なことだった。


「少年」は人を弄び、尊厳を踏み躙り、命を奪った。


 ただ復讐されただけ。

 もし「少年」が善良ならば、そもそもなにもされることはなかった。



「―――――――――――」



 どこかから声がした。

 もう何年も声を聞いていないはずなのに。

 いや、まだ数日か、もっと長いのか、黒しかない世界は時間感覚がない。

 時間さえないように思える。

 死者である「少年」は脈もない。

 息もしない。


 暗闇と沈黙に包まれているだけの世界だった。




「―――――――――」




 しかし、再び声がした。


 聞き覚えのない声だ。


 だが、どこか、懐かしく温かい。




「――――――――」




 声は「少年」に言葉を紡ぐ。


 言葉の内容は、心を壊しかけた「少年」の興味をそそるには十分だった。


 声は「少年」に言葉を重ねる。

 耳障りのよい声で、甘い言葉を囁いた。


「少年」の目に、生気が宿った。



「――――――――――」



 声に従い、「少年」はゆっくり身体を起こす。

 泥が「少年」を逃さないと絡みつくも、力づくに逃れていく。



「―――――――――」



 立ち上がった「少年」は声に頷いた。

 これからすべきことを理解し、唇を釣り上げる。




「――――――――」




「声」が響くと、世界に光が生まれた。

 泥が逃げるように消え、闇が祓われた。


「少年」は黒髪の、まだ幼さを残す十代の少年だった。

 どこにでもいるような男子だが、特徴的なのは片目が潰れていることだ。

 鋭利な刃物で力ずくで斬られたような、痛々しい痕がある。


 その顔には醜悪な笑みが浮かんでいる。




「―――――――――」




 声がまた響いだ。


「…………うん。わかった。わかったよ。こんな世界どうだっていいよ」


「少年」が頷く。

 声の要望を全て受け入れたのだ。


 すると、「少年」に凄まじい力が宿る。


「――ひひ」


「少年」はその身に宿る力に感動と興奮を覚えた。

 これだけの力があれば、なんでもできる。



 ――復讐だ。



「復讐してやる、絶対に殺して、犯して、後悔させてやる!」



「少年」――葉山勇人は嗤った。






 安心してください! ――雑魚です!


 コミカライズ「いずれ最強に至る転生魔法使い」の最終話がカドコミ様にて公開されております!

 約2年の連載のお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

 ウェブ版はきちんと完結させることをお約束いたしますので、どうぞ変わらず応援してくださってくださると幸いです。

 今後とも何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