773:団体戦
発火能力者は役立たず。ハッキリわかんだね。
支店長に「債権回収で直帰します」って言ったら「成果を楽しみにしてる」ってウキウキしながら言われた。どうやら本店の支店長会議でお褒めの言葉をいただいたらしい。いやまあ、それなりに頑張るよ?
支店を出ると怪しいヤツらが待っていた。まあ五分かそこらだから待ってるのは構わないけどさ。あからさまに外人がたむろしてると目立つんだよね、田舎だと。これが岩国とかだとベースがあるから目立たないのかもしれないけど。
「それでは参りましょうかぁ」
「あー、とりあえず近くに公園あるからそこにしましょ」
「テメェがオレらに指図出来る立場かよ!」
頭のイカれたパンキッシュな格好の金髪兄ちゃんが私に手をかざして来た。これは……多分発火能力者だな。短気な奴だ。まあ待て待て。相手してやるんだから。
「なっ、出ねえ……」
うん、まあ燃えない様に予め火の精霊さんたちにはお願いしといたからね。私が中に入ってる間に燃やされても敵わないから。
「はいはい、こっちだよ」
パンキッシュ兄ちゃんだけ焦ってるものの、他の人たちは私についてくる。まあ地の利は私にあるからそこそこ頑張って逃げたら撒けるとは思うけど。あ、地の利がなくても全力で逃げたら逃げ切れる自信はあるよ?
「この公園があなたたちの墓場だよ」
「それはこっちのセリフですよぉ。この人数差、どぉするおつもりですかぁ?」
「いやー、まあ一人とは行ってないんだよねー」
木の陰からハルが出てきた。ずっとそこに居たの?
「私たちも居ますよ!」
「その通りですわ!」
木の上からとうと飛び降りたのは楓ちゃんと澪ちゃん。って言うか登ってたの? 木の上って辛くない? 聞いたら登ったのは私が公園に入る直前だったそうだ。動向筒抜けですね、このストーカー。
「私たちで最後、ですね」
「わしは見学でええんじゃが」
葵さんがロニさんを抱えて連れて来ていた。いや、葵さん、なんで抱っこしてんの?
「園児たちは抱っこさせてくれないんですよ。苦しいって」
「わしは園児の代わりじゃったか!? はっ、そういえばさっきお出かけ用とか言って着せようとした服、スモックとやらに似ておったな……」
「きききききのせいじゃないですかね?」
まあ葵さんに抱っこされて苦しくなるのは双丘の膨らみの豊かさから分かるんだけど、ロニさんは苦しくならないの? あっ、呼吸しないのか!
「茶番は終わりだ。今度こそ焼き尽くしてやるぜ!」
パンキッシュ兄ちゃんが走って私たちのところに来た。そして手から火を……出そうとして止まった。
「なんで出ねぇんだよ!」
「ヴェロア、真面目にやってくださいねぇ」
「うるせえ! こっちは大真面目だ!」
あらあら、余所見してて良いのかな?
「よいしょっと」
「ぶげらっ」
楓ちゃんがヴェロアの顔面を蹴り飛ばした。
「まずは一人かなー?」
「ちっ、アホが」
「どうする、ノイマン?」
「相手の能力がわからん。となれば狙撃で様子を見る。頼むぞ、ウィリアム!」
いつの間にか居なくなってたウィリアム。弾丸が飛来する。誰を狙うのか……楓ちゃんか!
だが、その弾丸も金色の霧に絡め取られていた。
「私の伴侶を傷つけようだなんて百万年早いですわ!」
「澪、ありがとー」
「とは言え、どこから撃ってきたのか全く分かりません。気が抜けませんわ」
私たちは澪ちゃんの金色の霧のところに集まって担当を決める事にした。




