異世界へ(1)
お待たせしました。ついに異世界へ行きます。
相変わらず拙い作品ですが、これからもお読み頂ければ幸いです。
響、将、茜、そして先頭を英玲奈が歩き【ゲート】を通っていた。
中は暗く山の古いトンネルのような雰囲気で茜は響の腕にしがみつき、恐る恐る歩いていた。
将も父から授けられた、腰の日本刀「白蓮 闇切丸」を左手で握りしめ歩く。
20分程歩いただろうか。
やがて、先頭を歩いていたエレナが響達に振り返って声をかける。
「出口まで、もうすぐですよ」
「ホント?早く行こう、お姉ちゃん!」
茜の先ほどまでの怯えた様子を一変させ手を引いて響をせかす。
「はい、急ぎましょう。将も早く」
苦笑しながら、将を呼ぶ。
「うん、そうだね。急ごう」
将も同じように苦笑して足を早める。
出口に近づくと等間隔に明かりが照らされ、足場が石畳に成っている事に気づいた。
どうやら、洞窟内に繋がっているらしい。
「さぁ、ここからは世界が変わりますよ!覚悟はよろしいですか?皆さん」
英玲奈が再び振り返り響達三人に伝える。
「「「はい!」」」
三人声を揃えて返事をする。
エレナは微笑んで頷き返し【ゲート】を出た。
三人も後に続く。
【転移ゲート】から出ると小高い丘にいた。響が後ろを振り返ると、やはり岩の洞窟に繋がっていた。入り口には神社の鳥居によく似たものがあり、魔法に因るものなのか薄く霧の様なものがかかっていた。
「認識阻害の魔法です。近づいても転移ゲートには気づきませんし、万が一に誰かが洞窟内に入ったとしても、日本側には行けません。ゲートには
使用制限がありますから」
英玲奈は響が転移ゲートを見ている事に気づき説明をした。
「使用制限ですか?誰でも使用できるわけではないのですね」
「はい、魔力や使用者の特性などもありますが、今は諸事情で昔以上に魔法によって制限をかけてます。また詳しい話は落ち着いてからお教えしますよ」
「わかりました」
響は頷き、改めて目の前に広がる異世界の景色を見た。
空は青く、そして目の前には広大な草原が広がっていた。更に奥にはかなり広い湖が微かに見え帆船が浮かんでいた。その畔には大きな街がみえる。
「ここが、異世界....」
響が呟く。
「はい。ここが異世界、私と凛様の故郷であり、三大国家の一国、【イクステリア王国】です!」
将は目の前の景色を見ながら、1週間前の家での会話を思い出していた。
{一週間前 西連寺家}
英玲奈との再会をした夜、久しぶりに英玲奈も交え一家団欒の夕飯後、両親から予定通り話を聞く為に和室の広間に集まった。
「気づいている事もあるだろうが、まずは言わせてもらう。私達は何があろうと家族であり、この先も変わらない。お前達は恐れる事なく自分の選んだ人生を歩め」
「あなた、茜には少し難しいかと...」
「そうか、すまん」
「えっと、これからもずっと皆一緒だって事だよね?」
茜らしい簡潔な答えを言われて絶句する両親。
「フフッ、流石、茜様。昔の凛様のようです」
「うっ、英玲奈~、子供たちに余計な事言わないでね~?」
「勿論です、凛様。お互いに...」
二人とも顔は笑っているが、空気感、雰囲気が何か怖い。
ドン引きの響達三人。
「ゴホン、とにかくこの先も心配しないで頑張れば良い」
真は咳払いをして、脱線しそうな雰囲気を正した。
「お前達には、異世界へ行って修行してもらう」
「「異世界?」」
「......」
将と茜が驚きの声をあげ、響は膝の両手を握りしめ黙って聞いていた。
「そうだ。母さんは元々あちらの世界の人間だ。そしてー」
父は将達に要約して話をした。
三人は姿勢を正し聞いた。
母(凛)が、異世界の人間であり、三大国家の一国を治める王家の出身である事。
ある事情で18年前にこちらの世界に来て自分(真)と結婚して今に至る事。
響が実は従姉であり、響の実母は凛の姉(叔母)である現女王である事。
響が生まれた時、異世界で病にかかり此方の世界で治療が必要だった事。
今では完治して、異世界へ行っても全く問題はない事。
異世界へ修行に行くのは、響の実母(女王)に再会させる事と、響達三人の魔力の制御を学ぶ為である事。
異世界に行く転移ゲートは、中庭にある巨木前にある鳥居から入り期間は約1カ月の予定である事。
出発は三人が夏休みに入って2日後である事。
「やっぱり、僕達にもあるんだね。姉さんと同じように」
「詳しい事を確かめる為なのです。不安になる気持ちは分かりますが、大丈夫ですよ。あちらには当たり前にある能力です。個人差は有りますけど」
将が驚き、凛が説明を加えた。
「お姉ちゃん、従姉だったんだ、、、」
茜は魔力の話より姉の出生の事実に驚いた。
少し不安そうな表情をして響に尋ねる。
「お姉ちゃん、居なくなっちゃうの?」
響は茜の方を向き、両手を握りしめ優しく微笑んで答えた。
「いいえ、私はずっと茜の側にいます。あちらに行っても、一緒に帰って来ます。必ず」
「本当?あっちに行ったままじゃない?」
「約束します。私は茜達と一緒に帰ります」
そこまで聞くと茜は響に抱きつき、響も優しく抱き返す。
「約束ね。お姉ちゃん」
「はい。約束です」
二人のそのやり取りを将はホッとした様子で眺め、真、凛、英玲奈は微笑んではいたが、複雑な心境で黙って眺めていた。
「まだ少し時間があるから、それまでにまた各々に話そう。ひとまず今夜はここまでだ」
「「「はい」」」
「ああ、それとあちらには英玲奈が同行する。承知しておくように」
「「「えっ?」」」
それを聞き、驚いて三人は英玲奈の方を見る。
「私もあちらの世界から凛様と来た者なのです。私はエルフ族で本当の名前は、『エレナ レスティーク』と申します。改めてよろしくお願いいたします」
エレナが一礼する。
「エルフ族?」
響が呟く。
「はい。人族と共存して暮らしていますが、人族より寿命が長く能力も更に異質です。個人差があるのは人族と同じですが」
「そうなんですね」
何かしら、納得顔の響だったが、右隣から雑音が聞こえた。
「なるほど、それで英玲奈さん昔と変わらないんだ、、、、」
将が独り言を言うと、英玲奈が鋭い眼差しで将を見る。
「、、、はい?将様、何か言いたい事でも?、、、」
微笑んではいるが、怒気を発している英玲奈を見て将は姿勢を正し答える。
「いえ、何もありません!同行、よろしくお願いします!」
正座からの見事な土下座(客観視)、、いや一礼(主観)をする将。
「はい、お任せを。皆様をご案内致します。ご安心下さい」
英玲奈も怒気を収め、微笑して答える。
まだ、少し怯えた様子の将に女性陣から冷たい視線を向けられ追撃(説教)を受けた。
「反省して下さいね?将」
「愚かな事はしないものよ?将」
「お兄ちゃん、バカ?」
姉、母、妹から言われ縮こまる将。
父は、その様子を日本茶を飲みながら黙って将から視線を外した。
この場では、無力な父であった。
響「少しは成長したかと感心したのに残念です」
凛「まさか、本編でも愚かな事を言うなんてね~。教育間違えたかしら~?」
英玲奈「失敗は誰にでもあります。同じ愚行を繰り返さなければ良いのです。繰り返さなければ」
将「、、、、ごめんなさい」




