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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第四章 ☆もう一人の来訪者編☆
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占い好きな彼女は夢を見る

 私は占いに支配されている。

 本当に占いに支配されているんだよ。


 私は小さいころから占いが好きで、今までずっと夢中になって生きてきた。

 毎日いろんな占いを試しては、その結果を記録したり、研究をしたりしている。

 運勢が良い日になると気分がハッピーになるし、良い事があると思うとワクワクする。

 運勢が悪い日になると、警戒して過ごすようになるけど、それも時には必要なこと。


 でも最近、度が越えてきていると思ってるよ。

 いつでも占いの事を気にしすぎてしまうんだよね。

 ラッキーカラーや良い数字、縁起が良いことなど、勝手に頭に浮かんできて気にしてしまう。

 新しいことを始める日は運勢が良い日で、運勢が悪い日は予定を極力避ける。

 そうやって占いの結果を元に勝手に自分でルールを決めちゃって、生活に支障をきたしかねない。

 そんな私は言わば、占いの奴隷に成り下がっているんだよ。


 でも占いって、当たる時は本当に当たるんだよ。

 だからこそ信じているし、のめり込んでいるし、やめられない。


 ああ、私みたいな人は他にいないかな。

 ここまで心酔している人はなかなかいないと思うけど、きっといる。

 たまたま周りにいないだけで世界を探せばきっと。


 世界がもっと占いに関心を持てば良いのに。



 今日はアロマの香りが良く効いて、ぐっすり眠れそう。

 これは今日のラッキーアイテム。だからいつもより良く効くんだよ。


 明日は運が良い日だから、物事を積極的にこなそう。

 運が良い日に積極的に行動すると、良いことに恵まれる。これは経験論ね。

 こうやって、占いがもう体に浸透しているの。

 だから染みついた占いによる考えは消えることはないよ。


 今日も良い一日だった。神様ありがとう。

 感謝をすることは良いことなんだよ。どの本にも書いてあるの……。


 そして私は眠りについた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 朝。目を覚ましたら、私は白い部屋にいた。

 夢でも見ているのかな。


 それに、こんなふかふかなベッドに寝ていなかったよね。

 白いふわふわな枕に、白い透き通るような肌触りのお布団。

 なんて寝心地が良くなる組み合わせなんだろう。


 でもせっかくだから起きてみよう。

 夢に気付けたからには、起きないともったいないよね。


 私はベッドから体を起こして、周りをよく見て確認した。


 白いレースのカーテンがついていて、まるでお姫様のベッド。

 こんなベッドで一度寝てみたかったんだ。

 これはきっと……私の望んだ夢なんだね。


 見渡す限り一面の白い部屋。

 私の部屋は、こんなに白で統一していない。

 もちろん風水には気を付けているけど。

 風水で白ってどんな意味があったっけな。考えながら私は部屋を一望した。


 家具もその部屋に合う、運気がアップするものを設置している。

 この配置はすごく良いよ。風水を考えながら配置しないと、こんなにうまくはいかない。


 あれは……なんだか高そうな家具。綺麗な鏡。近くでよく見てみたい。

 私はベッドから急ぎ足で移動した。


 白い豪華な装飾が施された鏡を見る。やっぱり私だ。

 寝る時に着ている、いつものパジャマ姿の私が映っていた。

 夢ならもう少し豪華なドレスでも着ていれば良いのに。

 それに夢なんだから、別人になってたっていいと思う。

 どうしてここだけ現実感があるんだろうね。


 まあいいや。もうすこし、この素敵な白い部屋を見て回りたい。

 こんな素敵な部屋で過ごせる夢なんて、滅多にないのだから。



 白い絨毯には埃一つない。もちろん置いてある家具はすべて綺麗に掃除されていた。

 きっとメイドが毎日隅々まで掃除をしているのね。

 部屋を綺麗に保つことは風水の基本だもんね。


 続いて白い大きなクローゼットが目に留まった。

 きっとお姫様の上品なお洋服があるに違いないわ。

 私の夢なんだから、私に開けられるためにそこにあるのよね。

 私はクローゼットの扉にその手を伸ばした。


「うそ」


 中には、豪華な白く輝く衣装が多数並んでいた。


 これは……まるで魔法使いみたいな衣装。

 そう、キラキラして派手で……ドレスとも違うんだけど、派手なドレス感があって。

 かといえばとても上品。派手になると上品さは隠れるのに。

 こう、上品さと派手さがありつつ……うまく纏まっている。

 こんな服……一度でいいから着てみたかった。


 そっか。これは夢なんだから、私の思いが生みだした服だったのね。

 じゃあ着てみようかな。


 私はその衣装を手に取ろうと手を伸ばした。

 その瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。


「誰か居られますか?」

 少し離れた場所にあるドアの向こうから、若い女性の声が聞こえた。


 うわっ。なんだかやけに現実味がある夢だね。

 でも夢だからこそ楽しまなくっちゃね。こういう時は、隠れるに限るね。


 そう思うと、私は家具の間に身を隠した。

 ここならドアのあたりからは死角になって見えないはず。


 でもこの状況は……考えてみるに……。

 私はお姫様で、メイドが私を探している。

 おそらく何か訳があって、数日前にお姫様は城から逃げ出した。

 でもメイドは毎日お姫様を待ちながら、城を掃除している。

 そしたら部屋から何か物音が聞こえた。

 もしかしたら、お姫様は部屋に帰ってきているんじゃないか?


 今まさにこのシチュエーションなんだね!


 白い扉が開けられると、白い恰好をしたメイドが部屋に入り、軽く周囲を見渡した。


 私は物陰から様子をうかがう。

 やっぱりメイドさん。毎日お姫様が帰るのを待ちわびている。そんな顔をしているね。

 全身白いのは、きっとラッキーカラーが白なのね。


「誰もいませんか。

……でも、もしかしたらということもありますね。他の階も探さなくては」


 白いメイドさんは、慌てた様子で扉を閉め、どこかに去っていってしまった。


 あんなに慌てちゃって。よっぽどお姫様が恋しいのね。

 まあいいわ、せいぜいこの夢の世界を楽しむことにしましょう。

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