プロローグ 【望む未来への第ゼロ歩】
初の小説投稿。初めて書いたりしているのでお手やわからに…
影響受けやすい性格上別作品の影響がモロに出てしまうかもしれません。まぁ成る可くそれを減らせるよう頑張るのでよろしくお願いします…
「何見てんだろ」
そんな事を呆れたかのようにつぶやく彼は小鳥遊雅。
空は真っ黒で星が点々と見える美しい夜。その中に一際輝く月が光っている。そのせいで月の周りには星が見えない。 軽く吹いている風はカサカサと草木を揺らしてふわりと素肌を撫でる。少し肌寒く、そして心地いい。広大な庭の所々に植えられている花の香りが風に乗って鼻をくすぐっている。
しかし、彼が見ていたのはそんな空ではない。執事とお嬢様の甘い、いや甘ったるすぎる会話。恋なんてしたことない彼にとって何がいいのか、分からない。ただただ自分には似合わない情景にほんの少し心を傷つけられているのだ。
それに共鳴するかのように昼剣術の訓練で打撲してしまった腕が痛む。その痛みに顔を顰めてしまっている彼は自嘲気味に笑ってしまう。
そんなのお構いなしに楽しそうに話している2人へ少しだけ意地悪な気持ちに芽生えてしまった彼は思わず口を開いてしまっていた。
「お嬢様、クロサキ様、夜も遅いため、部屋へ戻りましょう」
「ぁ、ぇえ、確かにそうね…戻りましょうか、クロサキ様」
「勿論です、エレナお嬢様」
そして2人は雅を置いて楽しそうに話しながら館へ戻っていく。そんな平和な一節が雅に取っての幸せであり、ある意味で拷問だ。異世界転生とか異世界転移系なんて必ずいるヒロイン展開。期待しても雅にヒロインが現れることはない。異世界転移しても所詮はそんなもんなのだ。
「はぁ…」
ほんの少し甘ったるい余韻の残るその場にため息を吐く。その溜め息は花の香りに包まれて何処かへと連れ去っていった。
1日が終わる。
ここに来て数日、絶望から始まりなんだかんだ安定しつつある異世界生活は、ご都合展開なんてない。
剣術を習う時、攻撃を受ければ痛くて、家事をするのは大変で、失敗をすれば悲しい。それの繰り返し。特別な力なんてない。
期待したほど良いものじゃない。顔が整ってない人なんてアニメみたいにそうそういない。皆魔法やらなんやら持ってて、それが普通。
──何も変わらない──
知ってる、わかっている。そのはずなのに一日を振り返ると心が曇って目頭が熱なっていく。
きっと自惚れてるのだろう。こんな状況で悲しむ俺…だなんて。
自分が持っていないものを持つ人を見て、自分より優れてる人を羨ましくなって、何ができるのか、って自分が嫌になる。でもきっと明日が来るのだろう。彼はそう思っていた。死ぬ勇気がないから。
ふと草を見ていた視線を空へ向けてみると、遠くに鯨が見えたような気がした。
──何かが変わりますように──
ただそれだけを空に願って2人の影をゆっくりと追って行く




