占い好きな彼女は夢を見る
私は占いに支配されている。
本当に占いに支配されているんだよ。
私は小さいころから占いが好きで、今までずっと夢中になって生きてきた。
毎日いろんな占いを試しては、その結果を記録したり、研究をしたりしている。
運勢が良い日になると気分がハッピーになるし、良い事があると思うとワクワクする。
運勢が悪い日になると、警戒して過ごすようになるけど、それも時には必要なこと。
でも最近、度が越えてきていると思ってるよ。
いつでも占いの事を気にしすぎてしまうんだよね。
ラッキーカラーや良い数字、縁起が良いことなど、勝手に頭に浮かんできて気にしてしまう。
新しいことを始める日は運勢が良い日で、運勢が悪い日は予定を極力避ける。
そうやって占いの結果を元に勝手に自分でルールを決めちゃって、生活に支障をきたしかねない。
そんな私は言わば、占いの奴隷に成り下がっているんだよ。
でも占いって、当たる時は本当に当たるんだよ。
だからこそ信じているし、のめり込んでいるし、やめられない。
ああ、私みたいな人は他にいないかな。
ここまで心酔している人はなかなかいないと思うけど、きっといる。
たまたま周りにいないだけで世界を探せばきっと。
世界がもっと占いに関心を持てば良いのに。
◇
今日はアロマの香りが良く効いて、ぐっすり眠れそう。
これは今日のラッキーアイテム。だからいつもより良く効くんだよ。
明日は運が良い日だから、物事を積極的にこなそう。
運が良い日に積極的に行動すると、良いことに恵まれる。これは経験論ね。
こうやって、占いがもう体に浸透しているの。
だから染みついた占いによる考えは消えることはないよ。
今日も良い一日だった。神様ありがとう。
感謝をすることは良いことなんだよ。どの本にも書いてあるの……。
そして私は眠りについた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
朝。目を覚ましたら、私は白い部屋にいた。
夢でも見ているのかな。
それに、こんなふかふかなベッドに寝ていなかったよね。
白いふわふわな枕に、白い透き通るような肌触りのお布団。
なんて寝心地が良くなる組み合わせなんだろう。
でもせっかくだから起きてみよう。
夢に気付けたからには、起きないともったいないよね。
私はベッドから体を起こして、周りをよく見て確認した。
白いレースのカーテンがついていて、まるでお姫様のベッド。
こんなベッドで一度寝てみたかったんだ。
これはきっと……私の望んだ夢なんだね。
見渡す限り一面の白い部屋。
私の部屋は、こんなに白で統一していない。
もちろん風水には気を付けているけど。
風水で白ってどんな意味があったっけな。考えながら私は部屋を一望した。
家具もその部屋に合う、運気がアップするものを設置している。
この配置はすごく良いよ。風水を考えながら配置しないと、こんなにうまくはいかない。
あれは……なんだか高そうな家具。綺麗な鏡。近くでよく見てみたい。
私はベッドから急ぎ足で移動した。
白い豪華な装飾が施された鏡を見る。やっぱり私だ。
寝る時に着ている、いつものパジャマ姿の私が映っていた。
夢ならもう少し豪華なドレスでも着ていれば良いのに。
それに夢なんだから、別人になってたっていいと思う。
どうしてここだけ現実感があるんだろうね。
まあいいや。もうすこし、この素敵な白い部屋を見て回りたい。
こんな素敵な部屋で過ごせる夢なんて、滅多にないのだから。
◇
白い絨毯には埃一つない。もちろん置いてある家具はすべて綺麗に掃除されていた。
きっとメイドが毎日隅々まで掃除をしているのね。
部屋を綺麗に保つことは風水の基本だもんね。
続いて白い大きなクローゼットが目に留まった。
きっとお姫様の上品なお洋服があるに違いないわ。
私の夢なんだから、私に開けられるためにそこにあるのよね。
私はクローゼットの扉にその手を伸ばした。
「うそ」
中には、豪華な白く輝く衣装が多数並んでいた。
これは……まるで魔法使いみたいな衣装。
そう、キラキラして派手で……ドレスとも違うんだけど、派手なドレス感があって。
かといえばとても上品。派手になると上品さは隠れるのに。
こう、上品さと派手さがありつつ……うまく纏まっている。
こんな服……一度でいいから着てみたかった。
そっか。これは夢なんだから、私の思いが生みだした服だったのね。
じゃあ着てみようかな。
私はその衣装を手に取ろうと手を伸ばした。
その瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。
「誰か居られますか?」
少し離れた場所にあるドアの向こうから、若い女性の声が聞こえた。
うわっ。なんだかやけに現実味がある夢だね。
でも夢だからこそ楽しまなくっちゃね。こういう時は、隠れるに限るね。
そう思うと、私は家具の間に身を隠した。
ここならドアのあたりからは死角になって見えないはず。
でもこの状況は……考えてみるに……。
私はお姫様で、メイドが私を探している。
おそらく何か訳があって、数日前にお姫様は城から逃げ出した。
でもメイドは毎日お姫様を待ちながら、城を掃除している。
そしたら部屋から何か物音が聞こえた。
もしかしたら、お姫様は部屋に帰ってきているんじゃないか?
今まさにこのシチュエーションなんだね!
白い扉が開けられると、白い恰好をしたメイドが部屋に入り、軽く周囲を見渡した。
私は物陰から様子をうかがう。
やっぱりメイドさん。毎日お姫様が帰るのを待ちわびている。そんな顔をしているね。
全身白いのは、きっとラッキーカラーが白なのね。
「誰もいませんか。
……でも、もしかしたらということもありますね。他の階も探さなくては」
白いメイドさんは、慌てた様子で扉を閉め、どこかに去っていってしまった。
あんなに慌てちゃって。よっぽどお姫様が恋しいのね。
まあいいわ、せいぜいこの夢の世界を楽しむことにしましょう。




