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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第七章 青い世界編
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青の神官マルコス

「じゃあシークスフィア協会風国支部までは私が案内するね。

どうせ場所がわからないでしょ?」


「まあ、そうですね」

 もう機嫌良くなったっぽいな。


「ここから西に行くと協会風国支部があるの」


「西ですね……わかりました。場所がわかれば一人でも行けますけど?」


「そんなに一人で行きたいの?でもお目付け役の私がいないと、逃げ出すかもしれないし……」


「もう今はそんな気は全く無いですけど、牢屋はごめんなので」


「でもやっぱり不安だし、おとなしく私についてきてよね」


「はい……」


 俺は神官なのに……この待遇だ。

 こうなったら早くボスとやらに会って、一言言わないと気がすまないな。


「でも、その前に……。まずはその恰好から着替えてきてね?」


「ああ……」



 二人が西に数分歩くと、シークスフィア協会風国支部にたどり着いた。


「ここが風国支部か。随分とロルドさんの家から近いんだな」


 どうやら基本的に建物は、功国支部と同じ作りらしい。

 違いは青系統の宝石が使われていることか。


「じゃあ、私はこのへんで」


「え?俺一人で行くんですか?」


「そうだよ?私が行っても、神官様にすぐに会えるわけないじゃん。

青い鳥の件、よろしく頼んだよ」


「神官さんに何て言えばいいんだっけ……」


「それはさっき説明したでしょ?

何か別のことを聞かれた時は、どうにかして自分で考えてね」


「そうは言っても……」


 急に情報を探れだなんて、そんな会話術は俺にはないんだが……。


「大丈夫。とても気さくで話しやすい人だからね」


「そうなんだ」


「でも逆に相手のペースに飲まれちゃいけないよ?

言わなくてもいいことは言わない、これ鉄則」


「……気を付ける」


「話が終わったら、そのあとは自由行動でいいから。後で私に内容を報告してね」


「わかった」



 クロアはシークスフィア協会風国支部に入り、受付の人に話しかけていた。


「あ、えーっと、神官マルコスに会いたいのですが」


「面会のお約束は?」


「えっと……。アポ無しです」


「それではまず、正式なバッジか確認をさせてください」


 受付の人はクロアのバッジを確認した。


「……そうですね、功国の白の神官クロア様ですね。少々お待ちください」


「相変わらず、お堅いお役所みたいなところだな……」

 クロアは小声で呟いた。


 クロアはそれから、虹色のソファに座って数分待った。


「……青の神官マルコス様はクロア様とお会いになるとのことです。ではあちらにお進みください」


 良かった、無事に会えるようだ。とりあえず第一段階はクリアか。


 クロアは階段を上り、奥にある青白い扉を開けた。

 そこには青く輝く衣装に身を包んだ、神官マルコスが座していた。


「えーっとクロアくんですね、初めまして。青の神官マルコスだ」


「初めまして。白の神官クロアです」


 二人は探るように挨拶をする。


 ……すっごい見られてるな。

 まずは相手の力を確認しておこう。クロアは青☆目視の能力を発動した。


 マルコスさんの力は14893です。


 なるほど……。なかなかの力がおありのようで。

 どうやらこの国のリーダーとしては申し分ない力ですね。


 ……お、黒☆ガードが早速発動したようだな。能力は……。


 マルコス、青☆凝視。10秒前。

 マルコス、青☆透視。20秒前。


「どうやら、手の内を見られたくないらしいね?」


「はい……?」


 ガードのことがばれたかな?

 でも相手に何故能力が効かなかったのかは、ばれないはずだ。

 青☆凝視を使われたら、ばれるのだろうか……?


「ちょっとばかし能力を使わせてもらったのだが、何も見えなかったよ」


「そう、ですか」


「……私は青の能力を極めている。

青の能力は全部でいくつあるか知っているかな?」


「いや、全部は知りませんね」


「現在、五つ確認されている」


 意外と少ないんだな。じゃあ知っているかもしれない。


「透視、目視、手相視、凝視、体感視。

オリジナル能力を含まないと、この五つだ」


「それでしたら、まあまあ知っていますね」


「私はそのすべてを使えるんだよ」


「なるほど、さすが青のエキスパートってわけですね。……でもなぜそんな話を」


「……ただの自慢話だよ。でもね、今みたいに能力を無効化されたり、

相手の姿が見えなければ、何の力も持たない。つまり無力なんだよ」


「そうですね……」

 それが青の能力の不便なところだ。


「だから覆面なんてされたら、困る困る。

君も白の神官なんだから、わかるだろう?」


「……そうですよね」

 組織のことを言っているんだろうか?


「まあ無駄話はこれくらいにして……と。

ところで何の用事があって君はここに来たんだい?」


「実は、えーっと……。青い鳥の像のことで」


「……その話をどこで?」


「ちょっと、神官仲間から聞いたんです」


「そうか……。どこまで知っている?」


「すごい力を秘めたアイテムということは……」


「詳しく知りたい……。そんなとこかな?」


「話していただけると助かります」



「……幸運の青い鳥。特にこの青い国では縁起の良いものの代表格だった。

街の至る所にはそのマークが溢れていき、長い間民に重宝されてきた」


「なるほど、深い歴史があるわけですね」

 確かに街の色々な所で、青い鳥のマークは見たな。


「それでいつだったか、最初は軽いノリだったかも知れない。

その青い鳥の像に数十人の占い師の力を封じ込めたんだ。

この幸せを祈ってアイテムを作ろうとね。すると、どうなると思う?」


「あまりの力に壊れてしまったとか?」


「いや、その逆で力が凝縮されてしまったんだよ。そしたら……?」


「……それを使ったら、すごい力を得れるようになったと?」


「まあそういうことだ、一時的だがね。

でも不用意に使われたらあまりにも危険なので、ある場所に隠されているんだ」


「そういうことだったんですか」


「まあ今、私が言える情報はこんなところだ」


「それがどこにあるかとかは……。この国にあるんですよね?」


「確かにこの国にあるさ。

……でも例え同じ神官と言えども、その場所を教えることはできないよ」


「そうですか」


「……最近ミスティックの活動が活発化してきている。

この間も国境近くで大爆発が起きたらしいじゃないか。

用心に越したことはないのでね」


 爆発事件は、もう情報が出回っているんだな。


「……そうですね」


「君を疑っているわけではないが。

やはり同じ国の信頼したものにしか教えられないよ。

その場所は今でも厳重に警備されているんだ」


「厳重に警備を……」


「……おっと、少し言い過ぎたかな。

とにかくそういうわけなんだ、満足したかい?」


「そうですね、情報が聞けて為になりました。それじゃあ俺はこれで……」


「……そう言えば、君はこの国で働いてくれていたらしいじゃないか」


「まあ……」


 大抵チェンジをするだけの簡単なお仕事だったけどね。


「君のその白の能力は……。そのチェンジの能力は今皆が求めているものなんだ。

ぜひともわが国に貢献していってくれたまえ」


「はい、できる限りは」

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