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テロリスト編 2/5

教室を覗き込むと、教室の後ろに一カ所に集められたら生徒達と教師がいる。


そして教卓にふてぶてしく座って皆に銃口を向けたテロリストが…



いない??



あれ?いないぞ?



俺がトイレから帰ってきた風を装い、そのテロリストに「なんだお前は!?」って聞かれて銃口を向けられるが、俺が「初対面の相手に礼儀知らずのやつだな」とクールで紳士的に答えながら流れる動きで鳩尾に一撃肘うちをかまして気絶させるって流れじゃないのか?



もう一度教室を確認すると後ろに集まった生徒達の足元にロープで縛られたテロリストが気絶していた。


慌ててドアを空けて教室に入った。


「え?なんで?」


皆のところに行くとテロリストの銃を奪い取った同じクラスの「入野(いりの) (りつ)」がいた。



「あれ?ソーシ?何やってんだ?」


「いや、リッチーこそ。なんで銃なんか持っちゃってんの?てかそのテロリスト、リッチーが倒したの?」


ソーシは俺のあだ名でリッチーは律のあだ名だ。

リッチーとは高校からの同じクラスで休み時間はいつも一緒にいる親友だ。



「おう!俺の龍昇想波拳(りゅうしょうそうはけん)でイチコロよ」


「りゅ、りゅうそーしょーかけん?な、なんだって?」


「龍昇想波拳!」


なんかだか突然、だいぶこじらせた感じの必殺技名がリッチーの口から出てきた。


「何それ。必殺技?どんなやるの?」


「あー、お前見てなかったもんな。こうやんだよ。」



リッチーはそう言いながら恥ずかしげもなくシャドー龍昇想波拳とやらををやってみせた。


ようは正拳突きだったが、その前によくわからんモーションによって気が練られてるって設定なんだろう。



「いや、おかしいおかしい。俺そんな設定なんて全然考えても無いし、リッチーがいるのもおかしい。なんでいんの?」


「いや、こっちのセリフーwwこっちのセリフなんですけどーーww」



いつものノリでリッチーが返してきたが、さすがに俺様が無双するこの妄想の中で何故か俺よりも目立って、しかもこのノリはちょっとイラっとした。


「龍昇想波流は俺が魔界転生編で竜族から伝授された奥義だし。俺が考えたに決まってんだろ?」



ん?


俺が考えた?


どういうことだ?


俺(相心)が考えた妄想の中のリッチーが考えた設定?なんだそれ?



ややこしくなってきたからとりあえずリッチーとは明日また学校で会えるし、消えてもらって俺が教室に入ってテロリストを倒すところからやり直そう。




俺は妄想の中でリテイクした。



一瞬でまた教室の外に移動した。


次こそはと思い、俺はトイレから戻った体で教室に入った。




テロリストは…まだ床にいるしリッチーは銃を持ってこっちを見ていた。



「なんでまだソーシがいんだよwwさっき消したのにww」


「消した?どゆこと?」


「俺が考えた設定だし、今回ソーシは登場しないから消し……あれ?」



さっきまでヘラヘラしてたリッチーだったが、ようやくこの妄想の異変に気づきだした。



「ちょっと待て~、待ってよ~。冷静に考えようなぁ~。まずここは俺、入野律の妄想世界だよな?」


「違う!その前提がいきなり違う!これは七女相心の妄想が作りだした設定だし」


「いやいや。俺んだからww」


「違ぇーって。俺の妄想なんだよ」



どちらも、俺だ俺だとしばらく言い合ったが決着は着かずお互い一度冷静になった。




「てことは、今俺もソーシも家で似たような妄想してて、そこで鉢合わせしちまってるってわけ?」


「多分そうなんだろうな。理由はわからんが」




しばし沈黙が走った。俺とリッチー以外の登場人物は俺らの妄想で作られた言わば全員モブだ。


モブ達は俺らがこうしてる間、動いたりするわけでは無かった。もちろん、本来俺の活躍により俺にホレるはずだった城島円華もモブ同様にとくに動かなかった。俺が城島を見ているとリッチーが問いかけてきた。



「そっかー。で、どうする?」


「…どうするって?…何が?」


「テロリスト。倒さないの?」


「倒す…けども…なんだろ。このモヤモヤした気持ちは。てかリッチー順応早ぇよw」



「仕方ねーだろwwとりあえずテロリスト残り30人。一人15人ずつ手分けして倒しちまおーぜ」



「ちょっと待て。30人ってなんだ?残ります5人だろ?さっき校門から6人入ってきたの見てなかったのかよ?」



どうやらまたおかしい。

世界観と大筋は一緒らしかったがディテールが違うようだ。




6/5(金)の12時頃に3話目を公開予定ですのでよければブックマークや感想などいただけたら嬉しいです。

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