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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
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この人もセリスさんと同じか……。

 さて無事に外に出れたわけだけど……。

 シークスフィアはどうなったんだろう?セリスさんは本当に無事に逃げられたかな?


「あの、まずは情報収集をさせてもらえます?」


「何を言っているんだ。まずは街に向かって、着いたらすぐに一戦って約束だろ?」


 そんな約束してないぞ。


「そうでしたっけ……?じゃあ一つだけ質問いいですか?」


「聞こう」


「シークスフィアはどうなりました?」


「シークスフィア?この近くにあるシークスフィア功国校か?」


「はい、そうです」


「……別にどうもなってないだろう。

あそこで何かあればすぐさま騒ぎになり、嫌でも情報は入ってくるはずだ」


「ですよね……」

 レイさんに事件の事を言う訳にもいかないよな。


「何か心当たりでもあるのか?」


「いや、最近物騒なのでなんだか気になって」


「そうか?蛇国なんかここよりもっと物騒じゃないか。確か少年も蛇国の出身だっただろ?」


「ああ、そうでしたそうでした。捕まってて頭が混乱してました……」


 そして二人は近くの商業都市カノンへ歩みを進めた。



「ところで、何故俺があそこに捕まっている事が分かったんですか?」


「ええとそれはだな……」


 この動揺は、何だか怪しいな。


「聞いたんだ。占い師に」


「誰にですか?」


「それは守秘義務があるので答えられないが、少年が今どこにいるか占ってもらった。

そしたら危機的状況にあると聞いたので、急いで助けに来たんだ」


「なぜ俺を?」


「……ギャンブル勝負がしたかったからな」


 やっぱり生粋のギャンブルマニアですね。


 しかし功国支部からの使いは誰も来ないのに……。レイさんが来るとは何か妙だな。

 でもレイさんも嘘をついているようには見えないし。

 仕事のことはセリスさんとゾルさん以外は、知らないだろうからな。

 なんらかの事情があって、俺を救いに来れなかったとみるべきだろうか。


「何か事情があったんだろう?仕事は守秘義務があるだろうから、理由は聞かないがな」



「そういえば少年はどっちの味方なんだ?」


「え?」


「ビア様派かエルク様派か」


 何派とかあるんだ。そう言われると困るが。


「そうですね、どっちもあまり好みではないですが」


「そうか。俺もどちらも、どうも気に食わなくてな」


 まあ、その気持ちはわかるよ。


「俺たち手を組めるかもな……」


 いや、俺は嫌だよ?レイさんギャンブルマニアだし。


「どちらにつくか、これから先はそれが問題になりそうだな」


「どっちにもつかないのが気軽でいいですよ」


「そうだな、俺も今までそうやって生きてきた」


 しかしレイさんはよく話すな。



 街に着いた二人は向かい合って話し合っていた。


 クロアは周りを見渡す。

 覆面はこの辺りにはいないようだから、一安心だな。


「ではレイさんがやりたがっていた、ギャンブル勝負をしましょう。で、何を賭けるんです?」

 早く終わらせて、今の状況を確認しなければ。


「よし、早速やる気になってくれたか。少年はこれが欲しいんじゃないかと思ってな」


 そう言うとレイは黒い本を机の上に置いた。


 あれは、漆黒の黒の書。占いの書上級の失われた八巻と言われているものか。


「……まあ、欲しいですね」


 本当はかなり欲しいけど、そこそこに言っておこう。

 賭けようとしている気分を変えられたら面倒だ。

 あれさえあれば黒の能力の事がわかって、元の世界に帰れる能力もわかるかもしれない。


「そうか、それなら良かった」


「それでこちらが賭けるものは?」


「…………能力だ」

 レイは少し言い渋って小さい声で言った。


「……どういうことですか?」


「黒の能力で能力の交換ができるんだ。だから少年の能力をもらう」


「なるほど、ってそれはリスクが大きすぎるのでは?」


 黒の能力の能力を受け渡す能力。エルクさんが使っていた能力か。

 ということはレイさんも黒の素質を……?


「それは裏の世界じゃ、ちょっとした伝説になっている本だぞ。

その価値はとても値段がつけられないくらいの代物だ。

能力ぐらいじゃないと、釣り合わないと思うが」


「それでも能力を渡すというのは……占い師の第二の命みたいなもんですよ。

……ちなみに何の能力が欲しいんですか?」


「青の能力の凝視だ。少年は持っているんだろう?

対象者一人が発動している能力を見破る能力だ」


「まあ、持っていますけど……」

 でも能力を見れる能力がないと困るな。しかし黒の書も捨てがたい。


「それがないとギャンブルをする時困るんでな。

青い人たちの訓練を何度も受けたのだが、一向に身につかなくてな」


 この人もセリスさんと同じか……。


「どうだ?やってくれるか?リスクを冒さなければ何も得ることはできないぞ」


 さてどうしたものか。ギャンブル勝負をすることは約束していたから避けられない。

 最悪一つの能力を失うだけで……。


 ……いや、弱気になってどうする。勝って黒の書を得る。これしかない。

 きっと能力をうまく使えば勝てるはずだ。

 クロアは能力を発動した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆凝視

 対象者一人が発動している能力を見破る。力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 レイさんはガードを発動していない。これは持っていないな。

 だがこちらは向こうからの能力をガードできる。これなら勝てる。

 一応これも使っておこう。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 緑☆直感視

 対象者一人を見ることですぐ先の行動を予測する。

 力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「……じゃあ、それで」



「それで一体何をするんですか?ルールは?」


「ちょっと待ってくれ、今用意する」

 レイはカバンからあるものを取り出していく。


 よし、直感視の通りに行動している。

 これを使えば相手の先の行動がわかるから、勝ったも同然だ。


「ここに三つのコップがある。赤、青、黄色の三色だ。

これに蛇の国のコインを一枚入れてシャッフルする。

そしてコインがどのカップに入っていて、それが表か裏かというのを当てる」


 なんかこの感じ見たことあるぞ。マジック的なやつで。


「わかりました」


「ただし少年は目隠しをする。完全に見えないよう目隠しをして後ろを向いてもらう。

能力を使われては、つまらないからな。

もっともそんな能力があるのかは知らないが、念のためだ。

そして俺が完全にシャッフルをしてから、目隠しをしたまま少年が選ぶ。あとは……ハンデをやろう。

三回やって一度でもこれを当てることができれば、少年の勝ちだ。どうだ?」


 目隠しをするのか。そうすると青と緑の能力は使えないな。どうするべきか。


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