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たからさがし

「こんなものでこの程度――僕はね、なにもないんだよ」


 その言葉を聞いて暇仁の懐にようやく入れた気がした。ただそれは、求めていたものとは異なる形で。


「なにもない――喜怒哀楽の感情は当然持ち合わせているんだけど、それぞれの沸点が異常に高いと言えば良いのかな……全てが薄いんだ、何事にも興味が湧かないし関心を寄せることが難しい」

「どういうことですか?」


「そうだね。興味がないと決め付ける程まで人間を辞めてはいないんだけど、世界に降り掛かった悲劇も周囲に訪れた喜劇も目の前に広がるその全てが無味無臭の味気ないものにしか感じ取れない」

「感動出来ないってことですかね……?」


「そうかもしれない。喜怒哀楽――そのどの感情であっても心が揺さぶられたことはない」

「うーん、流石に家族や親しい友人とか……そういった身近な人に起こった出来事とか、自身に起きたことはどうですか?」

「なにも感じない、今のところは。『あの人とは話題が合う』とか『この人の話は面白い』とかを客観的に判断することは出来るんだけど、それを主観的に感じられたことがないのだろう……杏とのことも、姫のことも、匁流君のことも、火芽氏のことも、誰になにが起きても心が動くことは残念ながらなかったね」

 仁さんの真っ直ぐな瞳はどこか虚しく乾いているようだった。


「……じゃあ、もちろん私のことも?」

「申し訳ないけどその通りさ。ヒメちゃんのことも全てが全て客観視と一般論で導き出した行動による結果でしかない」


「匁流君と三人で楽しく話したことも?」

「うん、あれも"この場面ではあの行動が良いだろう"と瞬時に判断して行動しているだけ……感情から溢れる言動は一切なかったよ」


「私を無解決にした時も……?」

「同様さ、無解決にする為に人を用意して場を作っただけ――その結果として君が助かり他が死んだだけという感想しか湧かない」


「で、でも!さっき……父との約束を果たすとか、無解決に対して筋を通すとか言っていたじゃないですか!?」

「そうだね、でも当たり前のことだよ?」

「なにがですか?」


「約束は守るものだし、なにかを為すには道理が必要だ――そこに個人の感情は不要だろうに」

 そこに彼の全てが詰まっている気がした。


 暇仁は知識と経験則に全ての判断を委ねている――それはつまり、周りの人からの印象や世間からの評価は全く考えていないんだ。倫理や道徳も"知識"から引っ張り出しているだけに過ぎず、善意も悪意も一般論から導き出しているのみ。微かな感情はあってもそれが余りに薄く弱々しいから表に出てくる前に消えてしまう。人間関係も経験則と技術でどうとでもカバー出来るだろうし、仕事も同様だ。


 要するに、彼は世界がどうでもいい存在と認識しているとも言える。


「それは厄介ですね……」

「そうかな?」

「そうですよ!」

「ははっ、ならそうなんだろう」

 暇仁という人間がこんなにも空っぽでなにもない……それが悲しくて堪らなかった。


「……なら、仁さんの美学はどう説明するんですか!?」

 彼の美学――嫌という程聞かされたあの台詞から始まる一連の件は?


「謎は謎のままが美しいってやつかな」

「そうです!」


「あれは……僕の"小さな希望"を込めているんだ」

「小さな希望、ですか……?」


「うん、小さな希望――明日の遠足が楽しみで眠れない子供のように、与えられた玩具箱になにが入っているかドキドキするように、片思い中の不安と期待でソワソワするように、恋人とのデートに向かう最中のトキメキのように、合格発表を控えた学生のように……どうでもいい世界にどうでもいい日々の出来事、そんな絶望の中でも生きていけるようにね」

「はぁ……」


「僕はね、心踊るなにかと出逢いたいんだよ」

 そう言った仁さんは悲しそうな顔をしていた。


「それと原理は全く同じなんだ。摩訶不思議な事象も頻繁に起きる事故も不意に舞い込んでくる事件だって、そう……解決したら終わってしまう。その真相がより感情を揺るがすことに発展すれば最高だけど、なかなかどうして……そんなケースは今までなかったんだ。何度も何度も謎を暴いてきたけど本当にガッカリな結果ばかりだった」

「シュレーディンガーの猫……」

「お、ヒメちゃん良く知っているね!褒めてあげよう!」

「嬉しくないです……」

 感情のない褒められは流石の私も嬉しくはない。今までの一喜一憂を返して!!


