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8-7・凱旋

 逃げすぎて町に出さないように、近付きすぎて捕まらないように、闇巨人との間合いを考えながら動き回る!妖刀による攻撃で一定のダメージは与えるが、どれも決定打にはならない!・・・しかし、それで充分だ!


 上空では、念の込められた銀塊を使い切ってエネルギーを回復させた狗塚(妖幻ファイター)が、Yウォッチから白メダルを抜いて、プロテクター胸部の窪みに装填をする!開いていた翼が、光り輝きながら今まで以上に大きく広がり、風を帯びる!狗塚(妖幻ファイター)は、同時に数枚の護符を取り出して、空中に敷き、指で空に印を切る!


「おぉぉぉぉっっっ!!!アカシックッッッ!!アタッッッーーークッッッ!!!」


 ‘輝く鳥’を纏った狗塚(妖幻ファイター)が、流星のように光の尾を伸ばしながら、闇の巨人目掛けて突っ込んでいく!

 それまで俺ばかりを狙っていた闇巨人だが、流石に「この一撃を喰らってはマズイ」と判断したらしく、両掌を重ねて前に突き出して防御の姿勢を取る!


「うおぉぉぉぉっっっっ!!!」


 アカシックアタックと、闇巨人の防御が激突!狗塚(妖幻ファイター)の突進力が、闇巨人の‘右肘から先’を粉々に吹っ飛ばした!しかし、アカシックアタックの突進力が僅かに鈍ってしまい、右手の後ろに添えられていた左手を押し切れない!


「おぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっ!!!」

「オォォォォォォォォォォォォッッッッッッッン!!!」


 狗塚(妖幻ファイター)の突進が徐々に押し戻されていく!闇が厚すぎる!何とか左手の防御を破壊したとしても、肝心の闇巨人の胸板を貫くパワーが足りなくなってしまう!

 俺(妖幻ファイター)は、考えるよりも先に、アカシックアタックから放出される尾の真下を走っていた!


「うおぉぉぉっっっっ!!狗塚ぁぁぁっっ!!!

 ケツを蹴飛ばされたくなかったら、シッカリと足を閉じて踏ん張ってろぉっ!!」

「・・・・なにっ!!?」


 破邪の呪術を使える狗塚(妖幻ファイター)を押し込まなければならない条件下では、他の手段など思い付かなかった!


「怪我しても恨むなよっ!!」


 根拠は無いが、必殺技のオーラを纏った狗塚(妖幻ファイター)ならば、直撃で蹴り殺すのではなく後押しできるはず!空高く跳び上がり、蹴りの体勢を構える!


「エクソシズムキィィーーーッック!!!」


 それは、これまでのエクソシズムキックに非ず!新たなる力・エクストラ・エクソシズムキック!パワーアップとした渾身の飛び蹴りを、狗塚(妖幻ファイター)の足の裏に叩き込む!

 凄まじい推進力を得たアカシックアタックが、闇巨人の左手を破壊!諸共に闇巨大の胸に突っ込んだ!


「依り代・・・あそこか!!」


 真っ暗闇の中に一点の光が見える。『酒』メダル1枚が光を放って位置を示しており、その周りに残る4枚の『酒』メダルがある。


「あれがコアだ!」


 闇の心臓部に到達した狗塚(妖幻ファイター)が、気合いと共に用意しておいた護符を放つ!


「うおぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!・・・オーーーーンッッ・浄化っ!!」


 何の防衛手段も持っていない闇のコアは、狗塚(妖幻ファイター)の除霊術を受けて粉々に砕け散った!「勝利の手応え」を感じた俺達は、闇を掻き分けて脱出!闇巨人の背中から飛び出し、着地をする!


「・・・終わったな。」

「あぁ、これで終わりだ。」


 姿を維持できなくなった闇の塊を見上げる。


「未熟者だが土壇場では腹が据わる・・・か。確かにな。」

「・・・ん?」


 バカにされたような気がして狗塚(妖幻ファイター)を見たら、握手をする為に手を差し出していた。


「褒めているつもりだ。」


 コイツってツンデレキャラなのか?なんか恥ずかしいんだけど、握手に応じてやる。


「・・・フン!偉そうに!」


 巨人は、全身の闇を蒸発させながら、脱力して両膝を落とし、最後の力を振り絞るかのようにして、肘から下の無くなった腕を西の方角に伸ばす。妖気を失いつつある闇の塊が、新たなる妖気を求めているように見える。しかし、依り代を失った闇の塊に、新たなる妖気を得る手段は無い。


「オォォォォォォォォッッッッッッッン!!!

 ・・・見付ケタゾ・・・其処ニ有ッタカ・・・我ガ・・・タ・・マシ・・・」


 それは、闇巨人にとって、最期の咆吼だった。崩壊する闇は、巨人の形を留められなくなり、空気中に融けて完全に消滅をする。




-数分後-


 バイクを押して、残った体力を振り絞って総門を抜け、石階段まで辿り着いたら、最下段で紅葉と爺さんが出迎えてくれた。


「ご苦労やったな、狗塚!」

「どうにか、完遂しました。」


 爺さんは笑顔で見つめている。狗塚がサムズアップで返す。


「おかえりっ!燕真っ!」


 紅葉が満面の笑顔で駆け寄ってくる。俺は、疲れ果ていたが、格好を付けて誇らしい表情を作って、額の前で2本指をピッと立てた。


「おうっ!」


 帰路は、いつものように、俺の愛車のタンデムに紅葉が飛び乗る。だけど、いつもとは違って、いつも以上に俺の腹に廻した腕に力を込めて密着をしてきた。


「ぐぇぇぇっっ・・・苦しい。・・・あんまり締め付けると、口から内蔵が出る。」

「い~のっ!」

「良くねーだろ。それに、そんなに密着すると胸が・・・」

「んぇ?なんか言った?」


 いつの間にか、澄み渡った夜空が広がっている。俺は「鬼の野望が阻止され、この都市が日常を取り戻した事」を実感しながら、バイクを走らせる。

※『妖幻ファイターザムシード』の第20話&第21話を簡素化。

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