表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
93/128

二人の正体


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 明国の国境付近では、セリスとレイがある人物を待ち構えていた。


「もうすぐ、ここに来るはずだ」


「風国から来る重要人物ね……。いったい誰かしら?」


「わからないか?君は会ったことがあるはずだぞ?」


「もう思わせぶりな言葉はいいわよ?これから会うのだから誰か教えなさいよ」


「仕方ないな……」



 明国の国境を越えた先、トルシュの街の入り口にアイ達の馬車は来ていた。


「……あれだな。ちょっと待ってくれ、そこの青い馬車」


「何か?」


「中にいる人物に話がある」


「はい……?」


「これで今はいいか?」

 レイはそう言うとバッジを見せつけ、封筒を懐から取り出した。


「ああ、神官様でしたか、それでは……」



 馬車から降りた三人は、セリスとレイと対面していた。


「急に歩みを止めてすまないが、急用でね。黄色の神官レイだ」


「……レイ?確か?クロアが話していた人にそんな人がいたね」


「そうだろうな……クロアは元気か?」


「さあ最近会ってないから……どうだろうね?

ここで待ち受けてるってことは私たちに何か用があるってこと?」


「アイさん、お久しぶり」


「あ、セリスさん?久しぶりー、元気してた?」


「まあ、それなりにね」



「……あの方達、僕たちに何の用なんですかね?」


「あの二人は誰だろう?」


「神官様ですよ。あの胸に付けているバッジを見てください。

今輝く衣装は着られていませんが、お二人方とも神官様のようですよ?」


「なるほどね。それにしても、あの黄色い神官様は相当できるね?」


「確かに何か、異様なオーラを感じますね」



「……こちらはそちらの情報を掴んでいる。

そちらが持っている情報をどうか教えてほしい。少しだけ時間をくれないか?」

 レイはそう言うと、封筒を懐から取り出しアイに手渡した。


「なるほど?取引ということね?」


「少ないが、今はそれでどうだ?」


「時間はあまりないけど、とりあえず話しを聞くだけならいいよ?」


「二人だけで話がしたい」


「え?ああ、他人に聞かれたくないってことね」



 レイとアイは近くのカフェに入って向かい合い話し始めた。

 その間、連れの三人は店の外で待っていた。


「急に呼び止めて、すまないと思っている」


「そうだね?私にもやらなければならないことがあるからね?

あ、もしかしてその事情も知っちゃってるの?」


「もちろんそうだ。だからあの場所で待ち伏せていた」


「……それで?一体何を知りたいの?」


「ボスの正体だ」


「ふーん、ここまでわかってるのにそれは知らないんだ?」


「裏からの情報でもそれだけは掴めなくてな。

限られた人物しか正体は知らされていないということだった」


「それで私に聞きたいってわけか。

……ところでさ、レイさんはどちら側の人間なの?」


「どちらにもついていないが?」


「クロアみたいなこと言うんだね?本当に協会の人間じゃないと証明できる?」


「それは中々難しいな。神官のバッジ、組織のバッジ、両方持ってはいるが……。

この二つを持っていることでその証明にはならないか?」


「まあ難しいね。……そうだ能力を使ってもいい?」


「いいぞ」


 アイは青☆体感視の能力をレイに発動した。


「……なるほどね。

でも話したら、情報を協会に漏らす可能性もゼロではないし……」


「じゃあボスが今いる居場所を教えてくれ。それだけでも十分だ」


「わかったけど……。メリットは?私にとっての。

あと聞きたい理由。それを教えてくれないと話せないかな?」


「単に正体が知りたいからじゃダメか?」


「うーん、さすがにそれは理由としては弱いかな」


「それとメリットは……。

そうだな、聞きたいことはなんだ?俺が知っている情報なら教えよう」


「そうだね……。じゃあ協会の裏の話とか知らない?誰も知らないような」


「それならいくつか話せるかもしれない」


「じゃあそっちから話してよ。それで満足出来る内容だったらこちらも話すよ」


「わかった、それで条件を飲もう」


 ……そして数分後、互いの情報の交換は成立した。



「協力するんですかね?アイ先輩はあの人に?」


「協力というより、たぶん情報の交換だと思うよ?

アイさんはああ見えて駆け引きがうまいからね」


「そうですよね……。少なくとも僕たちの出る幕はなさそうですね」


「……ところで君たち?見たところ新米占い師のようだけど?」


「は、はい。そうですけど?」


「私のことを知っている?功国の白の神官セリスというんだけど?」


「……すいませんが、全く存じ上げません」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 アイからボスの情報を得たレイは、セリスと共にボスのいる建物の前に来ていた。


「本当にこの場所にいるのか?さすがに嘘は言っていないだろうが」


「どうやらそのようみたいね?

