ナレーション2 その2
ナレ2:
寄席カフェを出まして晶、落語のごとく地獄を旅してまわりたいと申し出ますとカジカ、先輩として案内してやろうと鼻息荒く晶を導いた先が焦熱地獄で、そこら中に炎の柱が立ち上がって身が焦げるような暑さであります。暑い暑いと上着を脱ぎ捨てまして晶、Tシャツ姿で歩き回りますと獄卒が炎を使ってバーベキューしているところに行き会いまして、自分も混ぜてくれ、と近づきます。獄卒たちは、これは身内のバーベキューパーティーだから、と金棒を振り回して晶たちを追い払い、怒り心頭の晶はご都合主義でポケットに入っていたにんにくを炎にいくつもいくつもくべまして、地獄における比喩としては如何なものですが文字通り阿鼻叫喚、焦熱地獄は隅から隅までにんにく臭くなり、臭くってたまらねえやと罪人たちが騒ぎ出す始末、ちょっとした騒動となりまして、これはかなわない、と思った獄卒たちは「お前たちは他へ行ってくれ。迷惑だ」と、晶たちを焦熱地獄から追い出します。晶、獄卒たちから100g五百円の霜降り和牛の焼き肉をふんだくって意気揚々と焦熱地獄を後にします。
次にたどり着きましたのは氷の原、すべてが凍り付く極寒の場で、晶、コチコチに凍った罪人をボールとゴールに使ってアイスホッケーを行いますれば獄卒が即座にやってきまして、やめなさい! やめなさい! と叱責する獄卒をしかし晶とカジカは完全に無視、いいえ、ディフェンダーとして利用さえして、遊び倒します。これに参った獄卒、「お前たちは他へ行ってくれ。迷惑だ」と晶たちに頼み込み、晶たちは獄卒に作らせたかき氷を一杯食べてから意気揚々と氷の原を去ります。
次の場所でも、また次の場所でも晶は好き勝手に遊び倒し、その破天荒な振る舞いに獄卒たちも音を上げまして、他へ行ってくれと泣いて懇願する始末、小さなお土産のような物も持たされて送り出される、その道中の陽気なこと! 口癖のように言って、晶は地獄を経巡りました。そしていよいよ閻魔様の指示した、血の池地獄にたどり着いたのでございます。