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うちの姉が最強すぎる理由~異世界修業録~  作者: 月詠 穹
新たなる世界へ
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王国の災厄(アルフヘルム戦-2)

近衛騎士団がアルフヘルム出立の3日前


【イクステリア王国王都 王宮ウィルティアナ】


ラウル ハイデマン公爵が近衛騎士団詰所に赴いた。

門番が騎士団の敬礼をして迎え、騎士の1人が団長室に案内した。


室内に入ると机で執務をしていた団長が椅子から立ち上がりハイデマンに挨拶する。


「ハイデマン公、ようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「堅苦しい挨拶はいらぬクラウス。今時間はあるか?」


「はい、父上。こちらへ」


応接用の席に着き、ハイデマン公が用件を伝え始めた。


「早速だがクラウス、明後日エルフ領アルフヘルムに少数精鋭で行って欲しい。人選は任せる」


「構いませんが、何かあるのですか?」


「あるお方をお迎えする為だ」


「あるお方とは?我々が向かうと云うことは王族イクステリアに連なる方ですか?」


父にしては遠回りな言い方と感じたクラウスは不思議に思いながら尋ねた。


「そうだ、女王陛下のご息女であらせられるアリスティア様だ」


「何と!アリスティア様!?しかし、御生誕されてすぐ異世界にご療養に行かれたと聞いていましたが?」


「ああ、日本で治療を受け無事に回復された。リンティアナ様と真様のお蔭だ」


ハイデマンは静かに語るが、言葉の端々に嬉しさが滲み出ていた。


「そうですか。それは喜ばしい事ですね。しかし、少数でとは・・・せっかく帰郷されるのですから大々的に王国でお祝いをした方が良いのではありませんか?」


このような祝い事を何故、公に祝わないのかクラウスには理解出来なかった。


「お前の気持ちは分かるが、今回は極秘だ。決して外部に知られてはならぬ。これは女王陛下の命だ」


女王の下知ならばクラウスには従うしかない。


「承知いたしました。ならば私を含め信のおける者でお迎えに行きます」


「うむ。・・・それから馬車は、イクステル研究所から借り受けよ」


「はい?・・・父上まさか、あれを使えと?まだ試作段階ですが」


現段階では、極秘開発中の王家専用騎車。

通常の馬車とは違い、見た目もかなり異質でありそもそも引く馬もいない。

現状、操作出来る者は研究所の職員を除けば、近衛騎士団の数人のみ。イクステリア国内でも極一部の関係者のみだった。


「構わぬ。陛下の許可は頂いている。先日、ラクハ(諜報部)から何やら不穏な動きがあるとの報告を受けた。まだ精査中だが備えるに越したことはないだろう」


「分かりました。では明日イクステル研究所に赴き借り受けます」


「話は以上だ。頼んだぞクラウス」


「お任せ下さい」


父、ハイデマン公爵の指示を必ず遂行させると心に誓いクラウスは敬礼した。


〈アルフヘルム領近郊 現在〉


「馬鹿な!転移魔法陣の多重展開だと!?ありえない!」

どんなに優れた魔法師でも転移陣を構成展開を行うには膨大な魔力と技術が必要となる。その為通常は数名で行う。

だがナディアは、1人で瞬時に複数の転移魔法陣を展開させた。常識を逸した状況だった。


「フフッ、さぁ楽しみましょう?皆様」


「魔獣だと?しかも、この数はまさか・・・まずい!魔獣暴走(スタンピート)か!」


「クラウス様、これは我々だけでは対応出来ません!一時撤退を!」


「バカを言うな!絶対魔獣共をアルフヘルムに向かわせてはならん!ここで止めるぞ!」


「しかし・・・」


当初、アルフヘルム近郊で近衛騎士団に遭遇したのは偶然かと思っていたナディアはクラウスの慌てぶりに考えを改め、ある事を確信した。


「・・なるほど。近衛騎士団がここまで必死になると言うことは、今アルフヘルムには王族がいるのね?」


「貴様、それをどうして・・・・」


「フフフ、流石は我が主様。一度に私の復讐と主様の宿願が叶う術になるとは」


「主だと?一体誰が」


「話は終わりよ。貴方達も終わりだけどね?行きなさい!我が同胞よ!」


〈アルフヘルム領内 深緑の里〉


(おかしい、遅すぎますね・・)


早朝エレナが、里の周囲を見回りをしながら考え込んでいた。

何しろ王女の帰還だ。この様な大事なのだから今日近衛騎士団が着く前に昨夜、もしくは早朝に近衛騎士団から斥候が2人来ると思っていたが先日の夕刻以降未だに連絡さえない。


(戻って一度、族長とルシアに相談すべきですね..)


そして、里の入り口である結界にたどり着いたその時、

今までに経験のない異常な重く凄まじい魔力を感知したと同時に、里につながる森郊外での戦闘も察知した。


「何だ!?これは..魔獣?この数は..それに、この膨大な魔力は、まさかナディアなのか!!」


後世の歴史に長く語られる、アルフヘルム戦の始まりである。






















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