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参拾の3 通常の権利義務を妨げない

 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例である雇用調整助成金を国から億単位でだまし取ったとして詐欺罪で起訴されている一味のうちの中国(中華人民共和国)出身、文強(ぶんきょう)(一九八一-)の二回目の公判と、コロナ禍で顧客が先細った金融機関から過剰な額の融資を受け焦げ付かせ同じように詐欺罪で起訴されたパン・洋菓子製造販売会社元社長、石川民夫(いしかわたみお)(一九四六-)の初公判を横浜地方裁判所(ちさい)で傍聴した日の夜、帰宅すると、団地のおれの住む棟一階集合ポストのおれのボックスに、青い定形外郵便物が入っていた。

 日本郵便の「レターパックライト」だ。差し出し人欄は、東京・中央区銀座五丁目の、高下謹壱法律事務所。三週間近く前に、UR都市機構の代理人だとして意味蒙昧(もうまい)な《通告書》を送り付けてきた弁護士だ。


 レターパック品名欄には、太いマジックインキのようなもので、こう書かれている。


《令和6年2月26日付/回答書》


 それを携えエレベーターで八階の自宅にたどり着き、玄関扉を開けると、扉の各戸個別の郵便受けに、おれの自宅近辺の集配を担当する青葉郵便局による《不在連絡票》が入っていた。

 高下謹壱法律事務所を差し出し人とする書留郵便を、青葉郵便局の配達員が、この日の午前十時四十四分ごろ持ってきたことが分かる。横浜地裁で文強の公判を傍聴していた時間帯だ。


 時計の針を、二〇二二(令和四)年十一月四日に巻き戻す。スーパー三和奈良北店従業員、穂積(ほづみ)恵美(一九七〇-)による「節分のお(たわむ)れ」の三カ月前、JS日本総合住生活管理主任、田代修(たしろおさむ)による「凶器所持立てこもり虚偽通報」の七カ月前だ。

 東京電力に支払う電気料金を節約するため、おれは、引き込み電流をそれまでの三〇アンペアから二〇アンペアに下げてもらうよう申し出たところ、家主の了解を文書で取るよう東京電力側に電話で指示されたから、おれの住む棟一階にある「団地管理サービス事務所」に出向いた。

 女性職員が二人いた。名前は確認していない。そして、彼女らはそろって、「アンペア」が分からない。その変更が分からない。おれの言っていることをまったく理解しない。理解しようという努力の現れさえない。


 ーーきみたちで分からないのなら、どこかの誰かに聴いてみてくれーー


 そう申し向けたら、二人のうちの一人が、固定機の受話器を上げ、どこかの誰かに電話しだした。


 ーーこれに必要事項を記入してほしい、ということですーー


 言われた通りに必要と思われる事項で記入欄を埋め、提出した。

 部屋に戻ってしばらくして、携帯電話「赤色一号機」がうなりだした。「団地管理サービス事務所」からだ。

 記入内容が間違っているからもう一度出頭して、訂正しろという。言われた通り、エレベーターで「団地管理サービス事務所」に戻った。

 間違っていたのはおれではなかった。「これに必要事項を記入して」と出してきた用紙が誤っていたというのだ。


 しかし、彼女らは、自分たちの、「どこかの誰か」を含めた「自分たち」の誤りを認めない。おれの説明の仕方が悪いという。そうならそうと最初から言ってくれと、ぶりぶり腹を立てるようなことを言い方なのだ。

 だから、彼女らが誤って記入させた書面の「控え」を、おれは返さないつもりでいた。彼女らの瑕疵(かし)責任を担保させるつもりだ。

 しかし、彼女らは「どこかの誰か」の入れ知恵であろう、危機管理に関する権利意識が強い。誤って記入させた書面控えと交換でなければ、正しい用紙は出せないと強弁する。


 記入し直しさせられた書面(控え)のタイトルは、こうだ。


《簡易模様替え等届》


 一から十六まである《条件》のうち十四番目に、《電気容量の変更》とある。

《模様替え等の内容(該当する番号を記入してください)》の欄に、おれはこう書き込んだ。


《14.電力30A → 20A》


 これで提出し、控えを受け取り、東京電力サイドに連絡。東京電力の孫請け、ひ孫請けよりさらに先の末端であろう電気工事屋が来て、このワードは誤っていてURでは通じないと翌年、日本総合住生活東京支社神奈川西支店設備課、小池洋太郎(こいけようたろう)が唾棄することになる「配電盤(はいでんばん)」、小池が主張する正しい用語では「分電盤(ぶんでんばん)」のふたを外し、なにやら工事をしていった。


