第2話「がまんしすぎた日」
その日、心の部屋で言われた。
「きょうは、がまんしよう」
プンプン丸は、口をへの字にした。
メソッ子は、ノートをぎゅっと抱えた。
そこにいたのは、ソワソワくん。
ソワソワくんは、まだ起きていないことを知らせる警報係。
小さな変化にも、すぐ気がつく。
今日も、きょろきょろしている。
みんな、がまんした。
言いたいことも、泣きたい気もちも、ぜんぶ、しまった。
しばらくは、なにも起きなかった。
……でも。
プンプン丸の顔が、赤くなる。
メソッ子の目が、うるうるする。
ソワソワくんの足が、そわそわする。
「なんか、へんだよ」
小さな声で言ったのは、テレちゃんだった。
テレちゃんは、人からどう見えるかを感じ取る係。
だから、いつも周りの空気に敏感だ。
そこへ、考え杉田くんがやってきた。
考え杉田くんは、答えを見つけるまで考える分析係。
考えすぎて、頭の中がぐるぐるすることもある。
首をかしげた。
「……ながしてない。ためてるだけだ」
そのとき、小さな足音がした。
ホッとさんだ。
ホッとさんは、みんなの心を休ませる係。
ホッとさんが、そっと言った。
「いき、すって」
みんなで、すーっ、はーっ。
プンプン丸が、ぽつりと言った。
「……いやだった」
メソッ子は、ちょっと泣いた。
それだけで、部屋は、すこし楽になった。
ノートには、こう書かれた。
「きょうは、気持を出せた日」
その夜、ノートのすみに、小さな文字が増えていた。
「気持ちを出してくれて、ありがとう」
書いたのはアリガトンだった。
アリガトンは、すぐには気づかれない。
でも、あとから心をあたためる感謝係だった。
不安:ソワソワくん(警報担当)
まだ起きてない危険を先に知らせる。
恥:テレちゃん(社会性センサー)
集団から弾かれないようにブレーキをかける。
悩み:考え杉田くん(分析班)
答えが出るまで考え続ける、粘着質。
安心=ホッとさん
深呼吸担当。いるだけで肩が下がる。
感謝=アリガトン
静かに効く。後から効いてくる漢方みたいな存在。




