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#10~サキュバス・リリスの成長

挿絵(By みてみん)


全人類ドM化計画の中でも、性エネルギーの取り扱いについては

特に重要事項として挙げられている。


今回は前回に引き続き、サキュバスであるリリスの話だ。

しかし前回と違うのは、男から吸い取った性エネルギーにより彼女が

完全な大人のサキュバスへと進化した事だ。


こうなってしまうともう手が付けられない。

紗土香の歪んだ愛ゆえの救済や、四拝の計算による管理とも違う。

リリスは完全に自身の維持の為のエネルギーとして、

人間の性エネルギーを吸収し、消費・代謝していた。


彼女に魅入られて、最後には全てを奪われる事は果たして幸福なのか。

そしてその存在は実在なのか、それとも人が生み出した概念なのか。

そうした問いかけを持ちながら、彼女の活動を見て欲しい。




サッカーチームに所属している芦草あしくさ 蒸雄むれお19歳は、

もはや性欲の権化のようであった。


夜な夜なクラブやバーに出かけてはナンパを繰り返し、

それらに失敗する度に自宅のリビングで激しく自慰を繰り返す。

彼の屈折した思いは決して誰にも届かないまま、

20歳のバースデーを迎えようとしていた。

彼は女の子を捉まえる事が出来ず、仕方なくチームメイトを誘った。

しかしチームメイトは、


「え~、ヤだよ。だってお前の部屋、足の匂いがするもん。」


と、やんわりと断って来たのだ。


仕方なく一人で8号のホールケーキを注文し、

それを一人で平らげようとしていた時、事件は起こった。


突然、ベランダ側の窓が開きそこから風が流れ込んで来た。


「あれ、おかしいな。ちゃんと閉めてたはずなのに。」


そうして窓を閉めようとしたその時、

ベランダの壁面の上に長く綺麗な茶髪に頭に悪魔の角、

ゴスロリのようなボンデージのような黒く光沢のあるミニドレス、

そして彼の性癖にマッチしたニーハイソックス、

そして背中には小さな悪魔の羽のようなものを生やした女性が

腰かけていた。


「え、え、お姉さん・・・・誰?」


「ふふ、覚えていないのかしら?

 昨晩の夢を思い出して御覧なさい?」


芦草は必死に昨日の夢を思い出そうとした。

何かとても良い夢を見て、何かをやらかした・・・

そうだ、起きたらパンツの中がカピカピになっていた。

でも、何故だ?夜にはちゃんとシャワーを浴びた、

おねしょをしたわけでも無い、だからそのままにした。


・・・いや、待てよ。


芦草は、大事な何かに気付き始めていた。


起きてすぐにネットを開き、大好きなアニメのキャラを見た。

何故それを見たのか。段々思い出して来た。


彼は今目の前にいる悪魔のような恰好をした女性と、

性的な行為に及んでいた。そして朝になりカピカピのパンツ。

そう、彼は夢精していたのだと気付いた。


「あ、だからだったのか・・今わかった。」


「ふふ、細かくは覚えていないかも知れないけれど、

 再現してあげようかしら。ホラ。」


そう言うと悪魔のような女性はニーハイソックスをするすると脱いだ。

そしてそれを彼に差し出した。


「ほら、嗅いで?今日は一日色々と飛び回ったから疲れたし、

 多分臭いよ。」


芦草はたまらず、何の躊躇もなくそれを嗅いだ。


それは、自身の足の匂いとは似て非なるものだった。

確かに一般的に言う足の蒸れた匂いはするのだが、

それ以上に彼の腹の底にある何かを呼び覚ますような

幻惑的な匂いがした。

彼の愚息はムクムクと起き上がった。


「アタシはリリス。人間達が作った欲望の象徴。

 ねぇ、おウチに招き入れてくれないかしら。」


芦草は言われるまでも無く既に期待に胸とか色々と膨らましており、

躊躇なく ”どうぞ” と彼女を自宅の部屋へと招き入れた。


「ありがとう。あら、この匂い・・・。

 あなた、相当に溜まってるみたいね。」


普通であれば単に足が臭いのが部屋中に漂っているだけだと感じるだろう。

しかし彼女はそこから何かを嗅ぎ取った。


「あ~、コレね。普通、あなたくらいの年頃は最もお盛んだけど・・、

 この量はちょっと、あまりに異常よね。」


彼女が目をやったのは、部屋にあるゴミ箱である。

そこには足草が自家発電をした証のティッシュが所狭しとひしめき合い、

それは使用済みティッシュ戦国時代とでも言うべき様相を呈していた。


「くっさぁ~い♡

 ねぇ、アナタもしかして、サッカーやってれば女の子にモテて、

 ヤリまくれるとでも淡い期待してたの~?」


芦草は、彼女に全てを見抜かれていた。


「ぐ・・・そ、そうです、その通りです・・・・。

 見抜かれたついでに、『見抜き』しても良いですか!」


見抜きとは、ただ対象を直接見ながら自家発電を行う事である。

リリスが応える。


「あら、それで良いのかしら?

