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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
47/130

コップが女の子になる能力です

「いいんですか?チャンスを三回もくれて。能力を使ってもいいんですよね?」


「この状況で使える能力があるならいいだろう。

どうせ俺は少年の能力を感知することはできない。それが欲しいから今こうしているのだからな。

だが俺が知らない能力を使われて負けるなら、せめて教えてほしいところだな。その能力を」


 レイさんは交渉がうまいな。たとえ負けても、俺が未知の能力を持っていると知ることができる。

 本についてはもうコピーでも取ってあるのだろう。だから負けてもほぼデメリットは無い。

 そもそも凝視の能力は青の基本の能力だ。俺以外にも身に付けている人は多数いるだろう。

 だからここで奪えなくてもいい。他の人から幾らでも奪えるはずだ。


 一番の目的は俺に以前負けたから、勝ちたいという気持ちだろうな。

 そしてあわよくば能力を得たいといったところか。


「さあ、少し考えるか?五分後に答えを聞こうじゃないか。

だがもう勝負をする事は決まっている。勝負の内容を変更する事は可能だ」



 クロアは五分後、そのルールを承諾した。


 クロアはコップとコインに仕掛けがないことを確認する。もちろんそれを置くテーブルにも。

 その後ルールの通り、目隠しをして後ろを向いた。

 レイはその後すぐにコインをコップに入れ、シャッフルを始めた。


 クロアには、コップが混ぜられていく音だけが聞こえていた。

 そしてその音はやがて止まり、静寂の時が訪れた。


「……さあ、終わったぞ。どれだ?そのまま言い当ててくれ。

もちろん今後一切俺は何も動かさない。種も仕掛けもない。

少年が当てるだけでいい。そうすれば俺の負けだ」


「直接見ないと本当に何もしていないか、わかりませんよね」


「音でわかるだろう?」


「音を立てずに何かを仕掛けることは、いくらでもできます」


「そうか、ならどうすればいい?」


「宣言と同時にすぐに目隠しを外して前を向く。これなら大丈夫なはずです」


「よし、それでいい」


 レイさん……やけに潔いな。まずはこれを発動して様子を見てみるか。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 黄☆カミングパワー

 運を引き寄せる能力。勝負事で使え、力があるほど強く運を引き寄せる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「青いコップでコインは表」


 クロアは宣言すると同時に前を向き、三つのコップを見る。


「じゃあ青を開くぞ」


 レイが青いコップを開いても……そこには何もなかった。


「残念だが、何もないな。はずれだ」


 違ったか……。あの能力じゃさすがにダメか。


「もちろん俺は何もしていない。他のカップを見てみろ」


 クロアが赤いコップを開くと、コインが裏向きに入っていた。


「確かにイカサマはしていないようですね」


「そうだと言っただろう。能力に頼らず本当の意味での運の良さ。それを発揮できるのが勝者だ」

 黄色いコップに何もないことを見せながらレイは言った。


 そんなこと言って、油断させようったって……。

 ん?さっきからガードが発動していた?履歴を確認する。

 この能力は……。


 レイ、チェンジ。1分前。

 レイ、チェンジ。3分前。

 レイ、チェンジ。5分前。


 どういうことだ?俺の運勢を下げて当てられないようにする気か。

 これだから人は信用できない……。

 だが幸いにも、ガードしても相手にはガードしたことはわからないはずだ。

 動揺してはだめだ、俺がガードの能力を持っていることをレイさんはまだ知らない。


「どうした?まだチャンスはある」


「……えーっと、そうですね」


「何か考え事か?」


「そうですね、お祈りをしようかと」


「なるほど、それはいい。だが手短にな」


 クロアはお祈りのポーズをとる。

 この間に冷静にならなくては。

 向こうが妨害をしてくることは想定の範囲内だ。

 チェンジを使ってくる事は予想外だったが。


「そろそろいいか?」


「はい……」

 クロアは再び目隠しをして、後ろを向いた。


 ……なんだか変だな。

 これは……。頭の中で何かが起こっている。

 この映像は……いつかの記憶を思い出してきている?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 赤のコップがミアちゃんになって、目をキラキラさせて言った。

「エルク様の味方のクロア様は私の味方なのです」


 青のコップがリンさんになって、元気な声で言った。

「運が良いイコール実力があるということなんだよ?」


 黄色のコップがセリスさんになって、暗い顔をして言った。

「黒い扉……だわ。とても縁起が悪い」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    ☆予感

 これから起こることを今までの経験に結び付けて察知できる。

           。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「終わったぞ、宣言してくれ」


 あれは能力だったのか?だとしたら一体どういう意味だ?

 セリスさんだけ浮かない顔をしていたけど……。

 一か八か……これに賭けてみるか。


「黄色、そしてコインは表です」


 クロアはそう言うとすぐに目隠しを取り前を向き、自ら黄色のコップを開けた。

 中からは縁起の良い白蛇のマークが顔を出した。


 その一瞬に起きた出来事をすぐに理解できずに、レイは少しの間固まっていた。

 クロアも少しの間、閉口してコインを見つめていた。


「……なぜわかった?その様子じゃ能力を使ったようだな」


「はい、使用しました」


「……どんな能力か教えてもらえるか?」


「コップが女の子になる能力です」


「ふっ……」



「じゃあその黒の書はくれてやる。またいつかな、少年」


 相変わらず去り際は味気ない人だな。

 そうだ、最後にこれを使っておこう。最初に使うべきだったが。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆目視

 対象者一人の占いの力の程度を見破る。

 自分を基準に相手の力量を把握する。

 力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 レイさんの力は9427です。あなたの力は8806です。


 レイはクロアにそう言うと、そそくさと去っていった。



 思わぬ能力で勝利を手に入れたな……。

 どうやら力の数値では負けていても、実力は俺のが上らしい。


 黒の書を今すぐにでも読んでおかないと。誰かに取られたりしたら大変だ。

 まずはこれを読んで知識を詰め込んでおいてから……。


 そのあとにシャボンの街に戻るか。

 事件は無事に止められたのか否か気になるし。

 まあ今のところシークスフィアは問題ないようだし、大丈夫だと思うけど。


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