第53話:プユ王とボディビルダー軍団
そのカオスがさらに続く前に、全く異なる、非常に甲高い鳴き声が騒ぎを切り裂いた。
『プユ!』
その声はボディビルダーウサギの「ムキュウ!」のように太くもマッチョでもなかった。
それは非常に甲高く、可愛らしく、そして……威厳に満ちていた。
その「プユ!」という一喝を聞いて、カエンを囲んでいた5匹の筋肉ウサギは即座にポージングをやめた。
彼らのピクピクと脈打っていた血管が緩む。
軍隊のような驚くほど規律正しくカクカクとした動きで、彼らは向きを変え、小走りで移動し、道の両脇に二列のきれいな隊列を作った。
彼らはその可愛い頭を下げ、筋肉質の体を深く曲げてお辞儀をした。
まるで、極道の世界の絶対的な『ドン』を迎えるかのように。
花びらの大きな茂みの後ろから、彼らのリーダーの姿が飛び出してきた。
レントは目を細めた。
先ほどまで恐怖で震えていたカエンも、今やポカンと口を開けている。
筋肉ウサギの隊列の後ろから現れたその姿は……ごく普通の白いウサギだった。
そう、サイズは非常に小さく、セパタクローのボール(ソフトボール大)ほどしかない。
大胸筋もなく、血管の浮き出た腕もなく、シックスパックの腹筋もない。
丸くて、毛並みがフサフサで、まさに普通のウサギそのものに見えた。
唯一の違いは、長い両耳の間に斜めに乗っている、エメラルドグリーンの小さな王冠だった。
そのウサギの王(プユ王)は、筋肉質な部下たちの隊列の間をエレガントに小さく跳ねて進んだ。
草原の真ん中でピタリと止まり、ピンク色の鼻をヒクヒクさせながら、レント、カエン、そして彼らの一行を見つめた。
『プユ! プユ!』
(何者だ!? また新参者か!?)
――タンッ! タンッ!
ウサギの王は小さな前足を地面に打ち鳴らし、顔は100%超絶可愛いにもかかわらず、必死に威圧的に見せようとした。
「ふ、普通のウサギ!?」
カエンが声を押し殺して叫んだ。
ボディビルダー軍団への恐怖は一瞬にして消え去り、10代の少女の本能に取って代わられた。
彼女の目はハートの形になってキラキラと輝いている。
「うわぁぁっ! あの王冠被ってる子、すっごく可愛いぃぃ! お持ち帰りしてもいい!?」
モロが舞い降り、青い光でその王冠のウサギをスキャンした。
『分析完了! レント様、あれはキング・ホワイト・ラビットの変異種です! 群れのリーダー!』
『皮肉なことに、彼らのリーダーは筋肉ではなく、カリスマ性と戦術的な知性に依存しているのです!』
レントはレンガの壁のように平坦な目でプユ王を見つめた。
「カリスマ? プラスチックのおもちゃが頭に落ちてきた雪玉にしか見えないがな」
レントの痛烈な侮辱を聞いて(あるいは無視されたと感じたのか)、プユ王は小さな胸を張り、レントが座っている倒木の方へ顔を向けた。
しかし、王の丸い目はレントには向けられていなかった。
その目は、レントの太ももの上にちょこんと座っているオレンジ色の毛玉に向けられていたのだ。
フィラ・バンはニンジンを咀嚼する手をピタリと止めた。
二匹のウサギは遠くから見つめ合った。
谷の風が静かに吹き抜け、二匹の間を花びらが舞う。
雰囲気が突然張り詰めた。
ボディビルダーウサギの軍団は息を呑み、小さなボスが新参者と激しい『縄張り争い(メンタルの削り合い)』をしているのを見て、緊張のあまり再び血管を浮き上がらせた。
『プユ?』
(お前……何ウサギだ? なぜ筋肉がない。そしてなぜその陰気な人間の上に座っている?)
プユ王は目を細めて尋ねた。
フィラは傲慢に鼻を鳴らした。鼻から薄い黒煙が出る。
レントの太ももの上にすっくと立ち上がり、小さな胸を張ると、短い前足でレントの胸を叩いた。
――ポンポン。
「うっ。おい、俺を家具扱いするな」
レントが低く抗議したが、フィラは完全に無視した。
『ピューゥ!』
(俺は炎のボスだ! そしてここは俺の専用の椅子だ! 生意気に見つめるな、チビ!)
と、フィラは尊大に言い返した。
ボールサイズの二匹の毛むくじゃらの生き物が、彼ら自身にしか理解できない言語で殺気立った視線を交わしているのを見て……。
レントはついに、今日残されていた最後の正気を失った。
「疲れた」
レントは虚ろな瞳で小さくつぶやいた。
彼は何もない空中に背中を預け、優れたバランス感覚がなければそのまま後ろへひっくり返っていたところだ。
「本気で寝たい」
「これが全部、昨日の夜に飲んだスープ屋のボーおじさんの『キノコ』の毒が見せている幻覚であってほしいと、心の底から願うよ」




