750:二人の生活
バラのお風呂に浸かりたい……
晩御飯の材料を買って帰宅。ハルがゴロゴロしてた。
「ひとみん、おかえりー」
「何やってんの?」
「やる事ないからいもむしー」
そのままゴロゴロ転がって私の足元に来た。今日はズボンだからパンツを見られる心配はない。女同士だろうって? 分かってるんだけどどうもあのいやらしい目で見られると何となく……
「大丈夫! 私はひとみんを性的な目で見てるからさー」
「今の話のどこに大丈夫な部分があったのか説明してくれんか?」
「優しくするからー」
「そういう問題じゃねえ!」
こんなことしてないで晩御飯作ろう。牛肉の煮込みだよ。あの店のワイン煮込みとは比べ物にならないものを作ってやる! いやいや、とはいえ本職に敵うとも思わないけど。火の加減は完璧なんだけどな。
水は水道水を浄化してくれてるからまあ……ミネラルとか必要だったりするんだけどそういうのは残してもらってる。
さて、出来たよ。あらかじめ炊いていたご飯をよそってハルを呼ぶ。そういえば、ご飯をお茶碗に入れることを「よそう」って言うのか「つぐ」って言うのかクラスで論争が起こったなあ。当時の私は「よそう」だった。ハルは「入れる」とか言ってたな。まあハルの家は……あ、そうそう結局先生が「盛る」とか言ってたからみんな違ってみんないいってなったんだよね。
「わーい、美味しそー。私のもよそってー」
あれ? ハルが「よそう」になってる?
「ハルってご飯「入れる」って言ってなかった?」
「あのさー、ひとみんの家にご飯食べに行く度によそうって言われてたから慣れちゃったんだよー」
まあなんだかんだでよく食べに来てたもんね。私とママの団欒を邪魔しやがって……とは不思議にもならなかったんだよね。私が居て、ママが居て、ハルが居る。そんな風景が自然だったのかも。パパ? シラネ。
牛肉の煮込みはあっという間に無くなった。ハルが美味しい美味しいって食べるんだもん。明日は豚肉料理でも作ってやるかな。
「ひとみん、お風呂沸いてるよー」
「えっ? ハルがやったの?」
「全自動給湯器だからボタン一つだもーん」
まあお風呂掃除は昨日やったから大丈夫だろう。
「じゃあ私先に入るね」
「うんうん、ごゆっくりー」
ハルもやれば出来るじゃないか。まあ給湯器のボタン押すだけだけど。洗ってた食器は乾燥機に入れておこう。何気に色々ついてるキッチンなんだけど、これそのまま渡すの? 真那さんは病み上がり(?)だし、今日香ちゃんはまだ小学生だから便利っちゃ便利だけど。
先ずは身体を丁寧に洗って、一日の疲れを感じながら湯船に入る。むっ、お湯にバラの香りが。落ち着くなあ。鎮静効果はラベンダーの三倍から四倍らしい。後は美肌とかホルモンバランス整えてくれるとかいい事づくめだ。いつものバスク〇ンとは違うけど、たまにはこういうお風呂もいいよね。
「ひとみーん、お湯加減とバラはどーう?」
「うーん、すっごいリラックス出来る。なんか湯船に溶けそう」
「そっかー、じゃあすぐ行くねー」
「は?」
扉の向こうで服を脱いでる気配がする。というか脱いでる影が見える。あの孤独なシルエットは……ってハルだよ!
「ひとみん、お待たせー!」
素っ裸で飛び込んで来たハル。そのまま勢いよくこっちにダイブしそうだったので慌てて止めた。
「せめて身体洗ってから湯船に浸かれ!」




