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世界は占いに支配されている 【第三部開始】  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
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裏切り

 ビアは自分の部屋で瞑想をしていた。


 長かったけれど、ようやく見終わった。

 ……これが私の新しい未来なのね。明華はまさに救世主だわ。

 忘れないようにメモしておかなければ。


 レイが私に勝ったことで、また未来は変わってしまった。

 もしかしたらレイは、黒い素質を持っているのかもしれないわね。


 至急報告しておかなければ。



 ビアは白いお城の二階、会議室のロルドの元を訪れていた。


「どうやら私がレイに負けたことで私の未来が変わって、

時期は詳しく言えないのだけど、救世主がこの世界に来ることになったわ」


「救世主?」

 

「そうなの。ところでロルドは何をやっているの?」


「このばかげた紙を処分しているんですよ」

 ロルドは紙をビリビリに破いていた。


「それは……黒の素質についての大事な資料!」


「救世主はエルク様ただ一人だけですよ」


「ロルド?何を言っているの?」


「ようやく力がついたようです。エルク様の」


「エルク……?」


「そしたら……やっぱ楽しそうですよね。

そろそろ演技するのも疲れてきていたところです」


「ロルド、頭がおかしくなってしまったの?」


「ビア様。あなたの未来予知の能力は、数日以内に無くなることでしょう」


「どういうこと?」


「ビア様の護衛はこれにて終わりです。まあこれはこれで割と楽しかったですよ」


「どういうことか説明をして」

 ビアはとうとう声を張り上げて言った。


「エルク様はもう一度話してくれる気があるなら、会いに来てくれと言っていましたよ。

もう未来はどうなるかわかりませんから……ビア様に会いに行ける勇気はありますかね?」


「ロルド?」


「これからは未来が見えないから、きっと自由に生きれますね。良かったです」


「……」


「ビア様、今までありがとう。未来予知の情報は役に立ちましたよ、

あと、クロアはとても面白い男ですよ」


 一方的にロルドは話し続けて、ビアのもとを去っていった。


 会議室にはビリビリに破かれた紙が、無造作に散乱していた。


「…………最低の屈辱を受けたわ」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 良かった。ビアさんからの通知がやっと止んだ。

 ようやく諦めてくれたか。それにしても長かったな。

 特に最後のラッシュがきつかった。


「大丈夫?さっきから様子が変だけど、しっかりしてくれないと困るわ」


「ああ、今やっと自由になった」


「……?怪しい女の尾行を続けるわよ?私たちの使命を忘れないで」



「ところでセリスさんは能力のデメリットについて知ってますか?」


「デメリット?」


「そういうのってあるんですかね?」


「まあそりゃあ、あるんじゃない?私は使った後、多少疲れるぐらいだけど」


「セリスさんが知ってるわけないか」


「ちょっとバカにしないでよね、こう見えても私は歴戦を潜り抜けて……」


「もうそれ何回も聞きましたよ」


「普通はメリットが大きいほど、デメリットも大きいものよ」


 それは簡単に予想できることなんだけど、セリスさんも知らないか。

 ゾルさんもはぐらかして教えてくれなかったし、謎が解けないな。


「ほら、そんなことより女が道を曲がったわよ」



「女が入り口から下へと入っていきました」


 どうやらここが反抗勢力の根城のようだ。

 アジトは地下に広がっているらしい。

 地下へと続く階段の前には複数の見張りがいた。


「下手に動かないでね、気付かれるから」


「奴ら全員覆面を被っています」


「どういうこと?」


 入り口付近の見張りをしている男たちは、全員覆面姿だった。


「覆面を被られていたら相手が誰かを認識できず、能力が使えないですよ。

青と緑の能力は壊滅的だ」


「それはピンチね」


「……こういう時の対策は?……あれどうしました?」


「囲まれている……」


 クロアたちの周りを、ナイフを持った覆面の男たちは取り囲んでいた。


「……やれますか?」


「私を誰だと思っているの?護身術の一つぐらいなら、もちろんできるわよ」


「じゃあ合図とともに」


「わかったわ」



 数分後、3人の覆面の男たちはクロアの活躍によって意識を失った。


「クロア、あなたなかなかやるわね。突撃したいと言っていただけのことはあるわ」


「喧嘩は割と自信あるんで」


「護衛のほうが向いているんじゃない?」


「俺は占い師です」


「そうだけど」


「……でも拳で戦える占い師でも、良いと思いませんか?」


「ゾル様みたいなの?いい体してるわよね」


「それわかります、内に秘めた筋肉がありそうですよね。

そういえば自分には赤の能力が欠けているから、体を鍛えているって言われてました」


「そうなんだ。……ってあまり無駄話をしている場合じゃなかったわ。

まだ入り口に見張りがいるわね」


「さすがに正面突破は厳しそうだ」



「覆面されてるんじゃ能力が使えない、こういう時のなにか良い手はないんですか」


「それは、あるにはあるけど……。まずは私たちも覆面をするのよ。

この伸びている彼らのものを奪い取って。

そうすればスパイとしても潜り込めるし、相手に正体もわからない」


「なるほど、さすが歴戦を潜り抜けてきた人だ」


 二人は覆面を奪い、装着した。


「やっと褒めてくれたわね」


「そんなに褒められたかったんですか?」


「……うん」


 そんな真面目に返事されても困るよ。


「……でも洋服が派手じゃ無理じゃないですか?俺たち浮いてますよ」


「それは、また奪い取ればいいだけよ。

大事なバッジだけは無くさないようにしっかり持っておくのよ」


 クロアは頷き、二人は洋服を奪い身に着けた。


「一応、安全のために格好は変えたけど。こんな時にも使える能力はあるわ」


「なんですか?」


「自分に使える能力よ」


「なるほど」


「まずは自分の運命を操作できる能力で、使えるものを使いましょう」


 えーっと、刹那とかか。


「やってみます」


「私も試してみるけど。……それで内部に潜入して情報を手に入れる。

相手の情報がわかればこっちのものよ」



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