第3話 奴の本性
ベニショウは最近おかしい。いつもおかしいが、今日は一段とおかしい。
「俺、智晴のこと好きかも…。」
「何言ってるの?」
「何言ってるんだろうね。」
こっちのセリフだよ。
「んで、智晴のことどうするの?」
「告白なんて無理だよ。」
でたよ、へタレ。
「確かにベニショウの言ってることも分かるけど。友達同士の関係を壊したくないんだろ?」
「そうじゃないよ。告白する勇気がないだけ。」
やはりへタレ。
「智晴なら受け入れてくれると思うよ。まあフラれると思うけどね。」
「ええー。」
昼休みに練習場の掃除をしている時、智晴が現れた。
「どうした智晴?」
「部活頑張ってるかなと思って。」
「本当はそんなことのために来たんじゃないんでしょ。」
「うん。」
この空気、変な予感。
「優希。私ね優希のこと…好きだよ。愛してる。」
やはりな。
「少し考えさせて。」
「大丈夫。待つよ。」
そう言って智晴は教室に戻った。
「ベニショウ。この本貸してやるよ。」
「何これ?」
「恋愛心理学の本。」
俊も不思議そうに見た。
「何だよこれ。恋愛心理学とか。」
「基本中の基本だと思ってさ。まずモテるようにならないと魅力が出ないよ。」
智晴に告白されたことは言わなかった。
「たくさんテクニック書いてあるね。俊どう?」
「ベニショウが知らないだけだよ。俺も知ってるし。」
「まあ読めよ。」
「優希、そんなことより明日3人で野球しようぜ。」
「良いよ明日部活ないし。」
ベニショウの野球の実力を見るチャンスだ。
「ベニショウボール投げて。」
投げたが右にそれた。
「ベニショウ真っ直ぐ投げてよ。」
「投げてるよ。」
でも暴投する。マウンドがあるから球速測ろうかな。
「ベニショウマウンドから投げて。」
投げたら球速は26キロだった。しかもマックスで…。
「優希投げてよ。」
俺は野球経験者だから。投げたら138キロだった。
「………。」
ベニショウ呆然と立ち尽くす。でもベニショウは面白い奴だ。 続く