第5話 お誘い
僕たちは高校3年生になった。今日は僕の高校生活最後の大会。放送コンテスト県予選がある。勿論負ければ即引退だ。そんな僕の最後の晴れ舞台に3人が見に来てくれた。
「優希、お疲れ。全国大会出場おめでとう。」
「ありがとう。」
「全国大会ってどこでやるの?」
「東京。全国だから大きい会場でやるんだ。」
「東京は良いよね。俺も行ったことがあるけど。お土産よろしく。」
でたよ。ベニショウの上から目線。
「ベニショウ、上からだぞー。」
「ごめん。優希が優勝したから夜ご飯奢るよ。」
「ベニショウ、私たちにも奢ってよ。」
いつものパターン。
夜に4人で学校の練習場の向かった。全国大会を迎えるにあたって不安があるからそのための調整。どうせだから連れてきた。
「練習場って広いんだね。」
「ベニショウ、練習道具貸すから。声出して練習。」
「ええー。」
ベニショウ練習してるけど声小さい。ベニショウが噛んだ。皆大爆笑。
「笑うなよー。」
こうして僕は全国大会を迎えることになる。
大会前日にベニショウからメールが届いた。
“明日頑張れ。”
“ベニショウのくせに。(笑)”
“東京楽しい?”
“観光じゃないんだぞ。”
“帰ってきたらまた奢らせるんでしょ?”
“当然です。お土産買ってくるから。それに今から民放キー局を見学しに行くんだ。”
“へー。”
“そこは興味持てよ。”
“まあ明日頑張れ。”
何だベニショウ?意味が分からない。
結局僕は初戦で負けて帰ってきた。でも悔いは残ってない。
「皆お土産だよー。俊はストラップ。放送局で買ってきた。」
「ありがとー。」
「智晴はポスター。」
「キャー、嬉しいー。」
「ベニショウは10円ガム。」
「何でガムなの?」
「東京で買ったよ。」
またまたイジられるベニショウでした。 続く