情報を漏らさなければ何も問題はない
明国のとあるカフェでは、白の神官セリスと黄の神官レイが話し合っていた。
「それで一体どうすればいいの?こんな人気が少ないカフェなんかに呼び出して。
……もう一度言っておくけど、私は大神官や組織のボスの正体なんて少しも興味ないからね」
「二人の正体を知りたくはないのか?少しでも気になったことはないのか?」
「別に。……それに知ったら知ったで別の意味で怖そうだしね」
「それなら、情報を漏らさなければ何も問題はない」
「そう簡単にいうけどね、精神的な問題もあると思うけど?」
「そんなものは、精神を強く持てばいいだけの話だ」
「みんな、あなたみたいに強い精神力はないのよ。
……それで?私はこれから具体的に何をするの?」
「……現状ボスについての目星はついてる。今この街にいるのは間違いない」
「そうなの」
「そう簡単にピンポイントで居場所はわからないと思うが、街のどこかに姿を隠し状況を伺っているはずだ。
この数日間の間に、大神官に仕掛けるつもりだろうからな。
裏に金を回せば居場所はわかるだろうが、すぐに移動してしまうので難しくてな」
「なるほど、それで?」
「もうすぐここに、風国から組織の重要人物が来ることになっている。
その人物に直接居場所を聞けばわかることだろう」
「その勿体ぶるような話し方、やめてくれない?
とにかくその人にボスの居場所を今から聞きにいくのね?」
「そうだが、万が一のこともある。一人ではできることに限界がある。
そのためには優れた能力と優れた協力者が必要だ」
「私はその優れた協力者ってわけね?」
「まあそのどちらもって事だ。話が早くて、助かる」
「遅くしてるのはどっちよ」
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風国の国境付近ではエミール、レナーテ、アイの三人が馬車の中で明国に向かいながら話していた。
「明国まではここからすぐだよ」
「ここが噂に聞く国境ですか」
「そっか、二人ともこの辺りには来たことなかったんだね?」
「そうですね。特に用事もなかったので」
「私は来たことありますけどね。興味本位で何度か」
「そうなんだ、でも用事がなければ国から出ることって普通ないもんね。
特に私たちには自分の持ち場ができちゃってるし。
……でも話を分かってくれて良かったよ。二人が協力してくれるなら私も心強いよ」
「……あの、もう少し聞きたいことがあるんですが」
「なに?」
「その……どうしてアイ先輩は組織に組しようと思ったんですか?
どうもそれだけが引っかかってしまって」
「……それはね、話せば長ーくなるんだけど聞きたい?」
「まあ、できれば手短に」
「そして聞いたら最後、秘密を守る重ーい守秘義務が発生するんだけどそれでも聞きたい?
後で聞きたくなかってのは無しだよ?」
「それは……ちょっと待ってください、少し考えますね」
「もう、エミールは優柔不断過ぎるよ。それじゃあいつまで経っても事の真相はわからないよ?」
「確かにレナちゃんの言う通りだね。
こういう時は聞くなら聞く、聞かないなら聞かない、素早く決断しないと。占い師なら特にね」
「はい、では……。聞くことにします」
「レナちゃんもいい?」
レナーテはこくりと頷いた。
「じゃあ二人とも、心して聞いてね」
アイは組織に入った経緯を二人に静かに話した。
◇
◇
「……そういうわけだったんですか。アイ先輩はこの世界の人間じゃなかったと。
そして黒の能力があり、人を呼び寄せるような能力があるとは」
「聞いた話が私の持っている知識と繋がって、協奏曲を奏でてくれました」
「本来なら上級の占い師が知るような情報だから、くれぐれも内密にね。
特に私の事については……話したら最後組織に何をされるかわからないからね?」
「……肝に銘じておきます」
「それは怖いを通り越してます。話したら命も危ないということ……先に待つのは破滅ですね」
「そこまではいってないけど……だから聞かないほうが良いと思って今まで黙っていたんだよ。
でも二人とも真剣に聞いてくれそうだったからさ……。
本当は話したくてしょうがなかったんだけどね」
「これからはうっかり口を滑らさないように気を付けないとですね……」
◇
「それでさ……どう思った?組織は別に悪くないでしょ?
ボスは本当に可哀そうな人だと思うでしょ?」
「事情が複雑な感じですから……僕からは何とも言えないですね。
でも少なくとも、それに協力できるアイ先輩は優しいんだと思います」
「エミ君はそう思ってくれるんだ?ありがと」
「協会と組織、まさに表と裏。
みんなに白☆チェンジをかけらればこんなことにはならないのに。いったい誰が悪いのですか?」
「そうなの、それそれ、本質的にはどっちも悪くないと思うんだよ。
どちらも世界をうまく回そうとしているだけでさ。ただ少し空回りしちゃっているだけで」
「……でも、よくよく考えれば僕たちは大神官様について何も知りませんよね。
そういう人がいる、ということしか。仮にも協会の長なのに、皆もあまり触れてこなかった」
「だから今から組織のボスに会って、大神官様をこの目に確かめに行くんじゃない」
「あ、そうだった」
「もう、しっかりしてよ」




