961:黒くないよ、ピンクだよ!
961=黒い。どこぞのアイドル事務所じゃないよ?
再び支店長に呼ばれて、店内待機はナシになった。そして今まで通り債権回収を頑張って欲しいとの事。何があったんだろうなあ(棒読み)
「睦月さん、ありがとう」
「なんのことですか?」
「とぼけなくてもいいんですよ。部屋に入って出てきたと思ったらこの待遇ですからね」
「私は今後の勤務について相談しただけですよ?」
「……エルフイヤーって地獄耳なんですよね」
「聞こえっ!?」
睦月さんが真っ赤になってる。
「聞いた通りです。監視がやりにくくなるし、暴走されても困るのでここで燻ってて欲しいんですよ」
「本音は?」
「本音も何も。…………まあ、その、ひとみが居なくなるのが嫌ってのは個人的な理由ではありますが」
私の事を名字で呼ばずに名前で呼んだ。という事は「仕事」ではなくプライベートでの自分の意見という事だろう。
「えへへー」
「……なんですか? いきなり抱きついてきて」
「なんでもないでーす」
「全く……仕方の無い。おや、電話だ。ちょっと失礼」
この時間は普段なら仕事中だから余程緊急の要件なんだろう。聞くのもどうかと思うから少し離れて……
「はあ? ハーレム? 審査? 何の話ですか!?」
思わず上げた叫びに私は反応してしまった。相手の想像はつくけど念の為聞いてみよう。
「とぼけないでください。お姉様に近付いていいのは私たちが認めたハーレムメンバーだけです。あなたは仕事での付き合いに過ぎずまだメンバーと認める訳には」
そこで電話を取った。
「澪ちゃん?」
「あ、お、お姉様、ご機嫌麗しく」
「何してるのかな?」
「いえ、その、新しいメンバーを入れるかどうかの審査を……」
「誰の発案?」
「四人の総意ですわ!」
「……帰ったらお話があります」
そう言って息を飲む受話器の向こうを無視してそのまま電話を切った。
「睦月さん、いえ、渚、ごめんなさい」
「……仕事に戻りましょう、霜月さん」
「そうですね」
そして私たちはそのまま店内へ戻って行った。
「私も居たんですが……まあ若いっていいですね」
なんか聞こえた気もするが気のせいだろう。
その日はそのまま仕事を頑張った。渚を飲みに誘いたいところだが、用事があるのだとか。まあ内調も忙しいだろうしな。それに今から全員に説教をしないといけない。
「ただいま」
ドアを開けると香子ちゃんが困った顔で出てきた。あれ? 晩御飯代足らなかった?
「御飯代はカードも預かってますし、何とかなりますけど……その、皆さんが」
皆さん? ああ、集まってんのね。大丈夫大丈夫。ちょっとお話しするだけだから。
廊下を歩いてリビングに入ると四人が横一線に正座して土下座していた。
「……何やってんの?」
「すいませんでした!」
「いや、なんで土下座?」
「ハーレムメンバーを決めるのはお姉様の専決事項であるのに私たちが口を挟もうとした件です!」
「ちょっと待て。そのハーレムってのを詳しく」
四人が「そこから?」みたいなキョトンとした顔をしている。そしてキョロキョロした挙句ハルが説明しようとばかりに口を開いた。
「あのさー、ひとみんはお嫁さんが四人も居るじゃん? だからもうハーレムでしょー」
「お嫁さん……確かにパートナー契約はしてるけど」
「でさー、これからも増えると思うんだよねー」
えっ? 増えるの?




