509:Take/Revenge -復讐-
鬼姫さんレーダー!
そうだ、京都に行こう。なんて思い立ったところですんなり行けるはずないんだけど、それをやっちゃうのがハルだったりする。
「ひっとみーん! 一緒に旅行だよ。ひゃっほー」
「いや、ついこないだギリシャまで行ったじゃん?」
「あれは旅行じゃなくて搬送でしょ。途中の寄り道もなかったしねー」
「今回も寄り道はしないわよ。それに京都府ではあるけど京都市じゃないんだからね」
そう、大江山は京都市には無いのだ。天橋立がある辺りなので京都の北である。
「別にホテルは京都市内でとってさー、ヘリかなんかで現地に行けばいいのにー」
「ヘリをタクシーみたいに言うんじゃない!」
そうこうしてるうちに現地に到着。所要時間は本来の地元からなら七時間以上掛かるんだけど、天鳥船さんが運んでくれたから三十分も掛からなかった。高天原驚異のメカニズム。
「随分と木ばっかりだねー」
「山なんだから当たり前でしょうが」
ん? 楓ちゃんが鼻をヒクヒクさせてる。臭うの?
「なんか懐かしい匂いがするんですよ」
懐かしいとは楓ちゃんの中の鬼姫の力がそうさせるのだろうか?
「まあ、そうやねえ」
楓ちゃんの肩にちっちゃい鬼姫さんが乗っかった。
「居たの?」
「ご挨拶どすなあ。わっちはいつでも楓と共にありますえ」
そういや深層心理に居るんだっけ。
「それがなんで出てきてんの?」
「楓が手伝って欲しいっていうたからに決まってますやろ。楓が許可出さんかったら表層に出てくる事も出来へんのに」
どうやらちゃんと制御は出来てるらしい。
「えーと、とりあえずここに酒呑童子は居るの?」
「酒呑がおったらこの辺もっと血なまぐそうなっとりますわ」
えー、そんなに凶暴なの? でも改心したとかない?
「あの酒呑が改心なんてするわけがあらしまへん」
改心しないか。まあともかく進んでみないことには.......
「それ以上入るでない、人の子よ」
ハイエルフ、吸血鬼、龍人、神、鬼神。よし、人は居ないね。
「無視するでない!」
あー、やっぱ私らか。
「おう、お主ら、土蜘蛛党ではあらしませんか」
「ぬ? そういうお主は鬼姫殿か」
あら、知り合いですか?
「昔馴染みで。しかし、いつ戻って来はったん?」
「そうさな、ここ一年くらいか」
去年から巣食ってたらしい。でもなんか凶暴そうには見えないんだけど?
「我ら土蜘蛛党は温厚じゃ。討伐されたのは人間の都合よ」
まあ昔の侵略を正当化するなんて歴史ではよくある話だよね。
「しかし、なんだってここに戻って来たんや?」
「それが.......酒呑童子が蘇るという噂を聞きましてな」
酒呑童子ってお酒に毒盛られて死んだんだよね。神便鬼毒酒だっけ?
「毒ぐらいで奴が死ぬなら.......頼光とその四天王が封印したのよ」
つまり、死んだ訳じゃなくて封印されただけなのか。という事は復活するの?
「騙し討ちじゃったからな。恨み骨髄だろうて」
気持ちは分からんでもない。でもなあ。
「それゆえ我ら土蜘蛛党が封印を守っておるのだ。放置しておくと封印が何かの弾みに解けたりせんともかぎらんからな」
それなら話は早いのではないか?
「あの、私たちは天照大御神様のお言い付けでこの地方の鬼がどういう方か見極めて共存したいと」
「ワシらもそれは構わんが.......酒呑童子が復活しそうなんだがどういう対処をしてくれるね?」
「大丈夫です。私たちが殴っていわせます!」
それは交渉って言うのかな?




