羞恥と快感の女騎士
「あぁッ! もう、だめ……来る……! 来ちゃうよぉ」
彼女が上体をのけぞらせると時を同じくして、まばゆい輝きが視界を覆った。
「きゃあッ!?」
「む。ひかりおった……!」
空間を支配する閃光と防風。
「おいおい、ずいぶんと派手にいくなあ」
思った以上に感度が良かったのか、初めての経験だからか、想像を絶する女騎士の反応が衝撃となって一帯を襲う。
しかし、それも俺の前では――――
「――静……!」
我が一声をもって、瞬時に異変は消失した。
彼女の波動が燃え盛る炎だとしたら、この魔法は太陽の咆哮。
転生先の空気を循環させるだけで魔力炉兼砲台と化した俺は、これをノーアクションで無制限に扱えるようになった。
「やはりマスターの力は別格じゃのう」
えっへん、と言わんばかりにアンナノがうなずく。
相手の技を包み込み、分解する――これが、世界を救った“万物を塗り替える一撃”。
圧倒的な火力で何に撃たれても押し返す魔王を破った唯一の者が、他ならぬ俺だ。
「で、お前は大丈夫か……?」
色白の裸体を横たえている女騎士に、視線を移す。
「ムフフ……ヴィルしゃまぁ~」
抱き起こすと、とろんとした表情で体重を預けてくるリュセル。
なにやら別のスイッチも入れてしまったみたいだが、無事なようだ。
「えへへ。リュセル、おとなになれましたかぁ?」
「いや、誤解を招く表現はやめろ。儀式なら成功した」
「せいこう――ヴィルさまと、せいこう……ムフフンフン~♪」
「ちょっと、だんな様! この子からいやらしいこと考えてる香りが漂い始めてますっ」
「いや、わらわはずっとかんがえてたぞ」
どや顔で、ない胸を張る魔王。
「……もう、みんな朝から変なことばっかり想像して――――」
そう言いつつ、我が愛妻も照れくさそうだ。
というか彼女は朝と言ったが、こんなことをしている内に終わってしまう。
「ああ、もうすぐ昼か。体が驚いた後だ。こいつにも、なにか食べさせたほうがいい」
「お風呂から出たらわたし、作りますね」
「ありがとう、リーリア。たまには俺も一緒に作るよ」
「え、だんな様が……!?」
「嫌か?」
「いえ、うれしいです!」
脱力したままの体をふいてリュセルをソファに寝かせてあげると、最愛の妻と並んで料理をした。
「魔法を使えば簡単にすぐ出来ちゃうんだけど、こうして一緒に作りたかったからさ」
「わわっ、わたしも! だんな様とごはんを食べられるだけで最高の生活なのに、となりでお料理なんて……しあわせすぎてとろけちゃう~」
とがった耳をピクピクと連動させ、喜びを体現するリーリアもかわいい。
美人で懸命につくしてくれる普段の彼女とは、ひと味また違う魅力を実感するのだった。




