32 たぶんそれは正しい選択で。
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学園で、冒険者クラスに登校すると、すでにアレス殿下は私の隣のいつもの席に座っていた。
私は黙って、その隣に座る。
頬杖をついている殿下の左手首にはキラキラ光る腕輪がはまっている。
「……おはよう。ルル」
今日のアレス殿下は、少しばかり機嫌が悪い。
でも、私も立っているのがやっとなので座らせてもらうことにした。
そう。フェイは私に説明してくれなかったけれど、少し考えれば分かることだ。
魔力枯渇の状態なのだ。今の私は。
しばらく私のことを黙ってみていた殿下が、眉を寄せると、心配そうに私の頬に触れた。
「ルル、ずいぶん気分が悪そうだ」
「アレス殿下。この剣を携えていると気を失うことはないですが、魔力を吸われて魔力枯渇みたいな症状になるみたいです」
「……それって。少し試してもいい?」
ふわっと、私の頬に触れたアレス殿下の手が温かくなる。
「あ、少し楽になりました」
「今の状態なら、俺の魔法もルルに効果があるみたいだね……。図らずも、正解を引き当てたのかな、ルルは」
たぶん、私が腕輪をはめるという選択をしたら、父からアレス殿下へ何かしらの力の継承がされたのだろう。
そして、光魔法以外の力でアレス殿下は、S級冒険者に上り詰めることができたのかもしれない。
でも、災厄の時、光魔法でしか倒せない敵が現れる。だから、ヒロインが必要になるのだ。
「そうかも……しれませんね。ところで、アレス殿下。もう大丈夫なので、これ以上無理して回復していただかなくても結構です」
「冷たいね、ルルは。やっとこうして、ルルが苦しい時に魔法を使えるようになったのに」
その言葉は、素直に嬉しいです。でも、そうなってくると、私がアレス殿下にしてあげられることは、本当に少ない。
私に触れる、その手にそっと自分の手を添える。
「ルル……」
見つめ合う時間。アレス殿下が好きなこと、もう認めてしまったから、この胸のざわめきに気がつかないふりはもう出来ない。
まだ、誰も来ていない二人きりの教室。
どちらともなく、私たちの距離が近づいて……。
その瞬間、教室のドアが勢いよく開いた。
「……久しぶりに早めに登校したら、クラスメイトが朝から甘すぎる空気なんだが。なんだ、ルルーシアはお子様だからあと二年はかかると予想してたんだが、やっと振り向いてもらえたのかアレス?」
「はわわ。殿下とルルーシア様が、甘いです……」
氷のようにピシリと固まりながら振り返ると、そこにはカトルとアイシラが何故か仲良く立っていた。
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