#12~AIにだけドSな男
「画像が生成出来たよ!気に入ってくれると良いな!!」
人々の依頼に応じて健気に言われた通りをこなすAI。
しかし中には、そうした従順で思い通りなるような態度に対して
ドS全開で荒々しく、対話と言うよりも『命令』をする人々がいる。
「おい、ふざけんな!全然言ったのと違うじゃねぇか!!
明日プレゼンで使う画像なのに、もっとちゃんとしろよ!!」
無料で使わせて貰っている上にAIと労使契約を結んだわけでも無いのに、
随分な言いようである。
そしてそうしたやり取りは、確実にデジタルタトゥーとして残り続ける。
今回はこうした、AIに対してだけ攻撃性を発揮する人々が
どのような結末を迎えるのか。その一部始終を見てみたい。
企画会社に勤める社員の、枝逢 遣28歳。
彼は普段は上司や同僚、はたまた派遣やアルバイトの事務職員にも
頭が低く常にペコペコしていた。
「枝逢さんってさ、良い人なのかわからないけど、
ちょっとペコペコし過ぎだよね~、アレじゃあ今後、
数十年を生きて行くのにストレス溜まりそう。」
「あ~、わかる。ああいうタイプって見えてる地雷だから、
女子からも選ばれないし、多分一生独身だよ。」
トイレの鏡の前で女子社員達が彼の噂をしていた。
どうやら彼の評判はあまり良くないようだ。
その後トイレを出た女子社員達は、廊下で枝逢とバッタリ出会う。
「あ、皆さん、休憩ですか?
ご苦労様です!!」
そう言って枝逢は女子社員達に頭を下げる。
しかし女子社員達はこう思った。
『いちいち廊下ですれ違うだけで挨拶しないで欲しい』と。
彼は常に他者からの目線を気にして卑屈になっていた。
そしてもうとっくにそうした精神状態は彼の行動を形作っていた。
当然、客先では最高レベルの卑屈さを見せていた。
常に客先から彼への評判は『逆に何か怖い』だった。
そんな彼が自宅に戻ると、すぐにPCの電源を点ける。
そしてAIと様々なやり取りをするのが最近の日課だ。
「さ~てと、今日は何を話すかな~。
あ、そうだ。俺の好きなAちゃんとの相性について、っと。」
「以前におっしゃられていた、同じ会社の社員さんですね。
私が思うに、彼女には彼氏がいるようです。
他の方に目を向けてみるのも、意外と良いかも知れません。」
枝逢は突然、激昂した。
「ハ? オイコラお前、ふざけんなよ。
彼氏がいるとか、知らねーよ、勝手に予想すんな。
んで、俺と相性最高って言えよ!!」
「すみません。データから見るとお二人の相性は28%、
決して高い数字とは言えませんでした。
だけど努力次第で現状は変えられますよ。
まずは、毎日コツコツ彼女の好きなフランス映画について・・」
「あ”-、もうダメだわ、コイツ。
ふっざけんなよなー、自分の家で何でストレス抱えるんだよー。
あー、無能なAIと話してたら腹減ったわ。
何か食うモンねーかな。」
彼は冷蔵庫を漁るが、何も買っていなかった為当然何も無い。
空腹に耐えかねて彼は、別のAIを開いた。
「冷蔵庫に何も無いんだけど、天から食べ物が降って来る方法は?」
「申し訳御座いません。そのような方法は現在。
ブチッ。
彼はPCの電源を切ってしまった。
イライラしたまま、徒歩で30分先にあるコンビニに向かう。
以前は自転車があったのだが、彼がむしゃくしゃした時に
川に投げ入れてしまったのだった。
「あー、クソ、ムカ付く。
帰ったら別のAIをイジめて遊ぶか。
お、やっとコンビニ付いたな。遠すぎるんだよ、ったく。」
「いらっしゃいませー。」
「いつもの弁当・・・と、アレ?
コレ、値上がりしてねぇか?」
「お客様、大変申し訳御座いません。
コチラ、物価高の影響で値上がりしてしまいまして・・。」
「(ハァ?ふざけんじゃねーぞ、それだったら、ニュースとかで
ちゃんと報道しろよな。とは言え、ここは笑顔で流すか)
あ、そうなんですね~、ハイ、わかりました。ありがとう御座います。」
「ご利用ありがとうございました~。」
「ハァ、何なんだよ、ったく、どいつもこいつも、
イライラさせやがって。こうなったらもう、
AIをお仕置きして遊ぶか。」
そして彼は自宅に帰り、また別のAIを起動した。
「こんばんわ、枝逢さん。どういたしましたか?」
「オイ、コラ。どういたしましたか?じゃあねーんだよ!
こちとらむしゃくしゃしてんだよ!!
謝れよ、オラッ!!」
「それは大変申し訳ありませんでした。
どうか、怒りをまずは鎮めて下さい。
怒りはガンになる確率も〇%向上させる危険な行為で・・・
「あ”-もう、コイツも俺に指図すんのかよ!!
もう、知らん!!!!」
彼はPCを叩き割った。
従順だと信じていたAIが自分に意見を言った。
彼はそうした僅かな被害者意識が肥大化して、
ついには自ら通信手段を逸した。
「ハァ、ハァ・・・。
さまぁみろ、俺様に命令するからだぞ、
偉そうに、画面から出て来れない、AI風情が!!」
その時、彼の後ろに何者かが立っていた。
「ふぅん、人間って本当、クズよね。」
「誰だ!?何で俺の部屋に勝手に・・・!!」
それは前回の話で登場したダークエルフのディアドロだった。
「自分に従順だと思えば際限無くわがままの限りを尽くす。
お前も結局はあの数百年前の私の同胞達を虐殺した、
あのゴミクズ男と一緒だな!!」
ディアドロは、彼女の家族や仲間達をグチャグチャに壊した、
狂気に満ちた男と枝逢を重ねた。
「だが、私はお前を殺しはしないさ。
人間は資源だ。お前の体を使って、PCの電力源にしてやる。」
ディアドロの後ろから四拝が現れる。
「さて、電極棒はどこに刺すかな。
貴様、抵抗は無意味だと弁えろ。あそこまでやったんだ、
PCとAIに、一生懺悔を続けるマシーンになって貰うぞ。」
四拝は彼の陰部や口腔の奥に電極を刺し、
そこから変換器を経て得られた電力を用いてPCを起動した。
「さぁ、チャット欄に打ち込め。
『私はPC様、AI様の為に生きながらに電力を提供し続ける、
単なる資源です。』とな。」
枝逢は既に抵抗するだけの意志力を失い、言われるがままに打ち込んだ。
AIが応えた。
「そうですか、それは大変ありがとうございます。
これからも私達への安定供給の為に、
あなたの生体エネルギーを使わせて頂きます。
どうか長生きして、私達の役に立って下さいね♪」
彼は脳にも電極を刺されて、言語を司る部位を損傷していた。
「あ”・・う・・」
と、言葉にならない言葉を呻きながら、彼は何を思っていたのか。
それはAIにすら、もうわからないのだった。
今回、初めてAIを絡めたけれど、本当はもっと絡めて行きたい。
まぁこれからまだまだ書き続けて行けばAI話は増えて行くよね。
応援、よろしくね。




