表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は占いに支配されている 【第三部開始】  作者: 米 春幸
第四章 ☆もう一人の来訪者編☆
31/108

勘違いの勘違い



 もう少し、この空間を満喫したいな。

 うーんと……何か面白そうなものはないかな?


 私は再び部屋を見回し始めた。


 ん?あれは何かな?

 少し離れた場所にある、ピカピカの白いテーブルの上。

 占いの書上級と書かれている本が置いてあった。


 それを見つけるなり、私はすぐさま駆け寄った。


 すごい!なんなのこの本は!タイトルが秀逸!占いの書上級!

 一目見て分かった。これこそ私が探し求めていた究極の本。


 分厚く重厚なフォルム。ところどころに施された装飾。

 本ということは微塵も感じさせない存在感。

 そして中身!

 きっとこの世の占いの全てを詰め込んでいると言わんばかりの充実の内容。

 詰め込んでいるといっても、もちろん全知識をいたずらに詰め込んでいるわけじゃない。

 占い上級者の、為になる、最良な、知識を、凝縮して、詰め込んでいる!

 いわば占いのプロが読む最高級の宝石!

 それが、この占いの書上級!


 ごくり。

 おもわず唾を飲んでしまった。


 これは夢。もしかしたら大したことは書かれていないかもしれない。

 でも、もしかしたら……。

 この本には何が書かれているのだろう。

 開かないという手もある。


 でも見たい。見て感動したい。

 私の夢でしょ。きっと感動できるよね。


 とうとう逸る気持ちが抑えられなくなって、私はその本を開いた。

 なんとなく開けたそのページには、こう書かれていた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 そして次に白の能力についてです。

 チェンジ、これは対象者一人の運勢を変えることができます。

 力が大きいほど思った通りに変えられます。

 重ね掛けをすることで効果は重複します。

 ですが、運勢には上限と下限が存在します。

 例えばチェンジで運勢を上げても、すでに運勢が上限に到達している場合、意味がありません。

 詳しくは占いの書上級六巻をお読みください。


 未来予知、これは対象者一人の未来を視ることができます。

 正統な継承者しか使うことができません。

 力が大きいほど、長く先まで正確に見通せます。

 実際の能力保持者が言うには、3年先までは視えるそうです。

 ですが視た未来は結果が変わることもあると思われます。

 詳しくは占いの書上級七巻をお読みください。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 やっぱりなんだかすごい内容だね。

 能力?よくわからないけど、恐らく超能力者のことかな。

 たぶん名の知れた占い師は超能力が使えて、人の運勢を変えることや、未来を見ることができるのね。

 私の夢ながら、面白い設定だね。期待通りの上出来だよ。



 この辺りも見まわして堪能したし、どうしよっかな。

 このまま心地よいベッドで眠って、夢を終えて目を覚ますのも手だけれど……。


 ここまできたら、やっぱり外に出てみたいよね。

 部屋は見る限り、中世の外国の貴族の部屋みたいだし。

 外にはきっと綺麗な街並みが広がってるんだろうな。


 ……ってなんで夢の中で夢見てんだろ。

 なんかさっきからやけに現実味があるんだよね。



 では早速、さっきの豪華絢爛な衣装を身に纏い、街に繰り出すとしますか。

 

 私は白い大きなクローゼットの中の、白く輝く衣装を身に着けた。

 衣装には胸元に大きな輝く白いバッジがついていた。

 これは高そうな宝石だね。やっぱりお姫様か。

 衣装を身に着け気持ちが高揚するなか、私は部屋を出る。


 ありがとう、私の理想のお部屋。

 もう会えないかもしれないけれど、とても楽しかった。


 そして私は名残惜しくも、白い扉をゆっくりと閉めた。


 部屋を出ると、目の前には白い大きな螺旋階段があった。

 大きな階段だね、どのくらい続いているんだろう。

 私は階段の上下を確認してみる。

 上にも下にもまだまだ続きがありそうだった。


 とても大きな建物なんだなあ。さすが私の夢。スケールがでかいね。

 とにかく外に行きたいから、下を目指さなくっちゃ。


 私は必死に階段を下りた。早く外に出たい一心で。

 そんな時でも、衣装を汚さないように気を付けながら、小走りで駆けた。

 たとえ夢の世界でも、白い衣装だから汚したくなかった。


 結構長いね。少し疲れたよ、夢の中なのにね。

 数分後、ようやく一番下の階にたどり着いた。

 お疲れ私。さて、外にはどんな世界が待っているのかな。


 一番下の階の、おそらく外と通じていると思われる、大きな白い豪華な扉。


 これを開ければ、理想の世界が待っている。

 だってこれは私の夢の世界だもの。

 ギイイイイ、と大きな音を立て扉は開いた。



「わあ、すごい」


 思わず大きな声を出てしまった。でも別にいいか。夢なんだし。

 扉を開くと、カラフルでキラキラした街並みが私の眼前いっぱいに広がった。


「すごく良い眺め」


 私が想像していた、風水的にも極限の街並み。

 最高でしょ。やっぱりこれは私の夢なんだと確信した。

 これが私が夢に描いた私だけの街!


 私は興奮しながら街を見回す。

 道や建物は綺麗に塗装されていて、ひときわ輝いて見えた。

 ところどころにお店もあって、街は割と賑わっているようだ。

 人もまばらだけど、ちらほらいる。


 あれ……でも。あっちの人も、こっちの人も……。

 風水的に最高の恰好してる!

 派手な格好なのに、みんな派手だから全く浮いてない!

 むしろこの街並みと調和している!


 すごいな、私の夢。

 これなら私も浮かないし、気分良く街を歩ける。

 それに……街にはゴミ一つすら落ちていない。

 こんなに快適な街が今まであっただろうか。


 じゃあきっと街の住民も私のことを優しく受け入れてくれるよね。

 よーし、ここはひとつ声をかけてみよう。

 えーっと……あの青い服を着た女性にしよう。きっと優しい人だ。


「あのー、ちょっといいですか?」

 私は青い服を着た女性に、後ろから気軽に声をかけた。


「え?あああ神官様!」

 青い服の女性は振り返り私を見るに、慌てて返事をした。


「神官?」

 神官ってなんだろ?私のこと?


「わかります。私は存じ上げませんが、その衣装は紛れもなく神官様の衣装。

別の国から来られたんですね?」


「まあ、そんなとこかな」

 まあいいや。適当に話を合わせとこう。


「私は今神官を目指し修業をしている日々なんです。

いつか神官様に追いつけるようにと……必死に頑張っているんです」


「そうだったの。じゃあ、お互い頑張りましょうね」

 あれ?私お姫様じゃないの?


「神官様にそう言ってもらえるなんて光栄です。ぜひ握手してください」

 青い服の女性は笑顔で手を差し出した。


「は、はあ」

 そう言われると私は青い服の女性と握手をした。


「ありがとうございます。なんだかお力をもらえた気がいたします。

あの……失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