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45「カリアンと挨拶です」②






「サム、ウルリーケ殿、オフェーリア殿、ゾーイ殿、新年のご挨拶に参りました」

「最初に言っておくと、友也はすでにラッキースケベったので控え室に連行されていったぞ」


 カリアンとマクナマラが近づき挨拶をしてくれる。

 サムたちも挨拶を返した。


「……あいつは本当にイベントに恵まれた奴だな」


 すでに新年の挨拶はしているものの、こうも早く会場から退出させられるとは、さすが最恐の魔王遠藤友也だと戦慄するほかない。


「まあ、友也の事はいいや。おじいちゃんとおばさんも、今年も一年よろしくお願いします!」

「ええ、こちらこそよろしくお願いしますね、サム」

「よろしくの前に、貴様はいつになったら私をお姉さんと呼ぶのだ? 母の姉なのだから、叔母ではなく姉と呼べと言っているだろう」

「いはいいはい、ほっぺ引っ張らないで!」


 おばさん呼びを意地でもやめないサムの頬をマクナマラが抓る。

 ウルたちはいつもの光景に苦笑していた。


「ところで、サム。少し聞き耳を立てていましたが、男爵殿の領地でモンスター退治をするとか」

「はい。困ったときはお互い様ですし、俺は宮廷魔法使いですから」

「人助けをするのであれば、私もお力を貸しましょう。出立の際は、ぜひ声をかけてください」

「ありがとう、おじいちゃん」


 カリアンの強さをよく知るサムは、祖父が力を貸してくれることをありがたく思う。


「いえいえ。スカイ王国に借りがありますから、少しずつ恩返しをさせてください」


 そう言って微笑むカリアンだったが、不意に窓の外を見て憂いを浮かべた。


「どうしたの?」

「ああ、失礼。……神聖ディザイア国が今頃どうなっているのかと思いましてね。孤児院は信頼できる人間に託しましたが、あの子――メイ・リー・リーのことも心配なのです」

「あー、女神の生首持って逃げちゃった人か」

「はい。我が子のように育てた子ですから……申し訳ありませんが、情があるのです。せめて話をする機会があればいいのですが……無理でしょうね」


 カリアンは、スカイ王国に亡命した身である。

 祖国に愛想が尽きていたということもあるが、妻を奪った国にはいられなかったというのもある。

 そもそも彼は復讐を終えたら死ぬつもりだった。

 サムやクライドがスカイ王国に誘わなければ、彼は人知れず残りの生涯を終えていただろう。


 そんなカリアンだが、見限った国で合っても取り残された民を案じている。

 モンド・ムンドもそうだが、ふたりはスカイ王国で暮らし、信頼を得ることで、神聖ディザイア国を救おうとしている。

 道は険しく困難だ。

 まず、神聖ディザイア国とスカイ王国の関係性から考えなければならない。

 幸い、雪に覆われた時期であることから、本格的な戦いにはなっておらず、スカイ王国の民の大半が遠く離れた神聖ディザイア国を認知していない。


 ならば、揉め事が揉め事になる前に、早々と決着をつけ、民を救いたい。


 ――それがカリアンの願いだった。


「……俺は別に良いんだけど、ウルさんが女神を殺すところを邪魔されたから、ちょっと怖いよね」

「……ですね」


 サムは祖父にこっそり耳打ちをする。

 仮に、メイ・リー・リーがカリアンと話をする機会があったとしても、その後立ち塞がるのが獲物を奪われたウルなのだ。


「とはいえ、この雪もそうですが、距離が距離です。しばらく会うことはないでしょう。できることなら、孤児院をはじめ、民が冬を乗り越えられるようにと祈るだけです」






 でも、再会は近いんだけどね!


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