「箱を開けるまで結果は分からない――複数の可能性を秘めた世界がそこにはあるんだ。謎も同じだろう?」

「解決するまで結果は分からない……ですか」


「そうなんだよ!ドラえもんのテーマ曲じゃないけど『あんなこと良いな』や『出来たら良いな』てな感じで、色んなことを考えて可能性を広げられる。そこには夢も浪漫も無数にあるんだ!でも、結果を知ったら今までの可能性は潰えてしまうよね、発展性もない下らないオチだったらどう思う?」

「つまらないと思うかもしれませんね」

「そう、つまらない。いつもの日常と同じさ。平穏なのは良いことだと思うけど、僕は自身の内から溢れるなにかに触れたい。どうでもよくない世界に辿り着きたいんだ」


 謎は謎のままが美しい――内容如何に依存する結果とは異なり、無数の可能性に満ちている過程である謎だからこそ美しいということ。それは言葉通りの意味でもあるし、自身の弱さを吐露している暇仁の心の叫びでもあった。勝手に期待して勝手に失望したくない、納得出来ない結末を迎えたくない、理解出来ない結論では語れない、空虚な結果に自分を重ねたくない、最後に傷付くぐらいなら最初からなにも求めない。その過程だけを勝手に愉しむ自己防衛。


「なら、探偵を始めた理由は……」

「お察しの通り……自分を変えてくれるキッカケと巡り会う為に他ならない。それ以外に理由はないさ」


「それが全ての始まりだったんですね」

「ただ、ここ数年はどうにも疲れてしまった……性格的な問題もあるだろうけど『どうせ次も見つからない』と無意識に考えてしまって仕事への意欲もスッカラカンだよ、大人として情けない限りだ」

 それ以外にも大人として情けない部分はいっぱいあるのではないかと訝しむ私が……そこにはいた。


「あの自堕落さ……仕事しないムーブはそんな理由もあったんですね」

 なんとか冷ややかな視線をせずに話を進められた。うん、良い女。


「ヒンヤリとした気配は駄々漏れだったけどね」

「そんなものは知らない子です」

 目の前の仁さんからプイっと視線を逸らす(今更ながら顔や視線を逸らす仕草に擬音が付くってヤバくない?それだけで素直じゃない可愛らしさを表現している……日本のオノマトペって素晴らしい!)。


