775:秘剣との対峙
まあ楓ちゃんの肉体強度的に斬れたか分かりませんが。
「ククク、それではそろそろくたばってもらおうか」
銀の短剣を懐から取り出し、アズライトがロニさんに迫る!
「死ねぇ!」
危ないっ、と咄嗟に手を出そうと思ったんだけどそれより早くロニさんがアズライトの手を掴んだ。
「なっ!? 幻覚の世界に囚われていたはずでは……」
「まあ、懐かしいものを見せてもらって気がするがの。随分と思い出に浸らせてもらったぞ」
「なんで……」
「相手が幻術遣いだと分かっておるのに何もせんでおる程マヌケでは無いわな」
種明かしを後にしてもらった。精神防壁を構築していたとの事だった。念には念を入れて数枚重ねて掛けていたらしい。その内の大半が抜かれていたというからアズライトはかなりの遣い手だったのだろう。
「はっ、放せ!」
「阿呆。せっかく捕まえたのじゃ。ゆっくりしていかんか。ほれ、本当の幻術というものを教えてやろう。覚悟は良いか? 《青爪幻朧界》」
私にはロニさんがアズライトの手を掴み続けてるしか見えないんだけど、アズライトは急に叫び声を上げた。なんか叫び声からして只事では無いんだけど、あれ、廃人コースかなあ……
視線を別に移す。抜刀術の四方田とかいうのと楓ちゃんだ。
「我が間合いに入らば迷わず斬る」
「やーだよ。遠くから何とかするのもやだけど」
「我が雲耀の秘剣、目には捉えられんぞ!」
雲耀……うん、ようわからん。多分速いのだろう。
「雲耀とかよく分からないけど、速くなれば斬られないよね?」
「「円」に踏み込んだ瞬間に両断してくれよう」
「じゃあ捉えられないくらい素早くタックル行くね」
楓ちゃんはそう言うとクラウチングスタートの様に姿勢を低くした。
「GO!」
「愚か者がっ!」
楓ちゃんがそのまま飛び込むと物凄い速さの抜刀が楓ちゃんの脚を切り落した! いや、切り落したかのように見えたんだ。楓ちゃんはかわしてさがった。
「うひゃー、何今の!?」
「ふむ、毫の太刀では捉えきれんか。ならば次は正真正銘の雲耀だ」
かわした楓ちゃんも凄いけどあれより速くなるの? それはちょっとヤバいんじゃないかな?
「ひとみさーん、頑張りますんで終わったらチューしてくださーい」
「危なくなったらさがってよ!」
「約束ですからねー!」
再度クラウチングスタート。いや、今度はもっと低い姿勢。バネが弾ける前のタメを感じた。
「いっきまーす!」
ロケットの様なスピードで楓ちゃんが突っ込んだ。
「ぬんっ!」
四方田は刀身が見えないくらいのスピードで楓ちゃんを迎撃。その切っ先が届くかに見えた。ところが楓ちゃんがそれを白刃取りしたんだけど!?
「なんと!」
「必殺、無刀取り!」
そのまま刀を奪い取って首元に足を突きつける。
「いやー、速かったけど本物の稲妻よりかは遅かったよ」
本物の稲妻? あ、もしかしてインドラさんか? もしかして毎回撃たれてるの、稲妻?
「じゃあこのまま首をへし折って……」
「ストップ、ストーップ!」
「なんですかひとみさん。今からやるのに参加します?」
「しないけど! それよりも首の骨折ったら死んじゃうじゃん!」
「え? だってこいつらひとみさんや澪を狙って来たんでしょ?」
まあ狙われてんのはハルとロニさんだけど。
「だったら痛い目に合わせなきゃ。因果応報だよ!」
仏教観!




