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57「事態が動きそうです」①





「……納得がいきません」


 遠藤友也は、新年のパーティーに呼ばれながらも、国王の挨拶の前に近くにいた女性にラッキースケベってしまい退場となった。

 だが、あとでクライドたちと挨拶をしようと、こうして控え室に待機している。

 王宮側も、友也専用の控室を用意していたことから「ラッキースケベる」と予想していたのだろう。


「今日のご婦人は、先日、もっとエグいラッキースケベをしてしまったのですから、流してくださればいいの。いや! 駄目でしょう! なんでエグいラッキースケベをしたら軽いラッキースケベがいいのでしょうか! ……駄目だ、僕もだんだんスカイ王国に毒されているようだ」


 友也が脱走しないように、また脱走しても連絡ができるように見張りがいる。

 近衛騎士の中でも選ばれた傑物だが、そんな彼も「うわぁ、ラッキースケベ魔王やっべ」と震えている。


「……しかし、疑問です。私の身体を覆うようにギュンターの結界が張られているのに、なぜ? ――っ、まさか、僕のラッキースケベ力がギュンターの結界を上回ってしまったのだろうか!?」


 椅子から立ち上がり、自らの腕を見て驚きに震える。

 騎士は、友也が突然動き出したので恐怖のあまり剣の柄に手をかけた。


「ならば確かめるのが一番でしょう。そこの、君」

「ひぃいいいいいっ!?」

「なぜ……急に怯えるのでしょうか?」


 声をかけられて怯えた声を出す騎士だったが、よほど怖かったのだろう。尻餅をついてしまう。


「いや、あの? 大丈夫ですか?」


 友也は騎士のオーバーリアクションに驚き、手を貸そうと近づこうとすると、騎士は剣を抜いた。


「く、来るなぁあぁあああああああああああああああああ!」

「いや、どんだけ!?」

「わ、私には将来を誓いあった恋人がいるのです! お願いですから、卑猥なことをしないでください!」

「……おかしい。なぜ僕が卑猥なことをすることを前提にお話が進んでいるのかわかりません」

「わ、私は知っている! ラッキースケベ遠藤友也! あなたは女体化して友子ちゃんになって数々の男性を性癖を歪ませ、婦女子にラッキースケベしながら、ちゃっかり婚約して幸せになろうとしている酷い魔王だ!」

「……待ちましょう。あなたは誤解している。女体化は無理矢理でしたし、ラッキースケベった方にはちゃんと謝罪をして贈り物や、慰謝料も払っているのですが」

「そんなことを言って、私を凌辱するのだろう! なにが試してみようだ! なにを私に試そうというのだ!」

「誤解だぁあああああああああああああああああああああああああああ!」


 ギュンターに対して優しいスカイ王国のくせに、ラッキースケベには辛いところがある。

 友也だって好きでラッキースケベしているわけではないのだ。


「いえ、違いますから! 僕を覆う結界がちゃんと作用しているか剣で切り掛かって欲しいんですが」

「剣で切るかかるだと!?」

「驚愕する要素ありましたか?」

「そ、それはどのような意味を持つ隠語だ?」

「隠語じゃねーよ! 深読みすんな!」


 面倒になってきたので剣を奪って試そうとする。


「ひぃいいいいいいい! 近づくなぁあああああああ! せめて、せめてベッドの上でぇええええええええ!」

「もういやっ、この国の変態ども!」


 騎士が悲痛な叫びを上げると同時に、控室の扉がばんっ、と音を立てて開いた。


「……フランベルジュ?」


 扉を開けたのは、どこか眠たそうな顔をしながら、ドレスを着飾った魔王フランベルジュだった。

 いつも寝てばかりいる彼女がしゃんとしている姿を久しぶりに見た気がした。


「どうしましたか、フラベル――へぶっ!?」


 控室に入ってきたフランベルジュは友也の頬を平手打ちすると、告げた。




「重大なことが起きようとしている」

「それ、僕のほっぺを叩く必要ありましたか!?」







 最新コミック2巻が発売となりました! ぜひお読みいただけますと幸いです!

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[一言] 友也さん、相変わらず愉快もとい不憫
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