親友達
沙織とのLINEのやりとりも増えて、昼間も普通の会話をするようになっていた。
出張先でも営業の合間をぬって沙織にLINEを入れていた。
孝治の中で沙織に対する気持ちが強くなっていった。
それが孝治の気持ちを不安にさせていた。
出張先のホテルにつきビールを開けるが耐えきれず孝治は高校時代の友達の弘明に電話を入れた。
ずっと仲の良かった友達だ、互いのほぼ全てをさらけ出す事の出来る存在だ。
沙織との全てを弘明に話した。
「お前さ〜、いつまでそんな事やってるんだよ。何のために転勤でそっちいったんだよ。お前は夢の為に元カノとも別れて行ったんじゃねーの?そんな状態で誰かと付き合って、二人とも幸せになれると思ってんの?」
孝治は黙って聞いていた。
そんな会話ののち次いつ帰ってくるのか、帰ってきたら遊ぼうといった雑談が続いた。
「夢叶える為にそっち行ってんだろ?だったら自分の夢叶えろよ。夢叶えてから誰かの幸せ考えろよ。どうせお前の事だから、その子に強く言ってないんだろ。悪者になれないんだろ?優し過ぎんだよお前、傷つけたく無いんだろ?でも今のお前だと中途半端すぎ、一回振っといて好きってさ、男だった最後まで言った事通せよ。じゃないとお前誰も幸せに出来無いんじゃないの?」
全く遠慮する事ない親友の意見だった。
孝治は言い訳する事もなく、弘明に礼を言い考える事を伝えて電話を切った。
大きなため息が出た。
そこへ沙織からLINEが入る。
「こうちゃん誕生日いつ?」
孝治は自分の誕生日を伝えて、沙織の誕生日を聞いた。
その誕生日は出張から帰る日だった。
孝治はビールを飲み干すと、同じ高校のバツイチの友達の麻美に電話をした。
「えー、孝治から電話とか珍しいじゃん、そっちはどうなの?もしかして寂しくて私の声聞きたくなった?」
懐かしい声だ、麻美とは恋愛関係があったとかそういう仲ではないが、高校を中退したその子と大人になってから再会し地元にいた時はよく遊んだ仲だ。
孝治は軽く相談してみた。
「へー、あのさぁ孝治はどうしたいの?今のままじゃその子どんどん傷つくだけだよ。はっきりさせなよ。転勤なんでしょ?孝治みたいにいつも家にいない人だと、その子可哀想だよ。」
麻美は不機嫌そうに話していた。
「変な相談してごめんな、でもなんか耐えれんくてさ。」
孝治は何故か謝ってしまった。
「孝治が幸せに出来る自信があるなら、付き合えばいいよ…。でもそれだったら私でも良かったんじゃないの?元カノと別れたあと会ったじゃん?私だって孝治に着いて行きたかったけど、孝治は夢叶えて帰ってくるって言ってたし、私はそれならって思って着いてくのやめたけど…。ってか何言ってるんだろうね。」
孝治は麻美からの意外な告白に照れてしまった。
気まずい空気が電話越しに流れる。
「孝治は優しいからな〜、でも私は騙されないよ!ってか私も色々あってさ、大人って難しいよね。」
孝治は内容を聞こうとした。
「すっごく長くなるから、今度帰ってきたら飲みに連れてって、夜の仕事辞めてから余裕無くて、全然行けてないの。」
麻美はいつもの調子に戻っていた。
「俺年末まで帰れないけどな、ってかお前俺に奢らせる気だろ。ふざけんじゃねーよ。」
孝治はいつもの調子で麻美にキレた。
「いや、私も出す…。と思うよ。うん出す。」
麻美は冗談混じりに渋っていた。
「嘘だって、俺は飲み代くらい出せるくらい稼いでるからその分で息子に上手いもに食わせてやれ。年末帰ったらまた連絡するわ。店ぐらいお前探しとけよ。あんま高かったら却下な。」
そんな冗談を交わし電話を切った。




