(29)
家の門の所までウィルが送ってくれ、自分も用意が有るので、後で会いましょうと去っていった。
家に着くと、母ソフィアが駆け寄ってきた。
「おかえりなさい、レイティア!お城にお泊まりって、どうだったの?それに、ウィリアム様とは、どんな関係なのかしら?」
キャアキャア言いながら、矢継ぎ早に質問してくる。
「もう!いつの間にお知り合いになったの?」
「え?お母様がレナードと私の事を頼むと言ったのでは無いのですか?」
「え?レナードは確かに頼みますとは言ったけど、レイティアの事は言った事なんて無いわよ?」
きょとんとした表情で言われ、レイティアは固まる。
「だって…、私が女だって…最初から知って…」
母が言ってないなら、何故知っていたのだろう。
いつから?それとも、あの時に鎌を掛けられた?
グルグルと考えていると、母に手を掴まれた。
「レイティア?顔色が悪いわ。大丈夫?」
「ごめんなさい。もしかしたら不注意で女とバレたのかも知れません…」
ウィルが他人に言ったりしないのは分かるが、どの段階でバレたかで、他の人にもバレてる可能性がある。
「多分、大丈夫よ。ウィリアム様は観察眼が鋭いから気付いたかもしれないけど、ザガートさんも気付いて無いのだから」
それに、私でさえ二人いる様な気がするし。と笑う。
「気になるなら本人に直接聞きなさい」
「そうですね。聞いてみます…」
「それはそうと、デートはどうだったの?そっちの方が気になるわ」
「お母様…」
砦に戻らなければならないので時間がありませんと言うが、話してくれないなら扉の前から退きませんからね!と言うので、渋々デートでの出来事を話した。
もちろん呪いの件は話してないが…。
「まあ、まあ、まあ!レイティアったらモテモテね」
両手を頬に当てて、どうしましょうと騒いでいる。
「それで、レイティアはどうするの?」
「どちらも、待ってますって言ってくれてますが、レナードとして生活しないといけませんし…」
色々と聞きたそうにしてくるので話題を変えることにした。
「そんな事はどうでも良いのです!お母様、王都で神隠しがあると聞きましたが、ご存知ですか?」
「知ってるわ。神隠しにあって2~3日たつと、居なくなった時の記憶を無くして戻ってくるってやつでしょ?」
でも、あれは記憶を無くして無いと私は思うのよね。っと顎に手を当てて言う。
「貴族の娘だから詳しく聞けないだけで、あきらかに挙動が可笑しいもの!あれは記憶を無くして無いわ!」
「最近は帰らない人もいると聞きましたが?」
「まあ、そうね。そう言う人もいるみたいだけど、良くはわからないわ。一応、貴女も気を付けてね」
母に解放されたので、自室に戻りレナードになるための準備を始める。
無くさないように、髪飾りとイヤリングをBoxの中に大切にしまう。
「ネックレスは、ずっと着けててって言ってたから外さない方が良いのよね」
胸を隠す布を巻くときに、ちょっと邪魔で大変だったが外さないで巻くことが出来た。
胸を潰し隊服を着ると、レナードとして気持ちが切り替わる。
「母上、そろそろ帰ります。そう言えば、父上やシリルにも挨拶したかったのですが、まだ帰らないのですか?」
騒動の前に領地に戻って、王都には帰ってきていない。
「もう少ししたら帰ってくると思うわ」
何で領地に帰ったのかを聞いて無かった。
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。少し大雨で災害があっただけだし、帰りが遅いのは、あの人がギックリ腰になっただけだから」
領民には死人も怪我人も出なかったから大丈夫と言う。
「では、帰ってきたら宜しく伝えといて下さい。母上もお体に気を付けて」
「貴方もよ、レナード」
そう言って抱き締められた。
挨拶をして家を出て、待ち合わせ場所で待つとウィルがやって来た。
「おや?まだ隊長だけですか?」
「ああ、ところでウィル、母はレイティアを宜しくとは言ってないそうだが?」
「バレましたか。言われてませんよ」
「いつから知ってた?他にもバレてそうか?」
ウィルはタメ息をつく。
「知ってる者はいないと思いますよ。いつから知ってるかと言われれば、幼い頃からです」
貴方は覚えてないですけど、と言われた。
「何歳の頃だ?」
「レイティアが5~6歳位だった思います」
流石に小さすぎて記憶が無い…。
「すまん。やっぱり覚えてない」
謝ると「でしょうね。小さかったから」と苦笑された。
「レイティアは、今も、あの頃も可愛いのに…」
チラリと横目で見てからタメ息をつかれ、イラっとしてしまう。
「ウィル、何を考えている?」
「隊長は可愛くないと考えただけですが何か?」
正直に言われると文句を言えなくなる。
「~~~。何でも無い‼」
「しかし、ザガートは遅いですね」
「そうだな。デートの時に家人に呼ばれて帰ったから何かあったのかもな」
顔色を悪くして帰って行ったと伝えると、迎えに行ってみましょうと提案された。
「そうだな。少し気になるから行ってみるか」
すれ違いにならないように、周りに気を付けながら、ルージス侯爵邸に向かった。
更新が遅くなってごめんなさい。