一般人に紛れているけど、周りには組織の関係者がたくさんいるわ」


「わかるのか?」


「まあね」


「そうか……だが悪いが、ここから先は一人で行く。入り口で見張っていてくれ」


「そうよね……。もし何か危険な事でもあったらどうする?」


「そうだな、やむを得ない場合は能力を使用してくれ。

それでも対処出来ないときは逃げても構わない」


「そう……できれば能力は使いたくないものね」



 レイは一人、ボスがいるという建物へと入った。

 すると入口から入るや否や、組織の男がレイに手招きをした。


「こちらでボスがお待ちです。どうぞレイ様」


「なるほど、すでにこちらの行動はお見通しってことらしいな」



 入口から少し歩き、黒い扉を開けるとそこにはボスらしき人物が椅子に腰かけていた。


「……やっと会えたな。その仮面は外したらどうだ?

組織のボスといわれているらしいが?正体はもう聞いたんだが」


「そうなの?でもその情報が本当に当たっているかはわからないわよ?

私は誰にも素顔を見せたことがないもの?」


「生まれてこの方ではないだろう?

いや……それでももう、自分の中で全てがすっきりしたからいいんだ」


「そうなの……。ところでどうして私の正体が気になったのかしら?」


「ただ、知りたかっただけだが……悪いか?」


「いいえ別に……。それでわざわざこんなところまで来て聞きたいことは?」


「率直に聞こう……。大神官の正体、知っているんじゃないのか?」


「さあね?」


「未来予知の能力を使えば、容易い事だと思ったのだが?」


「そう?あなたが能力の全てを知っているとは思えないけど?」


「見えるらしいじゃないか?

近くにいる人物の未来を見れば、正体は容易くわかるんだろう?まるでそこにいるかのように」


「そうかもしれないわね?」


「……3つある」


「何が?」


「組織のボス自身が大神官という説と、大神官は最初から存在していない説」


「なるほどね。どうやらなかなか頭は切れるようね?なぜそうなると思うの?」


「情報を得ていくと、不可解な点がいくつかあった」


「ふーん……?」


「まず大神官の情報が全く得られない。世界中のどこを探してもだ。

それについては協会の規制によって何とでもなるかもしれない」


「そうね」


「でも大神官のいるとされる明国の中心部にある本部。

数日間内部を探っても、影すら残されていなかった。そしているとされる噂すらなかった。

世界の協会の支部もくまなく探して見て回った。だが情報は皆無だ。

世界にはこれだけ多くの人間がいるのに、一人も知らないことがあるか?」


「あるんじゃない?本当に一切の外との交流を禁止して……。

ひっそりと生きている人はいるかもしれないわよ?」


「蛇国ならあり得るかもしれないが、俺はそんな話は聞いたことがない」


「そうなの?それで先ほどの2つの可能性を見出したと?」


「そうだ。見つからないのではなく……そもそもいない。

……もしくは目の前の人物が大神官ということだ」


「まあ面白い考察だこと……。それで……最後の一つというのは?」


「完全に理解不能な説だ。大神官自身、自らが気付いていないパターンだ。

もしくは一人にもう一人の人格が宿っているとか。

とにかく大神官自身の存在が、どこか別にいるという説だ」


「そこまで考えられるだなんて、まあ面白いことね」


「そうだろう?それでそろそろ教えてくれないか?

俺の話はこれで終わりだ。知っているんだろう?」


「それで……真実を教えたら私にメリットはあるの?」


「メリットはあるさ。俺が……何でも協力することを約束しよう」


「そこまでできるのなら、考えてあげましょうかね?」


「本当か?」


「じゃあ教えてあげましょうか?正体を……こっそりとね」


「……」


「でも残念ながらあなたの考察はすべてはずれ。答えはもっとシンプルだったのに」


「どういうことだ?」


「こういうことよ…………」


 ボスはレイに大神官の正体を小声で話した。


「なるほど……そういうことだったのか……」


「この情報が出まわったら、この世界がどうなるかわかっているわよね?

蛇国の有名ギャンブラーさん。……いや、蛇国の有名シーフさん?」


「ああ、もちろんだ」



「はあ……。ここまで来たら中の様子が気になるけど……。仕方ないわね。

サラ様とその他大勢を天秤にかけた時、サラ様が勝ってしまったのだから。

まさか組織の片棒を担ぐなんて……。いやレイは組織の人じゃなかったんだったわね……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