「仁さんがなにも変わらない理由は分かりました」

「うん」


「それで、あなたはどうするんですか?」

「どうする?うん、特にないね」

 特にない……アンケート用紙のその他欄みたいな回答だ。


「それで良いんですか?」

「良くはないが見つからないものは仕方がない。変な期待をせず諦めることも大切さ」


「諦められるんですか?」

「探偵業はもう出来ないからね、どちらにせよお手上げだよ」

 両手をヒラヒラと動かしながら降参する仕草の仁さんに、私はどうしても納得がいかない。


「あ、あなたはっ!これまで色んな依頼人と関わってきましたよね?その中には荒唐無稽や摩訶不思議な研究者も多かったと聞いています」

「うん、そうだね。ヒメちゃんも何人か会ったと思うけど。確か、微睡さんとか煤木さんとか……あっ、歴野さんも事務所に来たことあるから知っているよね」

「はい、覚えています(歴野さんとは誰だ?)。目上の方への所作が全く出来ておらず未だに悔いています」

「彼らはそんなこと気にしないよ。寧ろ、ヒメちゃんのことを面白がっていたさ」


「その人たちと関わって、なにか動かされたことはないんですか?」

「ないね。これっぽっちも」

 仁さんの瞳は空虚なまま。


「善し悪しは置いといて、彼らの志やひたむきさになにも感じなかったんですか?」

「感じない。それはヒメちゃんも同じだろう?」

「そうですね……私の場合は理解力の問題もあるかもしれませんが、彼らのやろうとしていることに全然共感出来ませんでした」

「でしょ?他人がなにをしていても気にならないさ。それに、彼らは彼らで僕と大して変わらない」


「……ん?どういうことですか?」

「誰もが"小さな希望"に近いなにかを込めて生きているってことだよ」

 また哲学チックなことを……それで私が理解出来る訳ないじゃないですか。


「僕や杏が関わった人たちは顕著ではあったけどね。覚えている限りで構わないけど、彼らにはある共通点があったことに気付いていたかい?」

「共通点……」

 えっと、急にそんなこと言われても……針金のように痩せ細った人(この人が歴野さん?)はなにかの研究をしている感じで、煤木さんは動物を利用した人体の拡張やキメラ製作、微睡さんは冬眠を人にも適応させ生命活動の延長を企てて、両親は人類のバックアップについて――異なる分野の研究をそれぞれしている気がするけど、なんか結び付きそうなんだよな……なんだ?


「はい、時間切れ」

「あっ!」

 時間制限ありの質問だったのか!クイズ番組じゃあるまいし。


「正解は――人類の進化。もう少し具体的に言うと"死の克服"だ」

「死の克服……?」


「うん、どれだけ死から遠ざかるか――昔から不老不死を求める王様とかの話は数多くあるだろう?死の克服こそが人類の進化に不可欠と挙げる識者が未だに多いこと多いこと」

「人体をどれだけ強化しても寿命という限られた時間には勝てないってことですか?」


「その通り!人という生命体は長い年月を掛けてその制限時間を延ばしてきた。昔は30代平均だったものが今では80代に更新されているように、先人の経験を活かしながら科学を駆使して進歩してきたことは本当に素晴しく誇らしいが、決して死に勝ったとは言えないのが現状だ」

「そうですね。結局いつかは必ず死が訪れる」


「その誰でも知っている当然の理に反旗を翻すことが次の進化だと唱えるのが彼らだ」

「生物に定められたルールを壊そうとしているってことですか?」


「そうなるね。この世に生を受けた全ての生物は必ず死ぬ、それが生物の定義とも言えるし絶対法則だ。それに人智をもって対抗する――謂わば神への挑戦だね」

 神への挑戦……話がどんどんスケールアップしていく。


「仁さんの話が仮に合っているとして、どうしてそんなことに挑むんですか?」

「知的好奇心や単純な研究欲もあるだろうけど、根本にあるのは未練と後悔だと僕は考えている」

 未練と後悔……それが神の組んだシステムに挑む理由になるのだろうか?


「生きていれば誤りや失敗の一つや二つはあるだろう?」

「はい」

 恥の多い人生です、私……


「どんな天才でもどんな金持ちでもどんな権力者でも――選択肢を間違えない人はいないし努力しても辿り着けない場所もあれば手に入らないものもある。その人なりの苦悩と葛藤は必ずあるんだ」

「それはなんとなく分かります」

 十人いたら十人分の悩みがあるように、それぞれの境遇や培った経験によって数多のドラマがある。


「『ああなりたい』『こうしたい』という憧れはやがて未練になるように、『ああすれば良かった』『これを選んだおけば』という糧もいずれ後悔として刻まれる。その繰り返しが人生でもあるし良さでもあるんだけど挽回するにも限度はある――限られた時間内ではやりきれないことが殆どで、それでは払拭出来なかった思いがいつまでも残ってしまう」

「それはそうですが……でも、仕方ないことじゃないですか。どうしたって未練も後悔も残りますよ」

 産まれてから死ぬまで完全無欠な人間はいないし他の生物もきっとそうだろう。失敗と成功を繰り返して成長することで得られるものもある気がする。


「もちろんそうだね、その通りだ。ただ、今以上に寿命が延びたらどうなる?その先にある、死を乗り越えられたら――未練や後悔の種を根っこから摘み取ることが出来る。ある種無限に近い試行回数の果てに望む境地に手が届くかもしれない。憧れも期待も夢も希望も祈りも理想で終わることのない実現可能な世界になる」

