722:新装開店!
出玉はありません。
「あんた、狐ってくらいだから人間に化けれるよね?」
「当然。変化くらい朝飯前だ」
そう言ってドロンと化ける。煙出てきた。煙幕? あ、煙晴れてきた。おっ、半ズボンのショタだ。まあ私的には及第点。
「よし、じゃあ次はこれ着て」
「あの、これ、スカートなんだけど……」
「制服だから」
しぶしぶといった感じでメイド服に袖を通している。
「あの、これでいいですか?」
地狐が更衣室から徐に恥ずかしがりながら出てきた。なんだよこいつ、可愛いな、おい。
「よぉし、今から貴様にはここで働いてもらう。やる事は簡単。接客業務だ」
「え? 他人に奉仕とかやった事ないよ?」
「そうだと思ったから今日は先生を呼んである。さあ、葵さん、お願いします!」
「あらあらあらあら! 可愛いわね、この子」
葵さんがふらふらと地狐に近付いて抱き締めている。地狐は混乱してるのか何も言わない。やがて……
「はっ!? ちょ、ちょっと! 放せ、放せぇー!」
「心配しなくてもいいのよ。直ぐに慣れちゃうんだから」
教育得意だし、接客も年二回は鍛えてると思ったので葵さんにお願いした……というか暇そうなのが葵さんしかいなかったというか。ハル? 奴に接客は無理だ。
「じゃあ今日の所は見て貰うだけでいいわ。その代わりちゃんと見るのよ」
葵さんはスパルタではないらしい。そうこうしてると源造さんが起きてきた。
「ん? 誰だそいつは?」
「ここに置いて欲しいんだって」
「お前らな。もうちょい俺のことも考えて……だ、誰だ、このボインちゃんは!?」
「あ、文月葵と申します。ひとみさんの友人です」
源造さんの鼻の下がのびてる。まあ頭下げたらたぷんって擬音が聞こえるくらいには揺れたもんね。
「へへへ、そりゃどうも。せまっくるしいところですがゆっくりしてください」
おい、私の時と態度が違いすぎんか?
「霜月さん、あんたは美人だ。だから気にせずしっかり生きてくれ。なぁに、胸の大きさが全てじゃないさ」
「殺ス!」
なんつー言い種だ! 葵さんと地狐が必死でしがみついて来た。ふん、命拾いしたな。いや、攻撃して万一があったら私のお仕事が拙いんですけど。
それから仕込みの手伝い。葵さんは地狐を連れて店内のお掃除に。ケーキを焼いてたら他のバイト従業員も次々に登場。あ、楓ちゃんと澪ちゃんも居るのね。
「今日が新装開店初日なんで私たちも手伝おうと思って」
「あ、うん、ありがとね。じゃあ楓ちゃんは厨房、澪ちゃんは接客を……」
「お姉様はどちらを?」
「私? 接客だと表に出過ぎちゃうから厨房かなあ」
「! でしたら私も厨房に……」
「あのね、澪ちゃん。出店したばかりのお店に保健所の方にお手間を取らせる訳にはいかないんだよ」
澪ちゃんのご飯を食べれるのは愛がある人だけだよ! まあ澪ちゃんいじけちゃったんだけど仕方ないよね。それじゃあお客さんをお迎えしましょう!
開店すると店の前に行列が出来ていた。おお、これは凄い。
「昨日まで何も無かったのにいきなりケーキ屋出来てんだもんな。面白そうだから入ってみようぜ」
「あっ、ここのケーキ、前のお店で食べたよ。美味しかったなあ。こっちに移転したんだ」
早速知ってるお客さんも居てくれて無事発進ってところかな。この調子でバンバン稼ごう!




