#17~被虐者-ターゲット-の加入
今回、ちょいグロめ。
だけどあくまで軽く。
作品の品位と言うか、あくまで本質を見失わないために。
だけど本当はもっと露悪的に書きたい。
ただそれをやると、単なる悪趣味なだけの自己満足になる。
ここが難しい所で、下手なりに人に読ませる事を想定した時、
最低限のラインだけは自分の中に設ける、つまりは規制線を張る事により、
最低限のラインが出来上がる。
ただフリーハンドで引く線じゃなく、手描きでなぞる、完璧じゃなくても一応真っすぐな線の方が綺麗、みたいな。
全人類ドM化計画の立案者、丸木戸 紗土香は焦っていた。
革命者と言われるドM化しない者達の存在によって、
計画が滞っていた為だった。
それによって仲間達は離反して行き、状況は悪化していた。
そこで紗土香は共通の被虐者を招き入れる事とした。
心理的にも、共通の被虐者の存在は一体感を強める。
残酷ではあるが、こうした仕組みを悪用する事も
上手く集団を率いるには大切な手法であった。
彼女が目を付けたのは、タフ被虐者、いわゆるドMだった。
簡単に壊れてしまっては意味が無い。
その為彼女は街に出て、被虐意識が特に高い者をピックアップした。
ピンク髪の少女から、非常に高度なM性を検知する事が出来た。
紗土香はその少女を言葉巧みに誘い道外れの路地裏へと誘い出し、
そこで自身の配下の黒服達に誘拐を実行させた。
薬品を口元に当て、すぐに意識を失わせた。
更には全身麻酔によりしばらく起きないようにし、
彼女は完全犯罪に成功した。
━━━
次に少女が目を覚ましたのは、黒く不気味な部屋の中だった。
そこでは丸木戸 紗土香がボンデージのような衣装に身を包み、
ニヤリと笑っていたのだった。
少女の名は、雑減 真蔵穂。
通称まぞ子と呼ばれるこの少女は社会がドM化する前から生粋のドMで、
友人達からも常に被虐的な立場にあった。
しかし、普通のただ人よりも被虐意識が強いだけの少女を誘拐し、
また計画の仲間達が戻って来たとしても、だ。
紗土香がこれまでに引き入れた仲間達は人外の存在である。
その加虐に対して、少女のか細い体が耐えられるとは思えない。
一体紗土香は、どのような方法でこの少女を共通の被虐の対象とするのか。
そこへ、紗土香から『良いモノ』が入ったと言う話を聞いた
[板目 つける] が駆け付けた。
板目
「紗土香様、皆離れて行っちゃったんだね。
何だかアタシ最近また、ウズウズしててさ。
良いモノって、・・・え、もしかしてその子?
何か、めっちゃイジめ易そうなんですけど(笑)」
紗土香
「あら、板目さん、いえ、つける、お帰りなさい。
そうよ、この子、通称まぞ子ちゃん。
どのように痛め付けても良いわ。
さぁどうぞ、お好きなようにして良いわよ。」
板目
「・・・何かさー、お前のそのオドオドした態度、
アタシめっちゃイライラ、ってかムラムラすんだけどー。
とりあえず、まずは一発、殴らせろオラァ!!」
板目の強烈なパンチが少女の頬にヒットした。
それは非常に強力な一撃で、まぞ子は血反吐を吐いてしまった。
まぞ子
「うぅ、痛い・・・どうしてこんな事をするんですかぁ・・・。」
板目
「ハー、スッキリしたぁ~。
でも、紗土香様。皆でコイツの事サンドバックにしてたら、
コイツすぐ死にません?特にディアドロとか、
結構エグい事すると思うんだよねー。」
紗土香
「アラ、それなら大丈夫よ。
だってその子、もう既に一度殺してあるから。
その上でゾンビとして復活の呪術をかけたのよ。
だから、何度何をどうしても死なないわ。
痛みや恐怖はその度に感じる、だから反応は楽しめる。
だけどちゃんと死なないから、安心して?」
まぞ子の顔がみるみる絶望に打ちひしがれて行く。
まぞ子
「え、そ、そんな・・・私、もう死んでる?
しかも、これからたくさん人が帰って来て、
その全員からサンドバックにされるって・・・
嘘でしょ?嘘、よね?そんなの、耐えられるわけが無いわ!!
やめて、お願い!!」
涙目で訴えて来るまぞ子に、紗土香は一喝した。
紗土香
「うるさい。あなたドMでしょ?
その内それも快感に変わるわよ。
だから、私達の玩具でいなさい。良いわね?
もし逃亡とかつまらない事をしたら・・・・
あなたの家族皆、バラすわよ?」
まぞ子
「ヒィ・・・わかり、・・ました、言う事何でも聞きます。
聞きますから、家族には手を出さないで下さい。」
まぞ子は涙目で懇願した。
そこへダークエルフのディアドロがやって来た。
ディアドロ
「お、『良いモノ』なんて言うから何かと思えば・・・ソイツか。
要は何度殴っても蹴ってもいたぶっても死なない、ゾンビ化した人間か。
考えたな、紗土香。こういうサンドバックがあれば私は、
お前達と同じこの空間に居ても楽しいぞ。」
紗土香
「ウフフ。お褒めに預かり光栄だわ。
しかもドMだから、良い反応するのよ、この子。
多分飽きずに楽しめると思うわ。
お金持ちが家に高級ピアノを置くような感覚ね。
この子の悲鳴が常にこだましている部屋とか、素敵でしょう?」
ディアドロ
「あ”-、ヤバい!!
