おっぱいに囲まれます
「ちょ、だんな様!? なにを――ってか、でっかッ! リュセルの超でっか」
リーリアの言葉づかいに乱れが生じるのも無理はない。
それほどまでに、その胸は豊満だった。
それは――極めて美しい、対なる半球体。
他の追随を許さない弾力、重量感を実現。
そして、その大きさにありながら、垂れることを知らない張りと、やわらかさの両立。
リーリアも立派な物を持ってはいるが、この女騎士がマントの下にこんな凶器を隠し持っていたとは……!
あまりに鮮烈な奇襲で、俺は言葉を失っていた。
「あ、あの~」
のぞきこんでくるリュセルの目つきがまた、いろっぽい。
「……そうそれで魔力を活性化させて、お前の眠っているパワーを引き出す」
予定外に気を取られてしまった芸術作品から目を離し、俺もその瞳を見据え返す。
「集中しろ」
「はい……ッ!」
彼女の返事が浴室にこだました。
「だんな様、なにか……お手伝いできることはありますか?」
「そうだな。すまんがリーリアとアンナノも一緒に出て、こいつを押さえててくれないか? 気持ち良さから内に潜んだ魔力を覚醒めざめさせる。敏感な子はもだえるかもしれない」
「はいっ!」
「ありがとう。最愛の妻にこんなことをさせるのは気が引けるが、俺のためだと思って協力してほしい。あとでこの十倍ぐらいお前のも揉むから」
「だ、だんな様がそれをお望みなら……わたしはいつでもお力になりますっ!」
「ふふん。宿敵がはじらいながらも快感によがる顔をまぢかで見られるとは、やりがいのあるご命令じゃ」
一方の魔王が不適切な笑みを不敵に浮かべ、小さな体で湯船をよじ登る。
「お前は楽しむな。おっぱいを揉むのはなあ、遊びじゃないんだぞ」
「むぅ……まあわらわのは遊びでもんでもかまわぬのだが」
「こら、あなたは揉むほどないんだから黙って手伝いなさい」
「な……ッ、わ、わらわのももめるぞ! ちちちちいさく見えるだけで、このさわりごごちはマスターももんでみればたちまちやみつきになってしまうぞ。ぜ、ぜったいだ! ぜったい――もめる、もん…………」
心身ともに、というか実年齢以外のすべてが幼いアンナノは涙目になってしまった。
このまま湯冷めして、さらに士気が下がるのは避けたい。
「おい、始めるぞ」
洗い場に正座した女騎士の姿は、あらためて見ても芸術的だった。
その白い肢体は清くて若いながらも完成された美しさで、全貌をあらわにした二つの丘には、薄紅色のつぼみが湯気の中でも鮮やかに主張している。
「あまり、見ないで…………」
赤らめた顔を伏せ、もじもじと恥じ入るリュセル。
「目を背けるな! こっちを一直線に見て、俺と身も心もひとつにするんだ」
「こ、こう、です……か……?」
彼女はうるんだ瞳で、すがるように見上げてくる。
「よし、魔力を流し込む。胸の感覚を意識するんだ」
「ふにゅ……ッ!? あうぅ…………」
「もっとだ。おっぱいで感じ取って、全身をゆだねろ――そうだ、いいぞ」
「ふあぅ、こんなに――――」
「リュセルッ、俺を感じろ……!」
「んんッ……!? いや――ッ」
「この波長――もしかしてお前、また漏らしそうなのか?」
「ち、違……っ! ぼくは大丈夫……でもなんか出るんじゃなくて、その~来そうな感じ…………」
「それでいい。今――ここに、お前の力が解き放たれる」
「あぁッ! もう、だめ……来る……! 来ちゃうよぉ」
彼女が上体をのけぞらせると時を同じくして、まばゆい輝きが視界を覆った。