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砦に戻ると、エミリオ殿下がグッタリと机に突っ伏していた。

「お前達やっと帰ってきたか…」

「お疲れの様ですが、殿下どうしたんですか?」

どうしたもこうしたも無い‼と言い始めた。

「こいつが、怪しそうな場所に連れてっては魔法を使わせたんだ‼」

カイルを指差し文句を言う。

「疲れたと言うと、ネズミを連れてきますよ?と脅して来たんだぞ‼」

「仕方ありませんよ。あれ位で泣き言を言う殿下が悪いのです」


被害が無かったのはレナード達が出発してすぐ、エミリオ殿下を使って仕掛けを全部解除していったからだったようだ。

「呪具が見付かったのは10ヵ所で、いずれも浄化して問題はありませんでした」

「カイルご苦労だった。被害が出る前に解除した判断は正しいと思う」

「私には労いは無いのか!?」

「ああ、殿下もありがとうございました」

心がこもってないと喚いているが、無視する事にした。


「残りの事は陛下達がやってくれると言っていたし、一応解決だな」

「そうですね。では隊長、約束をお願いしますね」

約束は何だったかと考える。

「その顔は忘れてますね!レイティアに謝りたいから会わせて下さいと言ってたでしょ‼」

「隊長、私も彼女とデートをお願いしますと言ってましたよね?」

今回は頑張りましたよ。ご褒美をくれても良いでしょうと言ってくる。


「ウィルは彼女と会う必要無いでしょ‼」

「色々と礼も言いたいので会う必要ありますよ。陛下も会いたいと言ってましたし」

「何故陛下が関係あるのだ!ウィルがデートするなら、隊長私もお願いします!」

2人が口喧嘩をし始めたので止める。

「分かったから、妹に伝えるから静かにしろ‼」

こうなったら自棄だ。デートでも何でもしてやる。

デートの約束をさせられて、その日は解散となった。



レイティアに戻るとしてレナードはどうしたら良いか考えていると、ウィルが部屋に来て提案してくる。

「陛下に呼ばれてるのは事実なので、王宮に行く振りをすれば良いのでは?」

王家の紋章は私も持っているので擬装出来ますし、と言ってくる。

「ザガートに信用させるように手紙を用意して来るので、デートの約束は守って頂きますからね!」

そう言いながら手紙の準備をしに行った。



翌々日、ウィルの偽の手紙に呼び出されたように砦を出て王都に向かう。

「私やウィルまで来て砦は大丈夫でしょうか?」

「レイティアが、この日が都合が良いと言ってるのですから仕方無いです。砦が気になるなら戻ったら如何です?」

バチバチとしている2人と一旦別れて、着替えに自宅に戻る。


母が色々と聞きたそうにしてきていたが、時間が無いので後でと言って着替え始めた。

「アザが出来てる…」

着替えようと服を脱ぐと、右胸に小さなアザがあることに気付いた。

「掴まれたからかな…?」

嫌な事を思い出してしまったので、頭を振って振り払う。


ザガートが来る前に着替えを終えて、変な所が無いか確認していると、着いたみたいよっと母が知らせに来てくれた。

「レイティアったら母に内緒で殿方と会うなんて、後で詳しく教えなさいよ」

何を想像してるのかニコニコ顔で、レイティアを送り出す。


「ザガート様、お待たせしました」

「レイティア。今日はこの間の事を謝りたくって来ました。良かったら少し街を歩きませんか?」

構いませんと答え、ザガートと一緒に街に行く事となった。

歩きながら、ザガートがこの間の事を謝ってくる。

「大丈夫ですわ。私が危険だと思ったからの言葉だったのでしょう?」

「たとえ、そうだとしても泣かせてしまった」

「ビックリして泣いてしまいましたが、本気で心配してくださったのが分かりましたから、嬉しかったです」

そう伝えるとザガートが笑顔になった。


「レイティア何か見たいものとかありますか?」

「特には…。あまり外には出ないので分からないのです。ザガート様にお任せします」

「甘い物は好きですか?」

と聞かれたので好きだと答えると、それなら最近出来た菓子店はどうですか?と言われた。

店に行ってみると人気が有るのか行列が出来ていた。

「混んでいますが、少し待てば入れそうですね」

2人で並ぶことにすると、ザガートの見た目に先に並んで居た女性達がざわめき始める。

「ザガート様は、女性にモテるんですね」

手紙が来てるのは知っているが、此処までキャアキャア言われているのを間近で見ると凄いなと思う。

「私が興味あるのは貴女だけなので、他の女性にモテても意味が有りません」

そう言いながら肩を抱き寄せる。


「次のお客様どうぞ」

順番が来て中へ入る事が出来た。

店内は、可愛らしい雰囲気で甘い香りが漂っていた。

ザガートが人気のお菓子を頼んでくれ、待っているとクマの形のケーキが運ばれてくる。

「とっても可愛いです!食べるのが勿体無い!!」

男の姿では頼むことも出来そうに無いケーキに、瞳が輝く。

「ちょっと可哀想ですが…いただきます」

フォークて刺して一口食べる。

「おいしいです!ザガート様は食べないんですか?」

「甘い物はあまり食べないんですよ」

確かにあまり食べてる所を見たこと無いなと思う。

「一口だけでも食べてみませんか?」

フォークに一口分を掬って、ザガートの口許に持っていくと、パクッと食べた。

「貴女に食べさせてもらったから、とても美味しいです」

残りを食べようと口に運ぶと

「間接キスですね」

と呟かれたので、その事実に気付いてしまい赤面する。

その様子をザガートがニコニコと笑いながら見てくるので急いで食べた。

食べ終わって店を出ても顔の火照りがとれなかった。


「少し散歩しましょうか?」

そう言って手を繋いできた。

人混みの中でも歩きやすいように、エスコートしながら歩いてくれる。

ザガートが何かを見付けて、少し待ってて下さいと離れていった。

「お待たせしました。貴女の髪飾りに合うと思いまして」

買って来たのは、髪飾りと良く似た形のイヤリングだった。

動かないで下さいと耳に触れ、イヤリングを着けてくれた。

「ありがとうございます」

「良く似合ってますよ」

微笑みながら礼を言うと、ザガートも嬉しそうに笑った。


「もっと貴女と居たかったが、そろそろ戻さないといけませんね…」

とても残念そうに言われる。

「また会えますよ」

「また会ってくれるんですね‼」

余計な事を言ってしまったかもと思ったが言葉を引っ込める事が出来ないので、笑って誤魔化した。


「次は陛下の元へ行かれるのでしょう?」

「ええ、ウィル様が連れてってくれると聞いてます」

何故ウィルなのか聞かれる。

「この間の事を聞くためでは無いでしょうか?」

「私が監視されてなければ、貴女と行動を共にしたかったのに」

ウィルに美味しいところを持ってかれましたと悔しそうに呟いている。


ウィルと待ち合わせの場所に向かう途中でザガートの家の執事がやって来た。

何やら耳打ちをして下がる。

「本当ならウィルが来るまでいた方が良いのでしょうが、用事が出来てしまいました…」

「私は大丈夫なので、気にしないで行って下さい」

心配なのか何度も振り返りながら離れていった。

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