 ーースマート・ブレーカーに取り替えましたから、なにか問題が発生しても遠隔で操作できますーー


 そんなようなことを、電気工事屋は言った。なにかのタイミングで、築年数が五十年に達するこの団地建物も、配電盤もとい分電盤などの設備がリニューアル、アップデートされているのだ。


 翌年六月、配電盤からエアコン専用コンセントに伸びるケーブルのどこかが断線しているようだと「団地管理サービス事務所」にビジネスレターを投函した際、前年十一月に東京電力が配電盤をいじっているからそのことと関係あるかもしれないとまで書いているのに、事務所職員の文盲、高瀬(たかせ)が、ブレーカーが落ちているだけだと取り合わず、高瀬の上司に当たるらしい田代が虚偽通報し、神奈川県警地域部自動車警ら隊員が拳銃ホルスターのロック機能を解除した状態でおれを身体捜検したのは、何度も述べてきた通りだ。


 電気容量を下げると過電でブレーカーが頻繁に落ちる恐れがある、と東京電力サイドに言われていたが、そんな様子はまったくないまま一年が過ぎ、威力業務妨害のでっち上げ容疑による逮捕、勾留から釈放された後の二〇二三(令和五)年十月、おれは再度、電力容量ダウンを試みた。二〇アンペアから一五アンペアに落とす。

 一度変更したら一年以内の再変更は有料になると東京電力サイドから言われていてその時点から一年が経過することのほか、おれへの対応を一切拒むと突き付けてきたURコミュニティ神奈川西支店、JS日本総合住生活神奈川西支店の反応を見る目的もある。電気料金のことはどうだっていいが、上げるより下げる方を選んだ。

「団地管理サービス事務所」職員との対面や、関連事業所への電話は避けた。インターネット上のURコミュニティ公式サイトにある《問い合わせフォーム》に用件を書き込んで送信した。

 しかし、住人であるおれへの対応は一切拒否する方針だからであろう、どこからもなんの連絡もない。何度も同じ作業を繰り返し、郵便や電子メールで催促し、渋々であろう、年末になってようやく処理された。


 このことを、前述した二〇二四(令和六)年二月十日付け「高下謹壱法律事務所」宛て文書でおれは、こう書いていることは前述した。


《もし『通知人等の各社窓口(略)に文書送付及び訪問を一切しない』と、例えば二〇二三(令和五)年十月のように、『通知人等』公式サイトの問い合わせフォームを通じ「簡易模様替え等届」手続きを再三にわたり求め、督促を繰り返したのに、『趣旨不明』なのか、長期にわたり無視ないし放置される事態を招くことも、ご案内の通りです》


 長期にわたり無視ないし放置される事態とは、この一連の出来事を指す。


《令和6年2月26日付/回答書》と太いマジックインキのような文字で品名欄が埋まるレターパックライトの中身の内容は、こうだ。


《 令和6年2月26日

[被通知人]

 神奈川県横浜市青葉区奈良町2913

 奈良北団地2号棟505号室

 森 史×殿

 [通知人]

  東京都中央区銀座5丁目8番5号

  ニューギンザビル10号館4階

  高下謹壱法律事務所

  電 話03-5568-6655

  FAX03-5568―6656

  独立行政法人都市再生機構

  東日本賃貸住宅本部

  上記代理人弁護士 高下謹壱

  同        植田 浩

 (第一東京弁護士会所属)

  回答書

 前略。当職らは、標記通知人の代理人として、令和6年2月10日付けで当職ら宛てに送付された書面に関し、貴殿に対し、以下のとおり、回答する。

 通知人は、貴殿の一連の粗暴な行為によって通知人及び団地管理業務受託者(以下「通知人等」という。)の業務に支障が生じていることから、通知人等の各社窓口、各社の役職員等の自宅に無用の文書送付及び訪問を一切しないように通告したのであって、それ以外の都市機構賃貸住宅賃貸借契約に定める賃貸人及び賃借者それぞれの通常の権利義務を妨げるものではない。

 然るに、貴殿が通常の賃貸借契約上の手続き以外で、通知人に対し何らか連絡したい事項があるのであれば、当職らに対し、文書にて連絡されたい。

 なお、本回答書は配達証明付き内容証明郵便で送付すると同時に投函の事実が確認できる「レターパックライト」で送付したことを付言する。

 以上、回答する。

  草々》


(「参拾の4 意図的に謀って作成、差し出し」に続く)

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