(35)
ザガート達は部屋を出て、いつもの様に執務室に来ていた。
「ウィル、レイティアとリリスを2人だけにして大丈夫何ですか?」
「大丈夫なんじゃ無いですか?話がしたいと言っていただけですし」
「隊長はいつ戻られるんだ?」
「それは、私が分かるわけないでしょう」
そうだよな。しかし問題が発生しているのに王弟殿下は何を考えているんだろうな?そう言いながら書類をまとめ始める。
確かに事情が分からない者からしたらそう思うだろうが、少し腹が立つ。
「そう言えば、リリスさんとだいぶ仲良くなってましたね」
「違うと言いたいが、あれだけ慕ってくれるとな…。だが、レイティアが好きなのは変わってないからな‼」
ザガートがいきなり振り向いたからか、持っていた書類の1枚が床に落ちたので拾う。
何気無く見た書類には、気になる事が書かれていた。
「ザガートこの書類はいったい…」
「何ですか?その書類が何か?」
神隠しについての報告書だった。どの様な女性が被害にあっているか書かれていた。
『神隠しにあった女性は、貴族から商人まで幅広い身分の女性。いずれも結婚前の娘ばかりだが、それ以外の共通点は無し。帰ってこない女性達は多少攻撃魔法が使えるらしいが関係あるかは不明』
「リリスさんや風魔法の遣い手は魔力が強い。もしかしたら他の令嬢達も魔力が強かったんでは無いですか?」
「そこまでは確認してなかったが、リリスに聞けば分かるかもな」
「神隠しは、結婚前の女性で、魔力が強く攻撃魔法が使える者が狙われていること、連れ去られる前に呪の掛かった石を持っている事が分かりましたね」
そろそろ、リリスの言っていた重要な事と言うのが気になりますし、2人の所に戻りましょうと来賓室に向かった。
来賓室に入ると、レイティアとリリスはすっかり仲良くなっていた。
「レイティア、少し分かった事があったので後で報告しますね」
ウィルに耳元で言われると、囁かれた耳が熱くなり手で押さえる。
「レイティア?」
間近で覗き込まれると、恥ずかしくなってしまう。
「な、何でもありません!」
「そうですか?顔が赤いですよ」
おでこに手をあて熱がないか確かめられると、身動き出来なくなる。
「熱は無さそうですが、顔が赤い。あれ(呪)のせいですかね…」
「ウィル様、レイティアが気になるのは仕方ありませんが、話をしたいので、そろそろ宜しいかしら?」
リリスに助けられたが、ウィルが離れていったので少し残念にも思ってしまった。
「重要な事とは何だったんですか?」
「目を覚ました時、話し声が聞こえたんですわ。良く聞こえませんでしたが、『力の強い娘を連れてきた。×××様に見てもらって、気に入った娘が入れば連れていく。いなければ×××後に帰せ』とか言ってましたわ」
×××は小さすぎて聞こえなかったですけど、と言われた。
「帰って来ないのは気に入った娘で、気に入られなかった娘と言う事ですか…」
「確かに私と一緒にいた娘達は魔力は強かったですわ」
神隠しの女性は王都で神隠しの記憶を無くしている状態で発見されるか、戻らないのどちらかだ。
何の為に記憶を消す?見られたくない、覚えてて欲しくない事があるのだろう。
何をした後に解放されているのだろうか?と考えていると、ザガートに名前を呼ばれ肩に手を置かれた。
「………ィア。レイティア!大丈夫ですか?気分が優れないのですか?」
「え?あっ、すみません。大丈夫です」
考え過ぎてて名前を呼ばてるのに気付かなかった。
「こちらまで連れてくるのに王都に戻すのは、知られたくない何かがあるからですよね?」
「そうだと思いますが、詳しい事は…」
「ウィル、ザガート様、マジェリの今の政治情勢などを調べて頂けますか?」
2人は分かりましたと調べてくれる事になった。
「レイティアの部屋も用意しないと行けませんね」
「お兄様の部屋でも構いませんよ?」
その方が楽だから言ったのだが、ザガートはダメだと言う。
「男共の場所に貴女を置いとく何て出来ません。それに妹とは言え隊長だって見られたく無い物もあるかも知れませんし」
男にはそう事もあるんですよっと言われた。
「分かりました。では、お願いします」
部屋を用意してもらい、荷物を運んで貰った。
何かあったら言って下さいと、部屋を出て行こうとするウィルを呼び止める。
「お兄様から頼まれた事を思い出しました。ウィルにお願いが有るのですが兄の部屋まで連れてってくれませんか?」
「構いませんよ」
では、付いて来て下さいと歩き始めたので後ろを付いていった。
部屋の前に着き、ウィルが扉を開けようとしたので鍵を渡す。
鍵を開けて中に入ると、ウィルが不思議そうに聞いてくる。
「別にこの部屋で無くても、先程言った事は話せましたよ?」
「いえ、用があったので来ただけです。でも、分かった事とは何だったんですの?」
「リリスさんが言っていた事と同じ様な事になりますが、神隠しで帰ってこない女性の共通は、攻撃魔法が使える人みたいです」
分かったことを報告された、パズルのピースが少しずつはまって行くが、決定的な事はまだ分からない。
とにかく調べて貰う事も有るので、そちらが分かるまでは待つしかないだろう。
「それで、レイティアは先程からゴソゴソと何をしているのです?」
隠していた物を取り出す為に、ゴソゴソと壁とタンスの隙間に手を入れていた私を覗き込む様に、ウィルは屈む。
「あった!」
隙間に入れていた箱を取り出すと、ウィルに手渡す。
「これは何ですか?」
「光魔法石です。暇な時に作って置いたので使って下さい」
陛下に教えて貰った秘術で魔法を石にした物だ。
ウィルが箱を開け確認すると大量の石が入っていた。
「作り過ぎです!しかも一個一個が魔力が強すぎる」
暇な時に作ってだけなのだが、何故か大量になってしまった。
「でも、今回使いそうでしょう?」
「あれば便利ですが、作り過ぎは気を付けて下さい」
魔法を使ったのと同じくらい疲れるのですからと怒られてしまった。




