鷹は獅子の真意に気付く
六月一日、二時十五分。
チャイムが鳴った。五時間目終了を告げるチャイムだ。皆は沈んだ気持ちで礼をし、そそくさと出て行く家庭科の角井先生を見送った。
――誰もが無言だった。
朝山の一言に、今更ながら強い不安を感じ、それによって皆は黙りこくる。皆が黙る事によって更なる不安が誘発され――と言う悪循環である。
将治もそれは分かっていた。しかし、今のこの状況を打破する策など無かったのだ。この場面で、空元気で盛り上げようとしてもそれが意味のない事だと言うのもひしひしと伝わって来るからだ。
しかし何故、呼び出される時間帯がまちまちなのだろう。どうせなら毎日一時半とか、十時十五分とか――まあそれが分かった処で、対策の立てようもないのだが。
今日は特にキツかった。早朝から呼び出され化け物と一戦。そして情報収集のために鈴鹿を犠牲にした――。
そこまで振り返って将治は、ある事に気が付いた。
――早朝、だと?
何故早朝なのだ? 呼び出すのなら全員が揃ってからでも遅くはないだろう。寧ろあのタイミングで呼び出したりしたら、ヴァンを持って寝る者などいないから、犠牲者が増えていたかもしれないのに――。
将治の脳裏にある閃き――いや閃きと言うには余りにも重たい想像が浮かんできた。
――〈支配者〉は、俺達の『死』を望んでる?――
あり得る話だ。奴は明らかに、将治らの戦いを楽しんでいる。ヴァンを破棄・破壊できないようにルールを組み立て、自殺者が出ても有効利用する……。このゲームを永遠に成り立たせるためにプレイヤーの犠牲を厭わないルールだ。
そして同時に、ある事にも気が付いた。
早朝に呼び出したという事は、そのあとに時間がたっぷり余っているという事――。
カチリ。静かに音が鳴った。