 女の子はね、清潔感にビンカンなのよ?

 そんな臭い足じゃあ、一生モテないわよ?」


「ぐ・・・。わかってる、わかってるよそんな事自分が一番。

 だけど・・・仕方ないじゃないか。

 どうやったらモテるかなんて、誰からも教わらなかったから・・。」


芦草は落ち込んだ。

しかしそれは落ち込んだフリであった。

落ち込んだフリをすれば優しくリリスが抱きしめてくれて、

そのまま行為に及べると考えたのだ。


「あのねぇ、アナタ。私がサキュバスだと気付いてるみたいだけど、

 別に簡単にヤらせるようなビッチじゃないのよ?

 アタシだって選ぶ権利はあるわ。

 こんな足臭がする部屋で好意に及ぶなんてごめんだわ。

 サキュバスをナメないで頂戴。ナメるのは上手な子だけで良いわ。」


何と、一般的なイメージでは相手を選ばず行為に及ぶサキュバスだが、

このリリスは相手を選んで行為に及ぶらしく、足草はその対象から漏れた。


「え、そんな・・・サキュバスなら、誰でも良いんじゃ・・・。」


「あのねぇ、だから、そういう童貞思考が捨てきれないから、

 こうやって相手にされないの、わかってるかしら?」


まさかサキュバスから説教をされるとは。

しかし足草は手元に持っているリリスのニーハイソックスを思い出した。


「じゃ、じゃあ、コレを使って自家発電するから、見てて下さい!!」


「ふふ、良いわよ。だけど本当に哀れよね。

 私達サキュバスは相手を選ぶ事があるとは言えど、

 行為に及ぶ確率は96%とも言われるわ。

 それなのにそんなサキュバスを前に自家発電って、

 惨めねぇ、アナタ。」


芦草はニーハイソックスの匂いとその言葉でもう十分に、

お釣りが来るほどだった。

彼はものの見事にたった45秒で果ててしまった。


「あらぁ、早いのね。

 それじゃあ、このアナタから放出された性エネルギーだけ、

 貰っていくわね。」


そう言うと彼女は何も無い空間に手を伸ばし、

掴んで口に入れる仕草をした。


「むぐっ!?

 ま、不味いわね、普通こんなの、不味いなんてそうそう無いのに。」


芦草は微妙な気持ちになった。

勝手にサキュバスが部屋に入って来て、期待をしたら裏切られて。

挙句に性エネルギーを不味いと言われて。


「キ、キミちょっと失礼だぞ。

 む、胸くらい、触らせるべきなんじゃないか!?」


しかしその必死の指摘も虚しく、彼女はそそくさと部屋を出る。


「じゃあね、足の臭い童貞クン。

 多分これからも女の子に相手して貰える事は無いと思うから、

 今日の事をオカズにこれからを生き抜きなさい。

 それじゃあね、バイバイ♡」


彼女は、羽を広げて遠くの空へと飛んで行ってしまった。

芦草はその夜空をずっと見ていた。



翌日から、彼はドM化してしまった。

元々モテない男であったが、更にこじらせてしまった。


彼はサッカークラブのマネージャーの女の子に

「靴下を下さい!!」と堂々と請願し、ドン引きされた。

その後マネージャーは、このサッカークラブを辞めてしまった。



翌日、既に次の町にいたリリスは考えた。

人間とはどうしてこうも哀れで単純なのだろう、と。

欲望に抗えず、不当に釣り合わない条件に対しても

感情が昂っていれば平気で乗って来る。

こんな不合理な生き物が生態系の頂点のような顔をしている

この現実社会と言うものの現状を憂いた。


しかし彼女は丸一日次の町まで飛び回り疲れていた。

そろそろ食事休憩をしたかった。

そこへ清潔そうな爽やかな整った顔をした男性が歩いていた。


「あ、あの人にしちゃおーっと。

 今度は本番しちゃっても良いかもね。

 人間もサキュバスも、

 結局はイケメン好きなのは変わらないのよね~。」


こうして彼女はまた、次の獲物へと食指を動かすのだった。

リリスは中々良いキャラかもねー。

単なる普通の都合が良い性欲処理みたいなバカっぽいキャラクターにしたくなかったから、

単に男に快感を与える存在じゃなく、あくまで自分の都合で性エネルギーを搾取する存在にした。

こうした自由なキャラメイクが出来るのが無ジャンル創作の強みかもね。

エロ同人とかだとどうしても都合の良い展開になりがちだし、少年誌みたいな健全だけを取り扱いたいわけじゃない。

書きたいのはあくまで、創作の中に1mm垂らされたリアルだけだから。

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