「そうかもしれませんが……」

 確かにそうだ、きっと素敵なことだろう。誰もが満足した人生を歩めるならそれに越したことはない。でもなぁ……


「ははっ、ヒメちゃんはそうなるよね」

 苦い表情になっていたのだろう……私の顔を見て仁さんは微笑んだ。


「完全無欠の生命体が創造する世界も完璧で究極なものになるはずだ。そうなれば、悩みや苦しみから解放されて本当の幸福へ至ることが出来る――その実現の為に大勢の人間が動いている」

「それが……神への挑戦」

「あえて大袈裟に言ってみただけなんだけどね、ソレ」

「……」

 未練や後悔がここまで飛躍した話になるのか……私如きでは全く辿り着けない領域で、人の欲は際限なく深く広く高いと思い知らされる。


「微かな光に縋っている彼らと小さな希望を求めた僕……スケールは全然違うけど根本は似たようなものさ。水面に映る月を掴んでも指の間から溢れるのは水だけ――あるかも分からない宝の地図を広げて一生懸命に探し回るようなものだ。それでも夢見る姿には理解も共感も出来ないけど、多少の同情心は芽生えてしまう」

「同情ですか?」

「うん、同情。僕みたいな凡才はある程度の段階で無理と判断して諦めることが出来る。ただ、秀才や天才は『自分なら出来る!』と鼓舞して何度でも立ち上がる……才能があるばかりに頑張れてしまう。それが惨めで可哀想にすら思えてくるよ」


 どんな困難であっても、どんな苦難であっても、どんな過酷であろうとも。どれだけ小さく、どれだけ細く、どれだけ薄くとも――自分の全てを懸けて挑み続けられる精神力と胆力。その有無が才能をより開花させるピースであるならば、彼らと仁さんの違いはこの点にあるんだと思った。暇仁に能力が足りていないのではなく、どれだけ可能性が低くとも死ぬまで諦めない強い意志の問題――自分を信じ切れるかの問題。確かに今の仁さんには難しいのかもしれない……私も人のことは言えないけど、このままで良いとはどうしても思えない。


「じゃあ……彼らのように最後まで頑張らずに、このまま小さな希望すら捨てて生きて行くんですか?」

 微かな光も小さな希望も思い出という名の記憶の檻に閉じ込めるんですか?


「これからもフラフラ死ぬまで生きるだけだ、この件は人生のちょっとした寄り道みたいなものさ」

 本当に、この人は……


「分かりました」

「うん、ごめんよ。ヒメちゃんには関係なかったね、忘れてくれ」

 なに……?この期に及んで……この人は!!


「あんまりです、その言い草!確かに関係ない話かもしれませんが、仁さんと私はもう関係あるじゃないですか!?」

 あれ、なんか言い方間違えた?


「いやいやいや、君と僕にそんな爛れた関係性はないはずだよ!」

 あー、やっぱり!!


「ち、違っ……!そういう意味ではありません!」

「では、どういう意味だい?」


「仁さんの胸の内にある悩みや葛藤は私には分かりません、関係のない他人事ですらあります。ですが――」


「偶然でも必然でも私たちは巡り合った!もう縁が結ばれているとは思いませんか!?」


「……」

 仁さんはなにも反応しない。


「父との約束の副産物としてしか私を見ていないのかもしれない。同居に誘ったことも匁流君と三人で暮らしたことも、あなたからしたら無感情のまま一般論に沿った言動の結果かもしれない。絃間さんや依頼人とのアレコレも……仁さんからしたら興味のないやり取りだったのでしょう。それでも私たちは巡り合って言葉を交わした――もう"見えない糸"で結ばれているはずです!」

 赤い糸なんてロマンチックなものではない。人と人が出会って同じ時を過ごせば自ずと結ばれるもの――それがどれだけ一瞬でも誰かのなにかに影響を与えることもある。点と点が線で繋がれるのと同様に、その出会いは無自覚に線を伸ばし無意識に誰へと向かっていく。好き嫌いに囚われず損得に限らず是非を問わない。


