(22)
レナードは痛みにより、目を覚ました。
「ここは…?そうだ‼ウィル!」
目の前で刃が刺さり崩れ落ちたウィルを探すが見当たらず、動こうとして自分が椅子に拘束されている事に気付いた。
「おや?もう目覚めたのか早いな」
ラスが部屋に入ってきた。
ラスの言葉から窓の外を見ると、太陽の位置があまり変わっておらず、気絶してから然程時間がたって無いのがわかった。
「ウィルはどうした‼」
「死んだんじゃないか?ピクリとも動かなかったからな」
攻撃したイルミオも倒れて動かなくなるし、役に立たない奴だと言う。
「叫ぶなら叫んで構いませんよ。まあ、外の奴等は俺が作り出したヤツと遊んでて来ることは出来ないだろうがな」
嫌な笑みを浮かべ笑う。
「こんな事をして何になる!例えお前がマジェリ王の子だったとして、皆を巻き込む必要など無いはずだ!」
「勇ましいですね。流石は兄の振りをして戦場まで来るだけの事はあるな」
「何を言ってる!」
「自分の状況を見てみろ」
胸元がはだけ、胸を巻いている布が見えていた。
「なっ!」
「兵士達の士気を上げるために兄の振りをして来たんだろうが、無謀だったな」
ラスは可笑しいと思ったんだよ、と続ける。
「脱出不可能な塔の牢獄から出られる訳も無く、最初の魔法だって隊長ならあんな道具を使わないで発動出来るだろうしな」
魔法力の温存の為に使ったのだが、女だとバレた今となっては勘違いさせる事が出来ただけでも良かったのかも知れない。
魔法を使って縄を切ろうとしてみるが、魔法が使えない。
「一応お前も使えるみたいだから、縄には魔法封じを込めてますよ」
「何故こんな事をするのです!」
「何故だって?復讐だからに決まっているだろが!」
母であるミリアは王都に働きに出て来た時、とある男性と出会ってしまう。
それがお忍びでユーザレスに来ていた、マジェリ王だった。
美しいミリアを見たマジェリ王は一目で気に入り、自国へと連れ去ったのだ。
マジェリ王は、散々ミリアを慰み者にした挙げ句、飽きたと簡単に捨てた。
放り出された頃には身籠っていた。
「困り果てた母は、ユーザレス国に助けを求めたが相手にされなかった‼」
故郷の街に戻ってラスを出産したが、父であるマジェリ王のに大きくなるにつれ似てくるラスを見て精神を病んでいき、最後には亡くなってしまった。
「だから俺はマジェリ王と、この国に復讐するために呪術を学び、戦争するように計画したのに、お前達が全部邪魔したんだ!」
「そんな逆恨みで戦争を起こすつもりだったの!?そんな事をして何の意味があると言うの!」
「うるさい!!お前に何がわかる!」
壊れていく母の原因が自分だと言う事がどんなに辛いか、分かるはずが無いだろう!と声を荒らげる。
「そうだ…」
ひと言呟いたあと、拘束しているレイティアに近付いてきたラスは、後ろから肩を抱くように腕を回してきた。
「なに、を…」
「一応、傷や火傷を隠している物だったら困るからね」
そう言って、胸に巻いた布の中へ手を差し込み直接胸を触って来る。
「ヤダ!」
嫌悪感と恐怖から身を捩って逃げようとするが、ガッチリと拘束されているため逃げることが出来なかった。
「へ~、以外と胸があるじゃないか。面白い!イルミオが動かなくなったし今度はお前を人質に逃げるか」
ニヤニヤ笑いながら手を動かし、どうしようかと話し掛けてくる。
「お前が、俺に協力すると言うのなら助けてやっても良いぞ?」
嫌らしく胸を触ってくるラスから、少しでも離れようと顔を背けるが、空いている手で顎を掴まれ、ラスの方を向かせられる。
「離して…」
「このまま無理矢理でも良いが、拒否るなら操るまでの事…。だが操るにしてもこの布が邪魔だな」
そう言って一旦手を引き抜いた時だった。
【ドーン】と凄い音がした。
外から爆音が聞こえてきたので、窓の外をラスが確認する。
「チッ‼1体やられてしまったか。だが、まだ9体残ってるんだ。精々頑張るんだな!」
とんだ邪魔が入ったと、レイティアの元に戻ってくる。
その手には短刀が握られていて、上着と共に巻いた布を切り裂く。
切り裂かれてしまい、本来隠されるべきレイティアの胸が露になる。
「イヤーッ‼」
これからされる恐怖から顔から血の気が引き、体の震えが止まらない。
「思った通り大きいな。そんなに怖がらなくて良いぞ?直ぐ済むからな」
ラスの右手に黒い靄が生み出された状態で胸に触れる。
「やだ…、やめて‼」
操る人形にする為の呪術を唱え始めた。




