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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第三章 理解《わか》る
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鷹は豹の言葉を皆に伝える

「で、何か俺に訊きたい事があるって?」


 結城は言った。将治が一同を代表して「ああ」と答えた。


「オーケー、いいだろう。何でも訊けよ」


 将治はそれから、幾つかの質問をした。己の推測の確認、それから『結城の過去』について……。

 しかし、将治が結城に質問をしている間に、鈴鹿が鮫に喰われた。結城は自分の所為だと言ってくれたが、将治は自分を責めた。何故周りに気を配っていなかったのか、と。

 質問は終わり、結城は鮫を真っ二つにした。

 夥しい血が舞った。


 白い部屋――。


「俺が知ってる事は全部こいつに話してある」結城は言った。「――お前、名前は?」


「国井。国井将治だ」


「そうか。じゃ、残りの奴らは将治から聞いてくれ」


 皆は黙って頷いた。

 カチリ。時間だ。


 新大西中――。


「じゃあ、俺が結城に聞いてきた事を話す」


 将治は言った。今日もやはり、教卓に腕を突っ張っていた。


「まずは、俺達の立てた仮説が正しかった事が確認できた。つまり、結城より上の立場の奴がいる事、ヴァンは肌身離さず持ってた方が良い事。それから、ヴァンが変形するって事とか……ま、色々。各自覚えてるよな」


 将治は確認したが、その返答は言わずもがなだろう。


「それから、新しい情報。結城の上の立場の奴は〈支配者《マスター》〉と呼ばれてるらしい」


 何人かは頷き、また何人かはメモを取っていた。


「で、そいつがヴァンを管理してる。ヴァンだけじゃなく、あそこでの戦いもだ。そしてこのヴァンは、『破棄』『破壊』が認められない。破壊した場合には即刻、破棄の場合は次の召集で死ぬことになる。――つまり、原口はもう死んだ」


 予想していたとは言え、やはり何人かは絶句した。


「あと、ヴァンの転移の有効範囲は約五メートル。家の中なら大丈夫って言うところだ。普段は肌身離さずの方が良いだろうな」


 先程絶句した何人かは、もうすでに唇を固く結んでいた。


「それで、結城は戦闘開始後十五分間、〈黒い部屋〉って言う処に閉じ込められているらしい。これは、あいつがかつて俺達と同じ境遇にあった時――つまり、ヴァンに呼び出されて戦ってた時――自殺しようとしたかららしい。つまり、『自殺』も禁止って事だ」


 尤も、このクラスにはそんな軟弱な心を持つ者はいない――と将治は信じたかった。


「あと、ヴァンの変形について。これはどうやら、結城が出てくる前にモンスターを斃せばレベルアップするらしい。つまり十五分以内。それまでに斃せれば、新たな変形を覚え戦闘に使用できる。今使用できるのは〈ヴァン・シールド〉――平たく言うと盾だな、そのまんまだけど。それを使うには、『イメージ』すれば良いだけらしい」


「成程ね」


 慶尚が呟いた。


「それで、結城が出てくる前に敵を斃していけば、どんどん新しい武器のデータが手に入り、戦いも有利になる。――でもそれは同時に、俺達にとってのバッドニュースも表している。つまり、敵もどんどんレベルアップする可能性が高いってことだ」


 武器を手に入れる。こちらの戦闘力が上がる。今までのモンスター歯が立たない。もっと強いモンスターが出てくる。結城が出てくる前に勝つ。新しい武器を手に入れる――の繰り返しである。


「いつ……終わるんだろう」


 素朴且つ重大な疑問を口にしたのは、朝山だった。この場の誰もが訊きたい事であったが、それ故に誰も答えは知らない。


「わかんねぇ」


 将治も、そう言うしかなかった。

 沈黙が下りてきた。

 第三章《vs鮫編》完結。


 死亡:十一人

    加藤 健一

    齊藤 正成

    杉山 克義

    遠山 英治

    八島 悠二

    石川 舞香

    河本 詩穂

    柴田 遥子

    鈴鹿 美帆

    土肥 優里枝

    御調 奈菜


 どんどん章が短くなってるのは気のせいです。

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