「見えない糸、か……」

「そうですよ!仁さんが父と知り合いだったからいとま探偵事務所を訪ねようって思えました。その時点で、あなたは知らぬ内にか細い糸を垂らしていたんです!その後の無解決にしたのも、そう……!何人もの命を線で結んで道を用意してくれた、だからここにいるんです!そのおかげで匁流君や絃間さんたちとも本心からぶつかれました。私は暇仁から多大なる影響の上で生きています!」

「……」

「それをおざなりに済まそうなんて……この、おたふくかぜ!!!」

 二人を店内の環境音が包み込む。家族の温かい会話、店員の元気な声、空調の機械音。


「……おたんこなす」

「小声で言い直してもこの空気は換気されないよ、ヒメちゃん……」

「うぅ、うるさーい!!!」

 恥も外聞も私には持ち合わせてない!知ったことか!


「もう怒りました!ペンペコペコリーヌです!!」

「お腹空いたならご飯食べて良いんだよ?」

「あぁ、もうっ、違う!ここまで鈍感のろまあほ助だとは思いませんでした!あなたにはお仕置きが必要ですね!」

「お仕置きって……そう言われてもね」


「そもそもですね?私を勝手に無解決にしておきながらお役御免になった途端に簡単に見捨てる……その魂胆が気に入りません!」

「気持ちは分かるけど、あれは火芽氏との……」

「感情薄々野郎が気持ちは分かるとか言うなっ!私に対してミクロも感情が動いていないクセに!!それに約束がなんだって言うんですか!?最低限のアフターフォロー?それが筋を通すこと?それでなんとかなるって……考えが甘過ぎます!」

 甘過ぎる……トロトロに溶けてしまうぐらい。それに、この程度で私を見捨てられると思っている性根が、特に!!!


「ヒメちゃんがそこまで怒る理由が分からないんだけど……」

 仁さんは私の余りの勢いに少しだけたじろぎ相変わらずの鈍感パワーを遺憾なく発揮している。お前はハーレム系主人公かっ!残念ながら目の前にいるのはメンヘラ物乞い殺人鬼だ、ざまぁみろ!!


「だからこそのお仕置きです!探偵なんだろ、請け負え!!!」


 はぐれ者たちの会話――世間からはぐれた女と心がはぐれた男の話。心に従って法を犯した者、心をなくして法を犯した者、二人が見ている世界はきっとバラバラで噛み合うことはないのかもしれない。それでも割れたガラスに反射した光がお互いを照らすように、どこにいてもきっと見つけられると信じている。


 21グラムの運命は、それぞれの生涯に刻まれ人の歩みを燈す光にも束縛する鎖にもなる。ヒントはいつも目の前にあったんだ――私はもう見つけたよ……あなたはどう?

 

「ここまで粘着質とはねぇ……僕の負けだよ」

「今更ですねー?仁さん専属の寄生虫ですよ、私!骨が溶け切るまでしゃぶり尽くしてやるからな!」


「はいはい。でも、君となら……"済んだ話"になりそうもないね」

「誰がするもんですか!最後まで責任取りやがれ!!!」

 絃間さんたちのこと、私のこと、そして――自分自身のことも。


 "謎は謎でも美しくない謎ってなんだ?"


 明日へ生きて昨日を振り返りあなたと生きて共に笑い合う――この難題には、独りでは決して解き明かせない謎を秘めている。それに気付いてもらえるまで付き合うと決めた。モノクロな世界を彩るのはそれからでも遅くはない。




 纏った選択は暇なく吹き荒び認めた秘めごとの真偽を乞う。


 差し込んだ陽射しを泳ぐ結晶の群れが私たちの明日を映し出す。ありふれた日常の片隅にひっそりと謎を残して。


 


 ―― たからさがし はじまりはじまり。

以上で完結です。

無解決探偵と少女を中心とした一風変わった会話劇は如何でしたでしょうか?

もし良ければ、感想やレビューなど……(チラチラ)ーーいえ、失礼しました。調子に乗りました。


裏話などは活動報告や自身のXへ投稿するかもしれません。

それでは、次回作でまたお会いしましょう。

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