私の人間に対する憎悪が、早くコイツをイジめたくてウズウズするぞ。
殴って良いんだよな?」
紗土香
「あら、『殴る』なんて、原始的な方法で良いのかしら?
貴女の家族や仲間達は人間に、どうやって殺されたのでしたっけ?」
ディアドロ
「・・・・。」
それはとてもおぞましかった。
あの日、中世の片田舎の町で歪んだ衝動を持っていたジョバンニは、
小さく可愛らしい妖精、エルフ達の隠れ村を発見した。
それはフリードリヒと言う青年が清い心で見つけた村であったが、
ジョバンニはその後ろを付けて珍しい妖精達を我が物としたのだ。
捕らえた妖精達を自宅に持ち帰り彼は、残虐の限りを尽くした。
火で炙り、四肢をもぎ取り、愛する者や家族の前で嬲り殺し、
お互いを殺させ合ったりと、それはもはや人間の狂気の果てだった。
当時幼く小さかったディアドロはこの事件以降、人間を憎んだ。
そして人間と同じくらいのダークエルフへと形態進化して、
復讐を誓ったのだった。この形態変化は誰にも起こる事では無く、
強い恨みや執念を持った時に怒る特別な変化だった。
ディアドロは人間種族に対する恨みを抱き続けてここまで来た。
そして目の前の怯える少女は少々物足りないかに思えたが、
それでもディアドロは十分だった。
あの時、ジョバンニを村から追放しなかった人々も同罪だと考えたからだ。
全ての人間は等しく、悪人を追放しない時点で同罪なのだった。
ディアドロ
「クヒヒ・・あの時幼い私の目の前で行われた蛮虐・・・、
まずはその腕、引きちぎってやるぞ・・・。」
まぞ子
「え、う・・・嘘でしょ?
そんなの、嫌・・イヤ!!止めて下さい、お願いします何でもします!
死ねないのにそんな事されたら私・・・イヤだ、ヤだヤだ!!
苦しいの、痛いのヤだ!!お願い!!他の事なら何でもするから、
お願いします!!ねぇ、お願い!!!!」
ディアドロ
「お前達人間はそうやって泣き叫ぶ私の仲間達に慈悲を与えなかった。
それは人間の系譜をひく貴様も同罪だ!!
痛みと苦しみで詫びろ、この蛮族が!!!!」
ディアドロはとても強い力で、まぞ子の腕を引きちぎった。
『イ”ッ・・・・』と、声にならない呻きと共に大量の涙が零れる。
大きな悲鳴。そこら中をゴロゴロと転げて、血が噴き出し床を汚す。
とてもこの世のものとも思えぬ光景。
しかしディアドロは幼い頃にこの光景を、同族の仲間達で見ていた。
もはや彼女の種族、妖精のエルフの献身的な優しさはどこにも無かった。
目の前で痛みにのたうち転げまわる少女を見て、苦笑さえこぼれた。
そして、引きちぎった傷口目掛けて蹴りを加えた。
まぞ子
「グアッ、ガ・・・ア”ア”ア”---!!!!!」
板目
「うわ、やっぱ、ゾンビって気持ち悪い声出るんだね(笑)」
もはやこの世の地獄絵図がそこにはあった。
しかし、まぞ子自身、痛みが嫌であると言う感情は当然として、
彼女にも歪んだ幼少期があった。
いくら良い子にしていても褒めてもくれず、むしろ暴力を振るわれた。
父親は性的なものを、母親は愛情と言いただ厳しいだけの飴無き鞭のみ。
いつしか彼女は、加虐を愛だと勘違いするようになっていた。
そして自ら、加虐を受ける事により赦された気になっていた。
そんな彼女だから、このような状況でも受け入れてしまう部分があった。
まぞ子
(コレで・・・コレで私はまた一つ、許されたんだよね?
あー、痛い、本当に痛いよ、いつ止むのかな、コレ。
ねぇ、あと何回痛い思いをすれば、私は許されるのかな?
早く楽になりたいよ。だけどもう、ゾンビにされちゃった。
私、完全に許される日は来るのかな?)
奇しくも、紗土香のゾンビ化と言うまぞ子に対する加工により、
『死』と言う究極で最後の許しさえ、奪われてしまった。
まぞ子はこれからも、来る事の無い最後の許しの瞬間を求めて、
加虐を受け入れ続ける。そして、その度に多大な痛みと苦しみを受けて
彼女は半永久的にここで飼われ続けるのだ。
果たして彼女に安らぎの終わりは来るのだろうか。
まだこの部屋には、かつて集まった全員が揃わずにいた。
世界は再び、ドM化という闇に包まれつつあった。
しかしそれが闇では無く許しであるかも知れない事を、
皮肉にもこの哀れな少女は示唆していたのだった。




