63「レプシーたちに報告です」
「お父さん、娘さんをください!」
「……いや、私はゾーイのお父さんではないのだが」
リーゼにゾーイと結婚することを報告したサムは、その足でレプシーとその家族がいる部屋を訪れた。
サムの来訪を喜んでくれたレプシーたちに対し、土下座をする姿に彼らが目を丸くしたのは言うまでもない。
「でも、家族じゃん!」
「……それもそうだね。どちらかというと兄ポジションを自負していたのだが……とりあえず、立ってほしい。そのままでは話がしにくいからね」
レプシーから差し出された手を握りしめ、サムは立ち上がった。
ソファーに案内され、ダニエルズ一家と向かい合うように座る。
「思えば、こうしてサムとゆっくり話す時間はなかったね」
「……そういえば、そうだったかな。なにかと慌ただしいかったからね。スカイ王国は愉快な国だろう?」
「本当に。まさか私を封じていた国が、これほど楽しい国とは知らなかったよ。クライド・アイル・スカイ国王陛下も、ずいぶん変わってしまったようだ。ははは」
「レプシーに見せてやりたかったよ。あの陛下のはっちゃけぶりを」
サムとレプシーは肩をすくめた。
「以前も紹介したが、改めて紹介をさせてほしい。妻のアイリーン、娘のデイジーだ。名前はまだだが、妻のお腹にも新たな家族が宿っている」
「サミュエル・シャイトです。どうぞ、サムとお呼びください。アイリーン殿、デイジー殿、なにか困ったことがあればいつでも声をかけてください。お力になります。そして、新たなご家族が増えることおめでとうございます」
サムは胸に手を当て、座ったままであるがお辞儀をした。
アイリーンとデイジーもにこやかに挨拶をする。
「アイリーン・ダニエルズです。サム様には夫を解放して下ったことをずっとお礼を言いたかったのです。家族への愛ゆえに、深い悲しみと憎悪で暴走してしまった夫を楽にしてくださったこと、心から感謝します」
「デイジー・ダニエルズです。お父様のこと、ありがとうございました」
「いいえ、そんな。当時の俺は、レプシーの苦しみなどちゃんと知りませんでした。結果的に、良い結果となっただけなのでお礼は不要です」
「それでも、感謝しているのです。おかげで、夫と娘と新たな人生を歩むことができています」
「どうか以前の人生よりも幸せになってください」
サムの言葉に、アイリーンとデイジー、そしてレプシーが深々と頭を下げた。
そして、顔を上げた彼らは、顔を綻ばせる。
「ゾーイは、私たちにとって大事な家族です」
「はい」
アイリーンがサムをまっすぐに見つめた。
「あの子の過去は知っていますか?」
「全てではないですが、聖女であったのだと」
「彼女は人間でいたとき辛い境遇でした。私が話してしまうのは違うので、ゾーイが話したくなったら聞いてあげてくだい」
「もちろんです」
「短い間しか一緒にいられなかった不出来な姉ですが、大切な妹であるゾーイのことをよろしくお願いします」
「はい」
アイリーンに続き、レプシーとデイジーも頭を下げた。
サムはゾーイが彼らに心から愛されていることを知ることができてよかったと思うのだった。
レプシーさんたちは歓迎です。
彼らの気持ちは、後日ゾーイとのやりとりでしっかり書かせていただきます。
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