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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
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交渉

 序列7位の白の神官アメル、か。彼に接触してこちらに引き入れる。

 ……もう俺立派な組織の一員じゃん。


 いや……考え方が違った。組織に俺は入ってない。

 約束を果たすための手段だったな。

 仮に組織に利があろうとも、俺に利があるから協力しているだけで。

 エルクさんの願いを叶えて、快く元の世界に帰るんだった。

 余計なことを考えていても仕方がないな。

 まずは相手の、神官の情報を集めなくては……。


 あとは、誰かを連れていくかだけど。

 この情報を協会に漏らすのはさすがにまずいし、ミルさんは駄目か。

 だとすると、誰か当てになる人は……いないよな。

 さすがに俺一人じゃきついかもしれないが、他に頼れる人もいないし。

 どちらにせよ行動あるのみだ。


 クロアは協会の別館に向かった。



 クロアは神官のバッジを見せつけながら、受付の人物に話しかけた。


「功国の神官ですが、神官アメルに直接面会は可能ですか?」 


「そうですね……。神官アメル様は今は出かけられておいでです」


「じゃあ今どこにいるのか居場所を教えてほしいんですが、急ぎの用なので」


「今は……ここから南西の広場にある用事で外出されています。

そこで事情を話せば、話を聞いてくれることでしょう」


「そうか、ありがとう」


 その後クロアは神官アメルの情報を得て、南西の広場へと向かった。



 まずはどういう作戦で行くか考えておかなくては。

 相手に急に組織に入れ、なんて言うなんてのは愚策すぎるし。

 ある程度会話のパターンを頭に入れておいたほうがいいだろうか……?


 こういう時使えるのは……やはり能力か。

 何か対話に使える能力あったかな?えっと今の所持能力は……。

 白☆チェンジ、緑☆直感視、青☆目視、凝視、黄☆カミングパワー、赤☆刹那

 グレー☆予感、黒☆ガード、黒い炎。


 現時点で9つか、結構増えたもんだよな。

 一番使えると感じる刹那の能力で、ごり押せればいいんだけど……。

 そういえば、新しい能力を手に入れたんだったな。


 黒い炎か……。黒い炎の能力で相手を脅すとかか?

 卑怯な作戦だけど、意外とありかもしれない。

 それにこれは俺の能力で唯一、物理攻撃ができそうな気がするし。

 もはや魔法みたいなもんか?


 さて、この能力をどう使うかだけど……まずはテストしてみないとだよな。

 実際あの強制発動させられた時は、意識も朦朧としていたし。

 いや、俺の体から黒いものが出てきたのはなんとなく覚えているんだけど。

 ……まずはその辺の樽にでも放ってみて様子を見るとするか。


 クロアは樽に向かって、黒い炎の能力を発動した。

 クロアの体から黒い炎のようなものが靄のように湧き出し、

 樽に向かって移動していき、やがてその樽を包み込んだ。



 なるほど、物質は燃えないのか。

 黒い炎が当たっても物理的には燃えていないし、樽に何も変化はないか。

 つまり炎の魔法みたいにはいかないってわけか。


「ん?」


 樽の色が灰色に変わっている?

 色は変わったけど、どうやら時間経過で薄れていくようだな?


 これはもう少し試してみないとわからないな。

 しかし今までのことを考えてみると。

 ミルさんを見ていた感じだと、この炎が人間に当たると能力が使えなくなるらしいな。

 それ以外の症状は……居場所がわかるアイテムの能力も、黒い霧で見えなくなっていたな。

 ということは、能力の効果も受け付けなくなるとかだろうか?

 仮にそうだとしたら……。協会が恐れる能力というのも納得がいくな。


 ……今はそう思っていたほうが良いだろうか?

 まだ不明点が多いけど、この能力を人間相手に気軽に使うわけにもいかないし。

 実験に協力してくれる人がいれば助かるんだけど……。



 街の南西の噴水広場では賑やかな祭りが開催されていた。

 出店も多く、広場の中心部は人でごった返していた。


 どうやらこの街では定期的に祭りが開催されているらしいな。

 よくわからないけど、たぶん祭りは縁起がいいということだろう。

 それよりも……。


「えーっと……」


 クロアが広場を見回すと、

 白く輝く衣装を身に纏っている人物が人ごみの中心部で何かを話していた。


 別館で得た情報によると、あそこにいるのが序列7位の白の神官アメルらしい。

 諸事情により個人情報は性別すら明かしていないらしいが、やはり上位の神官は秘密主義なのだろうか……?

 占い力は……俺よりも少し上か。


 さて、さっそく真正面からいってみるか……?

 どちらにせよ、演説が終わって落ち着いてから話しかけるとしよう。



 数分後、神官アメルの演説は終わりクロアはアメルに歩み寄った。


「功国の白の神官クロアですが、お話を少しいいですか?」

 神官のバッジを見せながら、クロアは言った。


「ほう、あなたが……?」


「知っていましたか?」


「はい。あなたはとても有名ですからね、学校にも通わず特例で神官になったと。

大神官様も興味があると仰られていました」


「そうですか」


 俺は協会に完全に目をつけられてるんだな。

 まあ今までの出来事を考えたら当たり前か。


「あの今回は……」


「大丈夫。あなたの情報は大体把握しています」


 俺の情報流してんのは誰なんだよ。

 まさか、ミルさんか……?


「そうですか、じゃあ……」


「しかし、なんでしょうね。今私に話しかけてくるということは、きっと何かの取引なのでしょうね」


「……そう思いますか。じゃあ話が早いです。

……ところで俺の事をどこまで知ってるんですか?」


「……さあ、どこまででしょうね?」


 この話し方、ちょっとイラつくな。自分のペースに入れ込もうとしてくる。


「今、大きな運命が動き始めていますからね」


「大きな運命?」


「世界規模の運命ですよ、個人の力ではとても変えられないような巨大な運命です」


「なるほど……それは一体どういう?」


「詳しくはこの国の指折りの神官にしか教えられませんがね。

全てがうまくいくように、今必死に運命の修正をしているのですよ」


「……大規模な運命の変更能力といえば、白☆シーズンですかね?」


「その能力を知っていましたか。なるほど、どうやら知識もそれなりに持っているんですね?」


「まあそうですね……」

 あまり知らなかったが、やはりそういうことか。



「ところで、こんな話を知っていますか?

能力の力はまだまだこんなものじゃないっていう話を」


「いや、知りませんけど」


「そうですか。昔はもっと能力は力を持っていたらしいんです。

今でも十分な気はしますけどね」


「はあ……」


「それでそう遠くない未来には、能力の革命が起こるらしいんですよ」


「へえ……。ところでそれは誰が言っているんですか?」


「大神官様に決まっているじゃないですか。それ以外に誰がわかるというのですか?」


「なるほど……確かにそうですね」


 どうやらこの人は大神官に近しい人物のようだな。

 ……これで組織の思惑も少しは見えてきたか。


「……ところで私に話とは何でしょうか?こんな話をしに来たのではないのでしょう?」


 ここは少し大げさに脅してみるか?いや、作戦通りにいってみるか。


「……黒い炎の能力、わかりますか?」


「ええ、わかりますとも。黒の能力は中々に危険のものですからね」


「例えば自由に使える人がいたら、協会にとって怖い存在になると思いませんか」


「なるほど、この私に交渉を持ち掛けるということですね?」


「まあ、そんなところですね」


「ではもう少し詳しく、話を聞くことにしましょう。人気の少ない場所でね」


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