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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
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家でみんなとわちゃわちゃする

 クロアの家には、女性四人がクロアが神官になったお祝いに押し寄せてきていた。


「今日はみんなで訪ねてきちゃいました……」


「クロアが神官になったお祝いだよ」


「その服を着られるなんて偉くなったものですね。ところでどのくらいの価値があるのですか?」


「セリスさんもすごいですね……」


「ありがとう。でも何だか自分だけ悪いわね」


「そんなことないですよ、すぐにみんな追いついて神官になっちゃいますから」


「そうね、早くみんなが隣に立ってくれる事を祈っているわ」


「あの……これはお祝いの品です……」


「あ、それなら私も持ってきたよ」


 続々とクロアとセリスにお祝いの言葉が溢れていく。


 みんな一斉に喋るから、こちらから話し出すスキがないな。

 しかしなんでわざわざ俺の家に集まるんだよ。



 クロアは一人、考え込んでいた。


 一度状況を整理しよう。

 今、俺はこの中で一人を選ぶとしたら誰を選ぶ?という選択を決めかねている。

 どうやらこの後、また聞かれる状況になるらしい。俺の予感がそう言っているのだ。


 前に聞かれた時はそんなの選べないと逃げ出したので、顰蹙を買った。

 もちろんふざけて聞いているのはわかっている。

 だが今は何故か真剣に誰を選ぶか考えている訳だ。


「……この衣装の中は一体どうなっているんですか?」


 茶髪の赤紫色ローブのミアちゃん15歳。

 この中で一番可愛いのは間違いない。だがエルク様好き好き病に罹っている。


「神官様のお給料はどのくらいなんでしょうか」


 黒い長髪に紫色のローブのミルさん19歳。

 この中で一番ちゃんとしている人なのだが、お金の事になると性格が一変する。

 大人のお姉さん的魅力があり、ポテンシャルを秘めている。


「誰か、なんか食べ物もってない?ちょっと小腹がすいたんだよ」


 青髪のポニテのリンさん18歳。通称青いお姉さん。

 いつも元気。欠点はいつも青い服を着ていることとわがままなことだ。

 あとずっと一緒にいると、話が止まらくなり疲れる。


「私、白蛇パンなら持っていますよ」


 オレンジ色のローブのセリスさん19歳。通称オレンジの女。

 今のところプライドが高いだけで、この世界では珍しく性格は普通なのだ。

 ……と、思いたかったのだが、やはりある欠点があった。でもあの事はもう忘れよう。思い出してはダメだ。


「ねえ、クロアも食べる?」


「いや、今はそんな気分じゃない」


 やっぱりこの中から一人なんて選べないわ。どうしよう。



「そういやみんな、最近調子はどう?」


「ぼちぼち儲かっていますわ。この街に占い師が増えたことで、別の国からくる人も増えておりますし」


「私は……まだまだ。仕事もあんまり取れないし」


「ミアさんはまだ新米ですもの、これから頑張っていけばいいのよ」


「じゃあミアちゃん、今度私と一緒に組んで仕事しよー」


「……うん」

 ミアはこくりと頷いた。


「やっぱりミアちゃんは可愛いね。

でもセリスさんはいいよね、もう将来が約束されているようなもんだ」


「でも神官様でもそれなりの実績を保たないと、降格もあり得ると聞いたことがありますよ」


 それは怖いな。


「そんなことはありませんよ、私もようやく白の能力に目覚めそうなので」


「そうだね。一緒に頑張ったんだもんね」


 一緒に特訓していた青い人は、リンさんだったのか。


「白の能力、憧れますね。やっぱりチェンジが有名でしょうか。

あれを一度でいいから使ってみたいものですわ。そういえばこの前も……あ」


「……この前ってなんのこと?」


「な、なんでもありませんわ」


「……それにしても皆さん本当にすごいです。

羨ましいです……。神官になればエルク様とも会えるのでしょうか」


 エルクが話題に出ると、皆はシーン、と静まり返った。


 なんだこの空気は……。


「そういえばさ、二人は神官になってしまったから敬語使わなきゃダメなのかな」


「何だか今までと同じ風に話せないのは、少々気が引けますね」


「でもプライベートなら大丈夫だと思います……」


「私は全然普通に接してくれていいのだけれど」


「神官様がこう言っているならいいのかな」


「そうかもしれませんね」


「じゃあお許しが出たから良いってことだよねー」


 なんか女子たちで勝手に盛り上がってるな。俺にも話し振ってくれよ。



「そういやクロア、何一人で考え込んでいるのさ」


「いや、話を振られないからさ」


「クロア様は何か大事なお考えがあるのです」


「えーそうかなー?」


「そういや、なんでクロアはミアさんに様付けで呼ばれているのですか?」


「それは……」


「でももう神官になっちゃったから、ミアちゃんの呼び方はそのままでいいよね」


「クロア様はエルク様の味方なのでクロア様なのです……」


 エルクの話題になると、その場はまた静けさを感じ始めた。


「……確か神官たちの集会みたいなものが、定期的にあると聞きましたが」


 そんなものあるのか?面倒だな。


「そんなものあるの?じゃあクロアもその一員に入れるってこと?」


「そのような話は聞いたことがないけれど、クロアは何か知っている?」


「聞いたことないけど、その場が眩しすぎて目が眩みそうだな……」


「なんだかそれ自慢話みたいに聞こえるー」


「お金の大きな流れが、きっとそこには流れていることでしょう」


「エ、エルク様もそこに……」


 そのあとも女子たちはクロアの家で話し合っていった。


 なんだかんだ悪い気分はしないけど……家が狭い。

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