それが今回の我々の任務だ
久々に今日の運勢にでも耳を傾けてみるか。
まあもうチェンジのお陰で悪くはならないだろうけど。
クロアの頭の中で運勢を告げる声が聞こえた。
「今日のあなたの運勢は……。ウインドペガサスアジャスターです」
うーん、どういう意味だろう。こんど誰かに聞いてみよう。
「……よし、行くか」
クロアは街中で浮かないように、新品の青い服を着て宿屋を出た。
◇
クロアがロルドの家に着いた時、リンは不機嫌そうな顔をして家の前に出てきた。
「私の今の気持ちわかる?」
「どうやら共同生活は夢の幻だったようですね」
「せっかく二階を完璧にお掃除しておいたのに……」
結局昨日食事は外で一緒に食べたが……。同じ家で寝るのはさすがにまずいだろう。
家の扉が開くと、ロルドが顔を出した。
「久しいねクロア君、早速妹と喧嘩かい?」
「もう家に帰ってたんですか、あれからそんなに時は経っていないと思いますが」
「俺はね、最初から君のその才能に気づいていたんだよ?」
「……最初から全部知っていたんですね?」
「まあな」
「色々聞きたいことはあるんですけど」
「そうだな、まずは家に入ってくれ。そこでゆっくり話そうか」
◇
「じゃあ二人して、いや組織として……。
ビアさんやエルクさんを利用していたってことですか?」
「それは少し違うな。別に彼らを利用していたわけではないよ。
ただ一緒に歩みを進めていただけにすぎない」
「本当ですか?」
「ああ、その通りだ。確かに護衛を辞める時、俺はビアさんの怒りを買う為に演技をした。
これでもかと暴言を吐いたさ。そうしなければ未来予知の通りに進まなかったのでね」
「よくそんな怖いことできましたね。ビアさんを怒らせると怖いですよ」
「まあ、すまないと思っているよ。いつかきちんと事情を話して謝らなくてはな」
さすがに許してもらえそうになさそうだけどな。
本気で怒っている様子だったし。
「ところで未来予知とは……?」
「その前にボスのことを話さなければな」
「ボス……?」
「まあ簡単に言うと、ビアさんの姉でエルクさんの想い人だ」
「随分と簡単に言いましたね……」
「そうだな、別にもう口止めはされていないんでね。
……だからボスは未来予知の能力が使えるんだ」
「なるほど、そういうことでしたか……」
ようやくバラバラだった記憶のピースが繋がった気がする。
◇
「じゃあ根本的な問題点ですが、
俺をこの世界に呼んだことに組織は関わっていないんですか?」
「まあ直接的にはね。それはボスの居場所を突き止めようとしたあの男が、
君に対して勝手にやったことで、俺達には何も関係がない」
「でも俺も今は結局こうやって利用されてますよね。
いやもしかしたら最初からなのか?」
「そんなことはないさ。君は別に自由に生きればいい。
ボスの命令も聞かなくていいんだ」
「そんなこと言ったら……。本気でそうしますよ?」
「そうか、それならそれもいいだろう」
「それも未来予知で見たんですか?そう言ったら俺が従うと?」
「いいや違うよ……。俺は君のそういう所が面白いと思っているよ。
未来予知に振り回されないからね。
実際に今までの未来予知の結果も、君のせいで変わって進んできているんだよ」
「なるほど、じゃあ好きに行動していいんですね」
「だが、今だけはこちらについておくことを強くお勧めするよ」
「一体どっちなんですか?」
「メリットがあるんだ。情報をたくさん得れる。
ボスの未来予知の情報を得れる。
あとは情報屋と裏の繋がりがあって、そこからも沢山得れるんだ」
「そうですか……。じゃあ情報だけ抜き取ってさっさとおさらばするとしますか」
「それもいいだろうね、組織から逃げるのは大変だろうが……」
やっぱり、俺脅されてるんじゃん……。
◇
「組織はこれから一体どうするつもりなんですかね」
「今のシークスフィア協会の体制を変えたいのさ。ただそれだけ」
「そうですか」
本当にそれだけ、なのだろうか?
「俺たちはその思想に賛同しているだけだ。
そういう者たちを集めてネットワークを作っている。裏の裏でね。
ちなみに全国の街に点々といるんだよ組織の一員が」
「そんなにも勢力は拡大していたのか……」
うまく未来予知の能力を使ったんだろうな。
ビアさんよりもより高度に。
「そう言えば、肝心なことを聞き忘れていました」
「なんだい?」
「黒の炎の能力を強制的に発動させられることと、俺が元の世界に帰れる方法です」
「……それはボスから直接聞いたほうがいいかもな」
「知らないんですか?」
「そのほうが楽しいだろうし、もう少ししたら直接会えるだろうからな」
「つまり、教えてくれる気はないんですね?」
「そうだな、言いたくなかったが聞かれたのなら言ってしまおう。
それは、口止めされているんだよ」
これは元の世界に帰れる方法をみんなして隠しているな?
ビアさんもエルクさんも知っていそうな感じだったし。
◇
「今日はこの国の、シークスフィア協会風国支部に行ってくれ。
君は神官だから簡単に内部に入ることができるだろう」
「まあ、そうでしょうね」
「そこで君にはある人に会ってもらいたい」
「……何だか大体、想像はつきました」
「そうかい?青の神官マルコス。この国一帯の神官の親玉みたいな人だよ。
今日はちょうど風国支部にいる日なんだ」
なるほど、ゾルさんみたいな人か。
「それで話をつけて、青い鳥の像の情報を手に入れてきてほしい」
「それはどういうことですか?青い鳥とは?」
「まあ力を秘めた、占い師のアイテムみたいなものだな。
……それが今回の我々の任務だ」
「ロルドさんも入っているんですか?」
「ああ、そうだよ。
そしてその情報をうまく手に入れることができたら……。ボスは君と話がしたいそうだ」
「ボスはうまいこと流れを掴んできますね。
自分のしたいことを未来予知を通じて、うまいことやらせる。
俺がボスに会えるというメリットを与えて、自然と行動をするよう促してくる」
「いいや、全くだよ」




